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P.コーンウェル『烙印』読了

最近は小説を読まなくなりました。

食わず嫌いもあるけど、ワクワク感というか、心の躍動を感じさせる作品に出会うことが減ったからと勝手に解釈してますが、裏返せば、私の場合は年齢的な部分からくる精神の衰えが大きそうです。
年を取ると、ちっとやそっとで感動しないし、騙されないし(?)、そもそも驚かない。
それが小説のようなフィクションの世界になるとなおさらです。
もう、少年の心に、虫を追っかけていた純真無垢のあの頃には戻れませんね。
もっとも、これは自分に限ったことですが…。

それがあってか、このところの読書傾向はもっぱらノンフィクションに傾いてますが、これはおそらく、この年になってもまだ知らない世界を覗いてみたいという、か細いがちょっとした知識欲からきていると思っています。

さて、そんな中で“読んでしまった小説”を紹介します。
パトリシア・コーンウェルの『検視官』シリーズ第24作『烙印』(2018年刊 上・下巻)。
第1作は1990年上梓なので、かれこれ30年近くこのシリーズとつきあってきました。
小説は読まないと言いながら矛盾していますが、こうなると完結まで意地でも読み続けてやろうと思います。

さて本作では、年を重ねた登場人物たちそれぞれがキャリアと円熟味を増した中で、ピート・マリーノの相変わらず下品でブレない存在感が健在です。
16作目から訳者が相原真理子さんから池田真紀子さんに代わりましたが、マリーノのキャラを変えることなく継承してくれたのがうれしい。
いつものことながらストーリーは冗長でマンネリ感は歪めないが、読者サービスだろうか、本作はマリーノやケイ・スカーペッタの体形や容貌を少しだけ小出しにしてくれたし、スカーペッタの若かりし頃の不倫体験などもありました(ちょっとネタバレかな)。
一番気になるスカーペッタやベントンの年齢は教えてくれませんが、マリーノを含めて50代前半かな?と想像している。

さて本作もいつも通り、最後の30ページがクライマックス。
そろそろこのパターンは飽きてきたが、小説は読まないとうそぶきながらも、それを承知で次作もきっと読むんでしょうね(笑)。


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[ 2020/05/09 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

日本列島徒歩縦断~勇気をもらった二冊

いつか自分も…と、ずっと憧れ続けていた日本列島を徒歩で縦断する夢。

病気になる前は、このチャレンジは手の届くところにあったはず。
しかし、人生は思うようにはいかない。
不意に襲ってきた病気によって、その距離が遠のいてしまった感は歪めない。

膵神経内分泌腫瘍による膵臓の半分切除と胆のう、脾臓の摘出、リンパ節郭清。
5年前には左副腎の摘出も経験した。
いってみれば、“空っぽオヤジ”だ。
頭じゃなくて、お腹のことだけど(笑)。

再発や転移の不安だってよぎる。
こんな体になって健康といえるのか、日本列島徒歩縦断などというとんでもないチャレンジができるのか??
今更だが、つくづく健康の大切さを思う。

でも、この二冊の本に出会ったおかげで、目の前がぱっと明るくなったんですね。
…ポジティブに考えようと。

笑福亭小松著『日本列島徒歩縦断 がん克服落語会』は、進行性の胃がんにより、胃、脾臓の全摘、膵臓の半分を切除した著者が130日間をかけて鹿児島→札幌間3000キロを徒歩縦断するレポート。
行く先々で落語会を催しながら自らの体験を語り、がん患者と交流していくという内容です。
点滴をしながら縦断をやり遂げる精神力には脱帽しかありません。
死に直面した時に『やった!!』いえる人生を選ぶための努力は、本人でなくとも感動します。

そしてもう一冊が、杉本允著『じんじくのニッポンてくてく縦断記』。
69歳で与那国島から北海道納沙布岬までの3900キロ(141日間)を踏破するレポートですが、著者は23歳のときに結核で片肺と肋骨7本を失くしています。
旅の間も体調を崩し、宿で静養し、4カ月も咳が止まらずといった読む側がハラハラする場面がいたるところに出てきますが、そこまでして目的に向かっていく意志がどこにあるのか…これが知りたくて最後まで読みました。

二人に共通しているのは、自分に負けずに(病気に負けずに)“やり遂げる”という、強いこだわりだったのではないかと思います。
そのこだわりこそが、憧れていた日本列島を徒歩で縦断するというチャレンジに結晶したのではないでしょうか。

