封切ったばかりのフィンランド映画『SISUシス不死身の男』(ヤルマリ・ヘランダー監督)を観てきました。 部隊は第2次世界大戦末期のフィンランド。 不死身の老兵とナチス戦車隊の死闘を描いた痛快バイオレンスアクションです。 タイトルの「SISU(シス)」とはフィンランドの言葉で、すべての希望が失われたときに現れるという、不屈の精神のような意味合いを持つそうです。 主人公は64才のジジイですが、それがめちゃくちゃ強く、しかもかっこいい。 ツルハシ一本で敵を叩きのめす痛快さは、手に汗握る面白さです。 グロい殺戮の場面も多くありますが、そこは目をつむって、侵攻を受けたフィンランドのナチスに対する憎しみが爆発したような場面の連続に、「いいぞ、いいぞ」と思わず手を叩きたくなるほどでした。 主人公のアアタミは終始無言を貫き、最後の最後に一言。 それが何とも言えずにユニークであり、痛快でした。 フィンランド映画は初めてでしたが、あっという間の91分でした。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪   
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山田洋次監督の吉永小百合主演『こんにちは、母さん』を観てきました。 東京下町の老舗の足袋屋という設定も情緒があって、全編にわたりほんわかした空気を感じる作品でした。 吉永小百合と大泉洋の親子の掛け合いがまた、往年の寅さん映画を見ているようで、ほのぼのとしてきました。 やはり、家族を描かせたら山田監督の右に出る人はいないですね。 それにしても吉永小百合の若さ、とうてい80歳近いとは思えない。 まったくもって、お化けですね。 演技はいつもの吉永小百合なので、決して上手くもないし、野暮ったくもあります。 鼻にかかる声もいつもどおり。 しかし、なぜか気になる女優さんです。 年老いたとはいえ、スクリーンを通して観ても圧倒的なオーラを感んじるんですね。 私が好きなのはデビューしたての昭和30年代後半の映画。 『伊豆の踊子』『潮騒』『キューポラのある町』など、少女らしい初々しい素の演技が素晴らしいです。 何度見ても飽きることがありません。 後にも先にも、この人を超える女優は出てこないと思います。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪   
ナチス戦犯のアドルフ・アイヒマンの最期の日々を描いた映画『アイヒマンが処刑された日』(ジェイク・パルトロウ監督 イスラエル・米合作 2023年)を観てきました。 イスラエル映画というのは初めて見たと思います。 非合法の誘拐により南米からイスラエルに移送されたアイヒマンが、1962年に死刑判決を受けたところから物語が始まります。 火葬の風習がないイスラエルでは、執行後のアイヒマンの遺体を焼却するため秘密裏に焼却炉の製作が進められ、そこで働く13歳の少年や工場主、アイヒマンを担当した刑務官、ホロコーストの生存者である警察官らの姿を通し、アイヒマン最期の舞台裏を描き出しています。 映画の中ではアイヒマンの登場場面も少なく、寝姿を除いて、顔はもとより後ろ姿のみしか全体像を映していませんが、散髪する後頭部のアップや死刑執行後の足だけ映し出された姿にリアリティを感じました。 全編を通して暗い映像が続きますが、時折映し出されるイスラエルの陽光が溢れる埃っぽい風景が対照的でした。 そもそもこの映画、ナチスやアイヒマンに興味がある人しか観ない? かなりマイナーな映画なので、客の入りは悪いだろうと踏んで、公開3日目の平日に行きました。 やはりというか、観客は私を入れて5人。 おかげで、中央の席に座って、思いっきりリラックスしながら観ることができました。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪   