私にとって今年の入院手術は大きなダメージになりましたが、私よりも厳しい境遇を背負った先達のチャレンジを読むにつれ、勇気をもらうことができました。
夢を、まだまだあきらめません。

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[ 2019/11/28 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

『SHIMADAS』2019年度版購入

今日発売の日本の島ガイド『SHIMADAS』2019年度版(日本離島センター 税込4400円)を購入しました。
初版は10月1日に出ていますが、本日発売分は第2版となります。
さすがに1712頁の厚さは半端ではありません。
その重量感と存在感はかつての電話帳のよう。
この本には有人島、無人島合わせて1750の島が紹介されていますが、島に行くことができなくても、眺めているだけでワクワクしてきます。“島フェチ”にとってはバイブルのような本です。
当分の間、デスクの上に鎮座させ、これからじっくりとページをめくっていきたいと思います。

さて、この本で礼文島に次いで4番目に紹介されているのが、北海道の利尻島。
面積182.12K㎡、周囲64Km、人口5090人、2418世帯の島です。この島の魅力はなんといっても利尻山(1718㍍)にあるといっても過言ではありません。
…といっても、こう断言できるのは山に興味がある人だけでしょうか(汗)。

私にとって利尻島は、青春の島といってもいいくらいの思い出があります。
1978年の19才の夏、北海道を一人旅し稚内からフェリーで利尻島に渡ったのが8月26日。
翌朝5時に鴛泊港から登山を開始し、利尻山頂上9時着。
そのまま踵を返して11時に鴛泊港着というスピード登山でした。
当時の山行記録を読んでさらに驚いたのが、その足で、港からレンタサイクルで島の一周(56キロ)をしたということ。
これを3時間ほどでやっている。
一日に登山とサイクリングを組み合わせたチャレンジは、体力があり余っていたとしか思えません。
還暦を過ぎた今では考えられないチャレンジに、若かったんだなあ…と感心しきりです。

古いアルバムにあった、利尻山頂上(1978年8月27日登頂)で撮った写真。
良い顔しています(ニッカーズボンが懐かしい・笑)。

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[ 2019/11/22 ] 読書 | TB(0) | CM(2)

クレイグ・マクラクラン四部作を読む

電車通勤の良いところは、本が読めることでしょうか。
復職して往復3時間の通勤がスタートしましたが、つまらない仕事に比べると読書をしているときがいちばんの至福のひとときです。

最近ブックオフのオンライン通販で手に入れたのがクレイグ・マクラクラン著『ガイジン巡礼珍道中』(2003年小学館文庫)。
西国三十三か所の寺院を徒歩とママチャリで23日間で成し遂げる旅のレポートです。

著者の本は四冊出ていますが、最初に出版された99日間で達成した『ニッポン縦断歩き旅』(1998年同)から、二作目の78日間で達成した『ニッポン百名山よじ登り』(1999年同)、そして三作目の30日間の記録『四国八十八か所夏遍路』(2000年同)までは出版と同時に購入して読んできました。
しかし、最後の四作目『ガイジン巡礼珍道中』が手に入らず、ようやくこの数日間で読むことができました。
いずれのチャレンジも徒歩や自転車といった人力によるもので、しかもそのスピードも凄いですが、野宿を中心とした旅の記録だということに価値を感じます。
おそらく、日本人でもこれに並ぶチャレンジをした人は少ない(いない?)のではないかと思います。

チャレンジの理由については、著者がシリーズの中で「日本をもっと知りたいから」「本当の日本を探して」と幾度も書いていますが、日本人の奥さんを持ち、母国のニュージーランドと行ったり来たりの生活の中で親日家として過ごしてきても、日本の魅力をもっともっと追求したいという欲求にはまったく頭が下がります。

田舎の暮らしや銭湯のルールなど、日本人では当たり前のこともガイジンならではの疑問や驚きの表現が随所にちりばめられていて楽しいです。
かたや、国道沿いや山に捨てられたゴミやたばこの吸い殻に憤慨したり、ケータイに毒された国民性にあきれたり、海外に行ったのに外国人とひと言も話さずに帰ってくる団体ツアー…といった辛辣な批判に感心することしきりです。

最後の四作目が出てから16年が経ち、冒険紀行としてもそろそろ古典の部類になってきましたが、目標に向かって人力でやり遂げるという根底にあるこだわりの精神は、時代が変わっても決して風化しないと思います。

いつの日にか、私にもこんな旅ができたらと…うーん、夢ですが。


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[ 2019/11/07 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

本棚の整理をしました

3畳から6畳の部屋へ書斎の引越し作業を開始して半月。
消費税が上がる前の駆け込み注文で、ブラインドの取り付け、読書用の一人椅子とスタンドランプを購入し、ようやく書斎の体裁が整いました。

更に、既製の本棚に加え、DIYで自作した壁一面本棚と文庫専用本棚に1500冊の蔵書が収まりました。

何しろ、自宅療養をいいことに暇を持て余している身。
時間はたっぷりあります。
これを機会に本棚に並べるルールを見直して、カテゴリー毎に棚(セル)を埋めることにしました。
参考にした本が成毛眞著『本棚にもルールがある』。

著者曰く、「社会人として、①サイエンス②経済③歴史のセルがない本棚は作ってはならない」ということですが、そろそろリタイヤして隠遁生活に入る私にとってはそんなことどうでもよくて、自分の好きな分野をひたすら読むことにこだわっています。
もちろん、偏ったってかまやしない(笑)。

現在の蔵書の内訳をみると、ノンフィクションと文学(小説)の比率は7対3くらいですが、最近は新刊の小説をほとんど買うこともなく、読み続けているシリーズを一年遅れでもっぱらBOOK OFFで購入しています。
小説離れが進んで、好きなカテゴリーを中心としたノンフィクションに読書傾向が移行しているようです。

本の並べ方には強いこだわりもなく、どちらかというと見栄え重視で、規格別(大型本、単行本、新書、文庫)→出版社別→著者別に並べていました。
今回は以下のように文庫本(小説)を専用本棚に一括りにし、ノンフィクションは大まかなカテゴリー毎に棚(セル)を括って並べ替えをしました。

※冊数の多いカテゴリー順
 ①小説…古典小説→時代小説→海外ミステリ→現代小説→エッセイ
 ②山行記、山の随筆、山のガイド、山岳会会報
 ③旅行記、紀行、冒険記
 ④歴史…日本古代史、幕末、ナチスドイツ(ユダヤ、ホロコースト)
 ⑤コミック
 ⑥地図
 ⑦自然科学…古生物、地学、昆虫、離島
 ⑧社会科学…貧困、老齢化、社会保障、事件、環境、原発、風俗、葬送
 ⑨経済…ビジネス、ハウツー、韓国中国外交
 ⑩書誌学…書評、本棚、ブックガイド
 ⑪雑誌
 ⑫その他…昭和レトロ、日本酒、鉄道、料理、町並み、渓流釣り、民俗学、遊郭跡、カメラ等

著者別にまとめることをできるだけ踏襲しましたが、カテゴリーでくくると、棚の中に単行本や新書、文庫が混在します。
それでも見やすさ、探しやすさを考えた場合、悪くありませんね。

さて、蔵書は本棚にうまく収まりましたが、棚のスペースはすべて埋めることなく、2~3割ほど開けています。
もちろん、今後の本の購入を考えてのことですが、増えた分だけ処分することは常に念頭におく必要があります。

一般的な木造家屋では1平方メートルで180kgが荷重限度のようです。
優良住宅ではその倍の360kgなので、昨年新築した我が家は後者でいけそうです。
しかし、我が家は本を置くための構造強化をしていませんし、まして書斎は2階。
いまのところ床鳴りや傾き、建具の立て付けは大丈夫です。

どちらにせよ本が増えすぎて、床が抜けては本末転倒ですね。
これ以上本を増やさないように努力しようと思います。

…そこで参考になったのが、西牟田靖著『本で床は抜けるのか』

故・井上ひさし氏のお家が、あまりの本の重さで床が抜けてしまったというくだりは笑ってしまいました。

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※メインの壁一面本棚(1800×2500)と文庫専用棚(2350×810)

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※人力(徒歩・自転車・リヤカー)による縦断記、横断記。大好きなカテゴリーの一つです

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※本棚整理の参考書

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[ 2019/10/08 ] 読書 | TB(0) | CM(2)