成島出監督作品の『銀河鉄道の父』を観てきました。 封切って1ヶ月が経過し、しかも平日の午後とあって、観客は私たちを入れて7名でした。 この映画は門井慶喜の同名の原作が元で、直木賞を獲った作品です。 四国お遍路から帰ってきて、真っ先に読了した作品ですが、まだ映画が上映されていることを知り、カミさんを誘って足を運んだ次第です。 内容は、最後のシーンを除いて、ほぼ原作に忠実だったところが好印象です。 しかし、いかんせん、臨終や葬送の場面が多く、無理やりにお涙頂戴にもっていこうとする意図がなんとなく見えてしまい、逆にしらけた部分もありました。 とはいえ、主演の父・政次郎を演じた役所広司や、賢治の菅田将暉の演技はさすがに上手い。 脇を固める俳優陣も含めて、重量感がある作品に仕上がっていると思いました。 ロケ地となった岐阜県岩村町は私が住むエリアからも近く、明治の町並みの雰囲気がうまく再現されており、映像もきれいでした。 ということで、以下、読書日記に書いた感想です。 ******************************************** 門井慶喜著『銀河鉄道の父』まずもって、父・政次郎の賢治に対する深い愛情に感心した。 賢治ばかりでなく、他の子供たちに対しても分け隔てなく愛情を注ぐ。 長男の賢治を好きな道に進ませるために、家業を継がなくても良いという政次郎の苦肉の判断は、明治期の家長制度の因習を壊すという、革新的な努力の上に成り立っている。 何よりも柔軟性と先見性の持ち主だからこそと思える。 宮沢賢治は政次郎の愛情の分身であり、作品でもあった。私たちの心を揺さぶる賢治の作品もしかり。 そこには賢治を通して政次郎の愛情がたっぷりと注ぎ込まれていることを忘れてはならないだろう。 (2023.6.5記)   メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪   
今年の方角は南南東。 いつからこんな習慣になってしまったのか、恵方巻をパクついたところです。 おそらく食品や流通業界の戦略でしょうね。 バレンタインデーもそうですが、節分も一大イベントになってきたと思います。 …ということで、節分の今日、話題の映画、『レジェンド&バタフライ』(大友啓史監督)を観てきました。 本音を言うと、本日封切の『仕掛人梅安』を観たかったんですが、キムタク好きなカミさんにほだされて足を運びました。 私は、どちらかというとキムタクは嫌いなほうですが、郷土の英雄・織田信長とあれば無視できません。 ほやかて、これでも岐阜県民だもんで(岐阜弁丸出し)。 昨年の『岐阜信長まつり』のパレードでは67万人もの人を集めたキムタクなんで、平日午前でもほぼ満席の盛況でした。 さすがに集客できる人気タレントですね。 ストーリーは、濃姫と結婚してから本能寺で果てるまでの30年間の夫婦愛を描くという切り口。 明智光秀との確執を含めて、信長のイメージが崩れるような新解釈もたくさんありましたが、素直に楽しむことができました。 名古屋弁や岐阜弁といった方言も、日頃からなじんでいるだけに親しみが湧きました。 キムタクはともかく、濃姫役の綾瀬はるかが良かったですね。 演技も美しさも別格です。 3時間という長い時間があっという間。 時代劇好きにはおススメの作品だと思います。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪   
封切ったばかりの映画『ラーゲリより愛を込めて』(瀬々敬久監督)を観てきました。 土曜日の午後とあって、満席の盛況。 第2次世界大戦後の1945年、シベリアの強制収容所に抑留された日本人捕虜たちの苦難の歴史を描いた、辺見じゅんのノンフィクション小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を基に制作された作品です。 主演を務めた二宮和也の演技も良かったですが、脇を固めた松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕もなかなか。 そして、妻・モジミ役の北川景子の美しさ。 彼女の存在感は、スクリーン映えする女優して、断トツのNO.1ではないでしょうか。 とにかく涙なしでは見れないストーリーです。 隣に座った女性のすすり泣きが終始聞こえていました。 戦争が終わってから11年間をシベリアに収容され強制労働をされた捕虜たちの苦難は、決して忘れてはいけない事実です。 ウクライナに対するロシア(当時はソ連)の蛮行を鑑みるまでもなく、ロシアの卑劣さは今も昔も変わっていません。 戦争の愚かさをつくづく考えさせられた映画でした。 今年、スクリーンで観た数少ない映画の中でも、一番の感動作となりました。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪   