さらば、フロスト警部!! R.Dウィングフィールド著『フロスト始末』を読む

『A Killing Frost』…日本版では『フロスト始末』(上下巻 創元推理文庫)を読みました。
フロスト警部シリーズの6作目であり、R..Dウィングフィールドの遺作である。
今更ですが、イギリスの警察小説の金字塔であり、自分にとっても最高峰と言っていいぐらいの海外ミステリです。
前作『冬のフロスト』が2014年に上梓されたとき、遺作の『A Killing Frost』の翻訳は2020年以降になるという下馬評でしたが、うれしいことに3年後の2017年、待ちに待った翻訳です。

嬉しかったですね。
一行一行を舐めるように、慈しむようにページをめくりました。

遺作となった今作はシリーズの中でも最高傑作だと思いますね。
このシリーズをもう読むことができないと思うと、思いっきり寂しくもありますが、私の心の中にはフロスト警部がずっと生き続けていく気がします。

猥雑で下品、それでいて優しくて、どこか哀愁が漂うおっさん。
そしてめちゃくちゃ忙しく、眠ることさえ許されない仕事師。
こんな魅力的なキャラは二度と現れないと思います。

さらば、フロスト警部!!

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[ 2018/01/04 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

百田尚樹著『フォルトゥナの瞳』

久し振りの読書評です。
『風の中のマリア』『ボックス』』『錨を上げよ』『永遠の0』『海賊と呼ばれた男』等、百田尚樹の作品には肉厚で読み応えのある作品もありますが、『フォルトゥナの瞳』、これはどうでしょうか。
一言でいえばちゃちゃっと書いて、ちゃちゃっと出版かな。
人気作家になりすぎて、作品の中身が薄くなってますね。
こんなのを読むと、安売り量産の作家だと思えてしまう。

死後の世界とのコンタクトをモチーフにした作品には、天童荒太『悼む人』や浅田次郎『椿山課長の7日間』がすぐ思い浮かびますが、『フォルトゥナの瞳』は先のストリーはおろか結末まで読めてしまうので、小説の世界にどっぷり浸かれないですね。
ラストページでは、思った通りの展開になってさらにがっかりしました。
映画化するには面白いかもしれませんが、それもB級作品。
小説としてはもっと読ませてほしかったと思いますね。

好きな作家なので、あえて辛口評です。
*2017.1.20読了

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[ 2017/02/06 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

蛭子能収著 『ひとりぼっちを笑うな』

13万部突破の新書。
副題に『内向的人間の幸福論』とある。
実はこれ、新聞の書評をみて、読みたくなった本。

蛭子さんはテレビの露出も多く、印象としては限りなく"変なおじさん"である。
事実、地そのままをいく、我がままな変なおじさんなんだけど、反面、それを補って余るほど"良い人"。

できるだけ目立たずに、出しゃばらない。
自己主張なんてとんでもない。
友達は作らない。
ひとりぼっちは楽しい…

こうした蛭子さんのポリシーは、実は、自分にとって思いっきり共感ができる。
同じ匂いを感じるのだ。

今の仕事をする上で、人とのコミュニケーションや、状況によっては積極的な関わりが不可欠であるが、できれば、そんなもの全部捨て去って、一人になり、楽になりたいと絶えず思っている自分がいる。
群れなくてはやっていけない職場社会で、群れたくない自分は、絶えず心の葛藤を感じている。
休日はいつも一人で、好きなことをするのが自分流だし、一人でいることのほうが性に合っていることも蛭子さんと同じである。

…かといって、孤独が好きなわけではない。
矛盾しているかもしれないが、私のことを肉親以上に理解しているカミさんといることが自分にとって一番落ち着くのも事実で、
できれば単身赴任から一刻も早く解放されたいと思っているくらいだ。

人づき合い、って本当に必要なんだろうか。
社会のルール、習慣に惑わされて、人や地域社会と接点を持っていくことが流れ作業になっていないだろうか。
人づきあいをしなくても、生きていくことはできないだろうか。

ひとりぼっちを笑ってほしくない…
人間は一人で生まれて、一人で死んでいく。
死ぬために生まれてきたということを忘れてはいけない。

"変なおじさん"の蛭子さんの本、"変な自分"には思いっきり、どストライクでした。

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[ 2016/02/27 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

武良布枝著『ゲゲゲの女房』

今さらですが、2010年にNHK連続ドラマになった『ゲゲゲの女房』の原作を読みました。
昨年の暮れに水木しげるが亡くなったこともあって、手に取ってみました。

僕にとって水木しげるは、手塚治虫、石ノ森章太郎、藤子不二雄と並ぶ漫画界の巨匠。
子供の頃からのファンで、むさぼるように読んでいました。
もちろん、『ゲゲゲ』ではなく、『墓場の鬼太郎』時代からなので、相当に長いつきあいです。

中学時代はちょっとませたガキだったんで、月間漫画雑誌『ガロ』を読み、水木しげる、つげ義春の作品がご贔屓でした。

さて、この本の著者は水木しげるの奥様である武良布枝さん。
水木との結婚から晩年までを、さらりとたんたんとした筆致で綴っています。

貧乏時代の話も壮絶ですが、明るく笑顔を忘れずに乗り越えていくその姿が、日本女性の芯の強さと相まって感心します。
夫を立てる謙虚さと、たくさんのやさしさが文章に溢れていますね。
一気読みでしたが、読後感も爽やかでした。

この本を読んでから、ドラマも観たくなってしまい、YouTubeにアップされている動画を探してみたら総集編がありました。
何と、3時間ぶっ通しで観ました(笑)。

松下奈緒の演技がイメージ通りで良かったですね。

『マッサン』以来、連ドラマニアになって、このところは『あさが来た』の録画を毎日楽しみにしているくらいですが、『ゲゲゲの女房』を見逃したのは今さらながらに後悔しています。

総集編を観た限りでは、原作に忠実だったのも好感が持てました。


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[ 2016/01/26 ] 読書 | TB(0) | CM(2)

村上龍著 『55歳からのハローライフ』

村上龍の『55歳からのハローライフ』(幻冬舎文庫)を読んだのは3か月前だけど、今年になってNHKでドラマ化されることになり、6月14日から始まった毎週土曜日の放映をワクワクしながら観ていた。

原作は以下の5話で構成されている。

1.結婚相談所
2.空を飛ぶ夢をもう一度
3.キャンピングカー
4.ペットロス
5.トラベルヘルパー

ドラマは順番は違えど、演技派の役者揃いで楽しめた内容。
何より、原作に忠実に描かれていたのが評価できる。
中でも、昨日7月12日放映の「空を飛ぶ夢をもう一度」は、東京山谷のホームレスというディープなロケなので、映像化は難しいだろうな…と思っていましたが、イッセー尾形や火野正平の熱演で、小説を超えるようなインパクトがありました。

小説のあとがきで、村上龍は、
"主人公たちは、人生の折り返し点を過ぎて、何とか再出発を果たそうとする中高年である。体力も弱って来て、経済的にも万全ではなく、そして折に触れて老いを意識せざるを得ない。そういった人々は、この生きづらい時代をどうやってサバイバルすればいいのか?"
その問いが作品の核だった。
…と書いている。

この作品に思いを込めた作者・村上龍の意図は、55歳という老後を意識するとば口に立った人々が、様々な環境の中でこれからの自分の生き方を見つめ直すことへの応援歌にあるようだ。
主人公のスタイルも、お金に困って老後が不安な人や、60歳を過ぎても一人身のその日暮らし、熟年離婚した主婦、早期退職して自分の夢を追うも妻との考え方の乖離に悩む人等、様々なパターンを取り上げている。

かく言う僕も55歳。
思い描くこれからの人生は漠としたものしかなく、カミさんと老後の設計を話し合っているわけでもない。
残り数年に迫った定年と、それからのハローライフを考えてみたくなった。

55歳からのハローライフ (幻冬舎文庫)55歳からのハローライフ (幻冬舎文庫)
(2014/04/10)
村上 龍

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[ 2014/07/13 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

R.Dウィングフィールド著 『冬のフロスト』と『A Killing Frost』

待ちに待った作品、R.Dウィングフィールド著『冬のフロスト』(上下巻 創元推理文庫)を読了。
前作『フロスト気質』の邦訳上梓が2008年なので、実に5年間も待たされたわけだ。
自分にとってイギリスの正統派ミステリはなじみが薄いが、この作品は別格で世界を代表する警察小説の金字塔だと勝手に思っている。
主人公のフロスト警部は風采が上がらない、行き当たりばったりのいい加減なオヤジ。
更にセクハラたっぷりの下品なトークの連発となれば、ユーモアを通り越して引いてしまう場面も多い。
しかし、知らないうちにこの人物の魅力にぐいぐい引き込まれてしまうのが不思議だ。
気づいたときには上下巻1000頁を一気に読まされてしまうのだ。