本日封切の映画『ザリガニの鳴くところ』(米・オリヴィア・ニューマン監督)を観てきました。 2019&2020年の全米ベストセラーミステリで、2021年度の本屋大賞の翻訳部門1位に輝いた作品です。 私はこの作品を今年の2月に読みましたが、早くも映画化されたことに嬉しく思いました。 内容は原作にほぼ忠実なところが高評価です。 重量感がある長編の原作を、丁寧に描きながらも、よくぞ2時間に集約できたと拍手したいくらいです。 それと、何と言っても湿地の映像の美しさ。 鳥や生物たち、植物、水や空の青さ…圧倒的な映像美を見ているだけで幸せになります。 ヒロインのカイアを演じたデイジー・エドガー=ジョーンズは透明感あふれる美しい女優さんで、これからの活躍が期待できそうです。 また、カイアの子供時代の子役の演技も良かったですね。 ベストセラーの実写化は原作の内容を大きく曲げられたりして、得てしてハズレが多いのですが、この作品はアタリだと思います。 最後のシーンは原作を読んだ人には賛否両論が出そうですが、私はこれはこれでアリかなと思います。 …ということで、この映画、おススメです。 どうせなら、原作を読んでから映画を観る方が、さらに楽しめると思います。 ********************************** ※ついでに、『読書メーター』にアップした原作の感想載せておきます。 『ザリガニの鳴くところ』 2022.2.19記 重量感のある読書を堪能した。 生物学者の著者ならではの自然や鳥、生物たちの描写は秀逸。 物語の重要な要素としても鍵を握っており、その心地よさが読書の楽しさを倍増させてくれた。 それにしても本作に描かれた1960年代のアメリカの差別は想像以上だ。 人種ばかりでなく、貧困や住む土地など、普通の人々と違うことがあらゆる差別となって現れていたようだ。 先日観たスピルバーク版の『ウエストサイドストーリー』も、NYのスラムを舞台に、プエルトリコ移民と貧乏白人たちの差別を根っこにした物語だった。 差別がない世界を切に望みたい。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪   
昨日封切ったばかりの映画『ブレットトレイン』を観てきました。 伊坂幸太郎の小説を原作にブラッド・ピットが主演を務めています。 日本の町や新幹線をモデルにしたセットはすべてロサンゼルスで制作されたという鳴り物入りなので、上映前から期待に胸を膨らませて劇場に足を運びました。 内容はというと、まずもって、暴力と殺戮の嵐に辟易。 ストーリーもよく分からぬうちに、それこそ新幹線並みのスピードで終了。 正直言って、なんだこれ???? ブラピのひょうきんなユーモアが救いでしたが、支離滅裂な突っ込みどころ満載な内容にどっと疲れて、スクリーンを後に。 フードコートで食事中も、カミさんは阿部寛主演の『異動辞令は音楽隊!』にすれば良かったとしきりにつぶやいていました。 さて、話は変わりますが、私が住む岐阜県東濃地方には映画館がありません。 2館あった映画館が街から消えて25年。 文字通り、文化不毛の地なんですね。 来月、自宅から近い場所に東海地方最大級という『イオンモール土岐』がオープンしますが、残念なことに映画館が見送られてしまいました。 私もそうですが、地域住民にとって念願の映画館誘致でしたが、その願いも泡となってむなしく消えました。 経営なので、採算が取れないということも分かりますが、文化・娯楽施設である映画館のステイタスは地域にとっても大きく、少しでも人口増加の役割を担うと思っていました。 「レイトショーにいつでも行けるね」 …と待ち望んでいた私たち夫婦にとって、老後の楽しみを奪われた思いです。 まぁ、無いものをねだっても仕方ありません。 大きなスクリーンで観るのが楽しみの私たち。 引き続き40分かけて、映画館があるイオンモールの街にお金を落としに行くとしますか…。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪   
司馬遼太郎の原作『峠』が映画化されたということで、さっそく見に行ってきました。 監督は小泉堯史、主演は役所広司。 原作を読んだのは20年以上前なので、すっかり筋を忘れていましたが、映画全体の印象としては、盛り上がりに欠けて終わってしまったという感じです。 俳優陣はなかなかのキャストを揃えていただけに、これは何だか勿体ない。 河合継之助という幕末当時では珍しく、時代を見据える先見性と実行性を有した人物を2時間の凝縮枠で描くには、無理があったかもしれません。 軍略家、政治家としての類まれなスケールの大きな人物像が深堀されずに、表面的で終わってしまったような気がします。 それと、最期もあっけない。 …ということで、ちょっとばかし不完全燃焼となった映画でした。 原作、もう一度読んでみようかな。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
今年初めての映画を観てきました。 スピルバーグ監督『ウエストサイドストーリー』。 1961年公開の超名作のリメイク版です。 まん延防止のコロナ禍とあって座席は一人置きでしたが、金曜の平日なのにけっこう埋まっていました。 ストーリーはオリジナル版に近いですが、何といっても1960年代のニューヨークのスラムを再現したセットが素晴らしい。 スピルバークならではの緻密な映像描写や演出もさすがである。 もちろん、歌やダンスも。 そして、ヒロイン役のマリアを演じたレイチェル・ゼグラー。 清楚で綺麗な女優さんです。 久しぶりに堪能できた映画でした。 オリジナル版も、もう一度観たくなりました。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
久しぶりに原作を読んで映画を観るパターンを実行。 垣谷美雨著『老後の資金がありません』。 このところシリアスなノンフィクション系の本ばかり読んでいたので、軽いタッチのこうした小説は息抜きにちょうど良かった。 以下、感想です。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ コミカルだが、笑えない。 定年を迎え年金生活に突入する私にとっては他人ごとではないのだ。 年寄りにやさしくない今の社会、老後不安がカネと直結するのはやるせないが、これが現実だからしょうがない。 カネがなければ生きていくのもままならぬ。 娘の結婚や親の介護、失業、年金詐欺など、この作品ではカネに翻弄されながらもおいそれとは壊れない主人公と家族の絆を描いているのが救いだ。 葬儀にかかるリアルな試算には、見栄を捨てることと、カネをかけない家族葬にすることを改めて学習できたことに感謝。老いた父にもう一度話しておこう。  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 本を読んでから封切ったばかりの天海祐希主演の同名映画を観てきました。 ストーリーは脱線し、ドタバタ劇。 正直なところ、原作が面白かっただけにちょっと残念。 救いは天海祐希と松重豊のやりとり。 良い夫婦を演じていましたね。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
封切と同時に『燃えよ剣』(原田眞人監督)を観てきた。 コロナ禍の影響で公開が2年も延びたいわくつきの作品である。 司馬遼太郎の原作はずいぶん昔に読んだので、ストーリーを大方忘れていたが、思い出しながら楽しむことができた。 ただ、3時間近くの上映時間は長く、内容的にも冗長のきらいがあったように思う。 さらに、血なまぐさい殺陣のシーンが続くのもちょっとばかし閉口。 クライマックスの池田屋事件については相当な時間を割いていたし。 土方歳三や近藤勇は多摩の百姓の出なので、武士になり切れない野暮ったさや下品さがあったという。 それを意識してか、歩き方や言葉使い等の細かい描写など泥臭さがよく出ていたと思う。 また、幕末の雰囲気を伝える町家が並ぶ京都市内や東本願寺、清水寺、東寺、御所、二条城、五稜郭など見慣れた風景がロケ地として出てきたのもうれしい。 細かい点では、新撰組では浅黄色のダンダラ羽織が廃止された後、いわゆる黒装束を着ていたとされており、このあたりの経緯についても描写されており、映画作りのこだわりを感じた。 さらに、鳥羽伏見の戦いや函館戦争の合戦シーンのエキストラの数も半端ではなく、迫力満点。 幕末の争乱を見事に再現してくれたと思う。 新選組が暗躍し、土方や近藤が男を上げた時代は振り返ってみると、つい140年前。 しかし時は流れ、血で血を洗う維新の革命があったことすら感じさせない文明の発達した今の世に、男たちを熱くさせる奔流を感じるものはなにもない。 さてこの映画、 これまで数多く作られてきた新選組や土方歳三を主人公とする作品の中では、文句なしに秀逸の仕上がりになったと思う。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