本国イギリスでは1984年の『クリスマスのフロスト』からシリーズが始まり、現在2008年に発表された『A Killing Frost』までが出ている。
シリーズは『A Killing Frost』で完結となる。その理由は著者のウィングフィールドが2007年に亡くなっているからだ。邦訳は2020年以降となるという情報もあり、いつの日か原書版のペーパーバックに挑戦してみようかとひそかに思っている。

ともあれ、パワフルで、下品で、やさしくて、人情味があって…そして哀愁が漂うフロスト警部。
猛烈に忙しい主人公の魅力に、どっぷりとはまらせてもらった。

冬のフロスト<上> (創元推理文庫)冬のフロスト<上> (創元推理文庫)
(2013/06/28)
R・D・ウィングフィールド

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冬のフロスト<下> (創元推理文庫)冬のフロスト<下> (創元推理文庫)
(2013/06/28)
R・D・ウィングフィールド

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A Killing FrostA Killing Frost
(2008/05/13)
R.D. Wingfield

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[ 2014/01/19 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

黒野伸一著 『限界集落株式会社』

日本全国には限界集落が1万カ所以上あるという。
限界集落とは、過疎化などで人口の過半数を65才以上の高齢者が占める地域であり、公共機能が低下している地域をいう。
無医村、公共交通機関、教育機関の廃止、郵便局や生活必需品を買う施設もない。
いわゆる「ないないづくし」の状態になっている地域が限界集落である。

黒野伸一著『限界集落株式会社』は、そんな限界集落を舞台にし、農業で村おこしを目指す物語だ。
都心のIT企業を辞めて、祖父の家がある限界集落に戻った主人公が村人を動かし、
村の存続を目標に、農業を軸に復興と活性化を行っていくストーリーはなかなか痛快である。

小説の世界とはいえ、地方を取り巻く今の行政のあり方にも一石を投じる内容であり、なかなか読ませてくれた。☆☆☆☆★

限界集落株式会社限界集落株式会社
(2011/11/25)
黒野 伸一

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[ 2013/12/08 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

高山文彦著 『エレクトラ~中上健次の生涯』

中上健次は気になる作家の一人だが、なぜかこれまでその作品に触れたことがなかった。
苦手な純文学、芥川賞作家、難解な表現、更に作家から匂う暴力的な風貌が自分の中で危険信号となって増幅し、
触れてはいけないイメージと重なって、ずっと敬遠していたのかもしれない。

中上の生涯を描いた高山文彦『エレクトラ』は、このところの出張の友として鞄に入れていた。
作者は被差別部落で生まれ育った中上の少年時代から、作家として認められていく過程をあますことなく綴っていく。
46歳で逝く晩年では、中上が故郷・新宮の路地にこだわる心境を見事に分解、分析してみせる。
この手法は出世作となった『火花~北条民雄の生涯』で確立した、執拗なまでの取材が基盤となっている。
これまで中上作品を読んだことがない僕にも、すぐに手に取ってみたくなる魅力的な表現があふれているのだ。

あまたのノンフィクション作家がいるが、高山文彦は自分の中では格別の存在として位置づけたくなった。

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【後日談】
中上健次の作品が読みたくなって市内の大型書店やブックオフに足を運んだが、一冊も置いていない!!
三部作『岬』『枯木灘』『火宅』ぐらいはあるだろうとタカをくくっていたけど…中上健次は過去の作家になってしまったようだ。
仕方ないので、今度は近所の図書館に行ってみたが、ここにもない。
こうなると意地でも探してやる…とばかりに、ネットオークションを漁っています。

エレクトラ―中上健次の生涯 (文春文庫)エレクトラ―中上健次の生涯 (文春文庫)
(2010/08/04)
高山 文彦

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[ 2013/06/30 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