昨日に続いて映画のお話です。 山田洋次監督作品『キネマの神様』は原田マハの同名小説の映画化です。 実は『MINAMATA』よりもずっと先に、8月の封切とほぼ同時にこの映画を観ていましたが、ブログにアップするタイミングを外していました。 主演は現在の主人公ゴウを沢田研二、若き日のゴウを菅田将暉が演じるダブルキャストですが、元々は志村けんさんの予定だったようです。 沢田研二に志村けんを重ね合わせつつ、志村ならどうだろうか…などと観ましたが、結論から言って往年のジュリーの面影はまったくなく演技が少し荒っぽい印象を差し引いても、沢田研二は良かったですね。 そして、この映画の良さはストーリーと構成の完成度。 これは、山田洋次監督ならでは。 さすがですね。 過去と現在が交錯する忙しさのなかでもパズルのピースをはめるがごとく、最後の一片も見事に収まった完璧さでした。 更に、映画女優役の北川景子がほんとうにキレイ。 銀幕の中にすっぽりと入りこんだ映像は、往年の小津映画の原節子ばり。 ノスタルジー溢れる映像とマッチして素晴らしかったです。 この映画は下馬評では日本版『ニュー・シネマ・パラダイス』の呼び声が高いようですが、そこまでいかなくてもさすがに山田洋次監督作品。 観て損はしなかったと思います。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
ジョニー・デップが製作・主演の『MINAMATA』(アンドリュー・レビタス監督・米)を観てきました。 水俣病訴訟から激化する抗議運動とそれを記録するアメリカ人写真家ユージン・スミスと妻のアイリーン・美緒子・スミスを描いた実話です。 ユージン・スミスが発表した水俣の写真集はずっと昔に見たことがあり、水俣病に侵された我が子と入浴する『入浴する智子と母』と題する作品は強烈なインパクトとして残っていました。 この映画では水俣病に苦しむ人々と共に生き、自らも危険にさらされながらも純粋な正義をもって巨大企業と闘う姿を描き切ったことに、深い感動を覚えました。 ユージン・スミスを演じたジョニー・デップはその姿かたちも瓜二つで、彼の真摯な役者魂を見た思いです。 昨年の日本縦断歩き旅で熊本県水俣市を歩きましたが、今となっては水俣病資料館に立ち寄らなかったことが残念でなりません。 日本の高度成長期の公害病訴訟を題材にしたシリアスな内容ですが、米国人写真家の視点から日本人を見つめた作品としては、異色にして一見の価値があるかと思います。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
実に、一年ぶりの映画です。 コロナ禍に煽られ、ずっと遠のいていた久しぶりの映画館です。 感染対策でしょうか、客席は一人置きに座る配置となっていました。 観た映画は、吉永小百合主演『いのちの停車場』(成島出監督)。 南杏子の同名小説がずっと気になっていましたが、原作を読まずに映画を先に見ることになりました。 この映画に取り上げられているのは、訪問診療医による在宅医療現場の格闘ですが、終末期の患者との対峙がどれも重く、そこには明るさが見出せません。 あげく、脳卒中後の疼痛に苦しむ父親から安楽死を懇願され、尊厳死との狭間の中で患者以上に苦しむ主人公の姿は、娘として、医師としての葛藤と、医療現場の厳しさを感じずにはいられません。 そんな意味では、重く苦しい内容にちょっとばかしネガティブな気分で、エンドロールを目で追うことになりました。 そして、主演の吉永小百合さんですが、 さすがに大女優、圧倒的な存在感がありますね。 しかし、それとは裏腹に吉永さんの映画を観ていつも感じるのは、“役になり切れない中途半端”さです。 今回は初の医師役ということでしたが、当たり役には程遠い。 むしろ、医療場面が全くなかった院長役の西田敏行さんのほうがはるかに医者らしかったと思います。 おかしな表現かもしれませんが、吉永さんには『吉永さんの役』しかできないのでは。 まさに“only one”ではないでしょうか。 私は一回り以上年が離れていますが、昔から吉永小百合さんのファンです。 これまでにもたくさんの作品を見てきましたが、少女の頃に主演した『キューポラのある町』(1962年)や『若い人』(1962年)、マドンナ役で出た『男はつらいよ』シリーズなどでは、役になり切った自然体の姿を見ることができたと思っています。 とはいえ、76歳の吉永小百合さんは、日本を代表する名女優には間違いありません。 いつまでも気になる存在でいて欲しいと思います。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