いとうせいこう&みうらじゅん著 『見仏記6』

20年も続いている人気シリーズ。仏像ブーム?はここから始まったといってもいい。オタクっぽいい作家のとうせいこうと、子供がそのまま大人になったようなイラストレーターのみうらじゅんの絶妙なコンビネーションがこのシリーズのウリである。
地味で抹香臭い仏像の世界を、ポップな感覚で書いていくいとうと、さらにその上を行くみうらのセンスにぐいぐい引き込まれてしまう。このシリーズの良いところは、いきあたりばったりの旅の要素と、みうらの何をしでかすか分からない先が見えない天然的な行動に目が離せないところ。
それでいて、仏像のウンチクはかなり専門的な分野にまで発展するので、思わずすぐにでも(仏像を)見に行きたくなってしまう。見仏記6は、私の地元でもある東海地方の円空仏も取り上げられており、龍泉寺や荒子観音の項を興味深く読んだ。
それにしても、みうらじゅんは私と同年齢とは到底思えない。これは良い意味で言っているのだが、子供の心をそのまま持ち続けていく大人のなんと素晴らしいことか。広く、みうらの作品に触れるにつけ、その表現や行き方への羨ましさがどんどん倍加していくのだ。

見仏記6 ぶらり旅篇 (角川文庫)見仏記6 ぶらり旅篇 (角川文庫)
(2012/08/25)
いとう せいこう、みうら じゅん 他

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[ 2013/02/07 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

佐野眞一著 『怪優伝~三國連太郎・死ぬまで演じつづけること』を読む

89歳にして現役、名優・三國連太郎の対話ノンフィクションである。
三國が自薦した映画10本を著者と鑑賞し、対談形式でその時折の心の内を探っていくという内容。
ストレートかつ、内面をえぐるようなインタビューは佐野眞一の真骨頂がよく出ており、
三國の謎めいた生きざまに迫る作品に仕上がっている。
『飢餓海峡』『利休』など選ばれた映画の中でも、以前から気になっていた作品があったので、
早速レンタルしてきた。

山田洋次監督作品の『息子』(1991年)は、椎名誠の原作の映画化で、三國68歳の作品。
息子(永瀬正敏)の父親役を演じる三國は、黒沢明監督『生きる』で志村喬が演じた老人役をほうふつとさせる雰囲気があった。肩の力を抜いた自然体の演技は、改めて三國の凄さを感じた。
また、息子の恋人役で聾唖のヒロインを演じた、当時21歳の和久井映見の初々しさと美しさが光っていた。

さて、三國連太郎であるが、今年7月に三國が心筋梗塞で急逝というニュースがネット上に出回った。静岡県沼津市の老人ホームにいるという情報もあり、さすがに役者である。いくつになっても謎めいた人物である。

怪優伝――三國連太郎・死ぬまで演じつづけること怪優伝――三國連太郎・死ぬまで演じつづけること
(2011/11/16)
佐野 眞一

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あの頃映画 息子 [DVD]あの頃映画 息子 [DVD]
(2012/12/21)
三國連太郎、永瀬正敏 他

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[ 2012/11/10 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

佐野眞一著 『別海から来た女』

睡眠薬と煉炭を使った連続殺人で、平成の毒婦として有名になった木嶋佳苗のノンフィクションである。
世の男たちは、なんであんなデブ、ブスに騙されてしまうのか?
世間の関心はこれしかないから、事件後、この一点を興味本位に扱った情報がわんさと出た。
今年4月に木嶋に死刑判決が出たあと、被告は即刻控訴するが、その後、この事件に関わる報道も一旦は終焉したかのようだ。
そこにきて、佐野眞一の新刊ということで本書が上梓されたから、にわかにまた木嶋佳苗ブームが起こっている。
さて、この作品であるが、いつもの佐野の取材セオリーどおり、まずは木嶋のルーツを探るべく、北海道別海からダムに沈んだ福井県九頭竜川の村まで取材は広範囲にわたっていく。
木嶋が育った“ど田舎”の別海と、木嶋が毒婦になっていく“大都会”の東京を対比させることにより、ゆがんだ木嶋の精神と性癖を、事件の根源として一族のルーツとその格差に求めていくのはあまりにもこじつけである。
『東電OL殺人事件』でみせた、執拗な裏取材に基づいた説得力の鋭さは本書にはなく、人間心理を深く読み込む佐野のこれまでの手法が、とってつけたような安易な“決め付け”に変わっている。
「木嶋、お前がやったに違いない」…気づいたときには、こんな感じで全編を読まされしてまったと思う。
被害者たちと木嶋との関わりも充分に書ききれていないし、何よりも木嶋ブームに乗り遅れまいと、適当な取材で妥協し、出版したことも、一攫千金を狙った薄っ平な作品に思えて、佐野のファンとして残念でならない。