昨日、歩き旅を一時中断し秋田から自宅に戻りましたが、居座った梅雨前線のおかげで東海地方は雨の中。 一夜明けた今日も一日中降り続いています。 今回の旅であれだけ雨に辟易したのに、自宅に帰ってもこれではほとほと雨を恨みますね。 そんな中、パートに出かけるカミさんを見送ると何もすることがなくなり(笑)、久しぶりにレンタルDVD屋に行きました。 でもって、レンタルしたのが『ジョジョ・ラビット』(タイカ・ワイティティ監督 2019 米)。 この春、見逃していた映画で、ぜひ見たかったんです。 ナチスやホロコーストをモチーフにした作品はたくさんありますが、そのほとんどが暗く重たい内容といってもよいと思いますが、ユーモアあふれるコメディタッチで戦争を描いていることがこの映画の魅力ですね。 しかし、ヒットラーユーゲントに入隊した主人公ジョジョのナチスに洗脳された偏ったファシズム思想や、ユダヤ人の迫害や戦争シーンにいたってはかなりシリアスな場面も多くあります。 観終わった後、目をそむけたくなるような暗いシーンを帳消しにしてしまうのは全編に流れるユーモアにあると思いますが、監督の狙いはおそらくそこにあったんではないかと感じました。 ナチスやホロコースト関連の作品はその多くが被害者のユダヤ人側の視点から描かれたものが多いですが、そんな意味では加害者側のドイツ人の少年の目を通して描き切ったことに拍手を送りたいと思います。 ネタバレになりますが、戦争が終わってジョジョがナチの洗脳から覚醒し、ダンスで自由を表現した最後のシーンは痛快でした。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
緊急事態宣言が解除されて初めての映画を観てきました。 門田隆将原作のノンフィクション『死の淵を見た男』の映画化『Fukushima50』(若松節朗監督)です。 東日本大震災の津波による福島第一原発の事故に基づいた映画化ですが、あの時の再現をまるでリアルタイムで観ているような手に汗握る展開でした。 所長の吉田昌郎氏(2013年死去)のリーダーシップがなかったら、おそらくこの災害を収束することができなかったのではないかと改めて思いました。 そして、被爆を恐れずに原子炉に突入していく現場の作業員たちに、職人魂を見た思いです。 現実に、こうした決死の展開がされていたんですね。 吉田所長を演じた渡辺謙、伊崎当直長の佐藤浩市、どちらも迫真の演技だったと思います。 さて、この映画、劇場の入りは30人ほど。 席を思いっきり開けて、マスクをつけて座りました。 ついでに、原作は積読本のままです。 映画の余韻が覚めたら手に取ろうと思います。   メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
今年度のアカデミー賞作品、ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』(2019年韓国)を観ました。 受賞が決まってすぐの雨の日曜とあって、広い会場は満員の盛況でした。 経済大国になった韓国の貧富の格差を描いた作品ですが、そこに受験戦争や若者の就職難といった韓国が持つ深刻な社会問題が盛り込まれています。 半地下という住居があることすら知りませんでしたが、さらにその下に存在する地下生活者がいるという実態についても描がかれており、現代の韓国が抱える貧困層の実態を知るうえでは貴重な作品になったと考えます。 2018年に公開された是枝裕和監督作品『万引き家族』とどこか似ている点も感じましたが、どちらの作品もするどくえぐった視点で現代の闇を切り取ったことで成功した作品になったのではないでしょうか。 ネタバレになるのでこれ以上書きませんが、映画はやっぱりハッピーエンドじゃないと後味悪いですね。 この映画がアカデミー賞にふさわしいかどうかは別として、私的にはアカデミー賞作品は『何度観ても飽きない』『繰り返し観たい』という映画じゃなければ、と思っています。 ずいぶん勝手な基準ですが、そんな意味ではこの映画、二度目はないかな。 昨年のアカデミー賞作品『グリーンブック』は劇場で観て、DVDでも観て、忘れたころにまた観てみたいと思うし、2017年に作品賞を逃すも大ヒットした『ラ・ラ・ランド』にいたっては繰り返し何度も観ています。 映画は、ハッピーエンドですね。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
今年最初の映画は『CATS』(字幕版)。 言わずと知れたミュージカルの最高傑作の映画化です。 口コミではずいぶん酷評されているようですが、これは文句なしに楽しめましたね。 音楽とダンスのスケール、ミュージカルにはない映像美は映画でしか表現できません。 ヒロイン猫のヴィクトリアを演じるフランチェスカ・ヘイワードが何といってもキュートで可愛い。 さすがに世界を代表するバレエダンサーだけあって、その踊りも素晴らしい。 そして、見どころはグリザベラを演じるジェニファー・ハドソンがクライマックスで歌う『メモリー』。 圧倒的な歌唱力と表現力に鳥肌が立ちました。 年甲斐もなく泣けましたね。 この場面を見ただけでも価値があったと思います。 ミュージカルの『CATS』は25年ほど前にニューヨークのブロードウェイで観ました。 ストーリーは大方忘れてしまい、今回の映画版との比較もできませんでしたが、劇中歌『メモリー』については強く印象に残っていいます。 映画版といえども『メモリー』が流れたときに、25年前の感動がよみがえってしまい、条件反射のように涙が出てきました。 酷評された内容に猫のメイクが気色悪い、といったものが多かったようですが、メイクも凄いし、耳やしっぽの動き、それ以上に猫の動きを表現した役者魂に驚きました。 ぜひ見て欲しい映画だと思います。 ※入場時に貰ったポストカード貼っておきます  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
22年ぶりの新作となる、待ちに待った寅さん映画を見てきました。 封切二日目の土曜の夜でしたが、広い会場には20名程度しか観客はなく、ちょっと拍子抜けでした。 …予約をするほどじゃないかったですね。 22年の月日が流れ、寅さん役の渥美清をはじめ、主要な登場人物の6名が鬼籍に入っていますが、それでもスクリーンに映る年老いたさくら役の倍賞千恵子や博役の前田吟、今回の主人公である満男役の吉岡秀隆の姿を見ると、あぁ、寅さん映画が帰ってきたんだぁ…と思わずにはいられませんでした。 さて、シリーズ50作目になるという今作、これまでフィルムにこだわってきたという山田洋次監督が初めてデジタルで編集したというだけあって、過去と現在の場面がひんぱんに切り替わることにもまったく違和感がありません。 寅さんの顔のドアップも細かいシワや毛穴まで見えるくらいの鮮明な映像でした。 後半になって、走馬灯のように次々と映し出される過去の名場面や若かりしヒロインたちを見ていると、自然と涙が溢れてきました。 寅さんは満男だけではなく、私たち観客の心の中にも生きているんだと、改めて感じました。 そんな意味では、この映画のタイトル『お帰り寅さん』は間違いなく的を得ているんじゃないでしょうか。 私はけっこうな寅さんファンで、もちろん49作はすべて観ていますが、残念ながらリアルタイムでスクリーンで観たことは2作ほどしかありません。 寅さん映画は正月とお盆に封切られる定番でしたが、当時の若者たちにはなんだかダサい映画の代名詞のようで、デートになれば、私もご多分に漏れず海外の話題作に流れていました。 しかし、中年を過ぎ、還暦を迎えた今、この映画の良さがしみじみと分かるようになってきた自分がいます。 寅さんの舞台、柴又にも何度も足を運び、映像に出てくる美しく描かれたロケ地のほとんどを訪ねた今、改めて思うことは、日本という国の素晴らしさと、日本人に生まれてよかったなぁ…と。 山田洋次監督が50年の歳月をこの映画に費やしてきた志は、おそらくそこにあったんではないかと思ったりもします。  メインサイト『 琺瑯看板探検隊が行く』もどうぞご覧ください★ ↓♪ 良かったらポチッとお願いします ♪  
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