別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判
(2012/05/25)
佐野 眞一

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[ 2012/10/14 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

百田尚樹著 『海賊とよばれた男』

僕にとっては目が話せない作家、百田尚樹の書き下ろし新作『海賊とよばれた男』を読んだ。
上下巻の大作ながら、一気読み。
物語の主人公は日本の石油王と呼ばれた出光興産創業者の出光佐三氏である。
裸一貫から日本を代表する企業である出光グループを作り上げるサクセスストーリーであるが、
その波乱万丈の“熱い”物語に、血肉が踊るほどの感動を味わうことができた。
人を信じるがゆえに、馘首をしない、出勤簿なし、定年制無し…という破天荒な社風は、社員を家族の一員として
信頼していく佐三氏(作品内では国岡鐵三)の信念に、武士道を漂わせた明治男の頑なな正義が見える。
こうした社風は平成にまで受け継がれ、出光興産は唯一の民族系石油会社として存続をしてきている。

百田尚樹の作品は、『錨を捨てよ』や『ボックス』、『風の中のマリア』や『聖夜の贈り物』、前作の時代小説の『影法師』にしかり、1作ごとに作風を変え、様々なカテゴリーへのチャレンジを意図的に行ってきているが、今回の作品は、ノンフィクションを十分に意識した企業小説、立志伝、評伝として、そのチャレンジが成功した出来になったと思う。
まさに“百田ワールド”。
『永遠の0』を読んだ人ならば、思わずニヤリとするサービス精神にも感心するだろう。

海賊とよばれた男 上海賊とよばれた男 上
(2012/07/12)
百田 尚樹

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[ 2012/09/27 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

増田俊也著 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』

この2週間ひたすら読み続けた、実に2段組7000ページの大作。
戦前から戦中にかけて、「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と言われた日本最強の柔道家のノンフィクションである。戦前の全日本柔道選士権を3連覇し、天覧試合を優勝、15年間不敗を誇った男がなぜ力道山との決戦(1954年)で破れたのか…。
それは本当に真剣勝負だったのか、プロレスというショービジネスを背景にした八百長まがいの見世物だったのか、2人とも故人となった今、その真実はいまだ謎に包まれたままだ。
本書は木村の生い立ちから師匠牛島辰熊との出会い、一日9時間の練習を重ねた拓殖大学柔道部時代、そして終戦後のプロ柔道旗揚げからプロレスへの転進、力動山との因縁の対決、その後の流転の人生を追跡し、あますところなく綴っていく。
著者自身も北大柔道部出身ということで、18年に及ぶ取材を通して、柔道への愛情、カリスマ木村政彦への強い思いをこの作品にぶつけたという背景がある。

アマチュア時代の木村政彦の全盛期の強さを記録する映像は残っていないが、力道山との対戦以外にもブラジル最強の格闘家エリオ・グレーシーとの試合や、木村が60歳のときの大外刈りから寝技に持ち込む強烈な映像が今もYouTubeで観ることができる。改めて木村政彦の凄さを感じることができると思う。
力道山との試合の時には、まだ生まれていなかった僕はリアルタイムでもちろん観ていたわけではないが、テレビの黎明期に重なった当時を生きた人々にとって最高のパフォーマンスであり、今も語り草になっている出来事だったようだ。
今度、実家に戻ったら、老いた親父に「木村政彦を知っているか」と、聞いてみようと思う。

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
(2011/09/30)
増田 俊也

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[ 2012/06/16 ] 読書 | TB(0) | CM(1)

「河北新報のいちばん長い日」

ドラマ化もされて話題になった本。
東京出張の往復の新幹線の中で、一気読み。

東日本大震災という未曽有の災害に遭遇したなかで、
新聞を毎日発行し続けるという社員達の執念が、この本の骨格である。
創業以来114年間に渡っての新聞事業へのこだわりが、企業理念と見事に調和して、
社員一人ひとりにDNAとして受け継がれているのだ。

また、東北で起こった災害を、東北の新聞社として、東北の人々に伝えたいという
強い使命感で、スクープばかりにこだわらず、読者の顔を見ながらタイトルの
一字一句にまで気遣いをするスタンスがすばらしい。
「死者」ではなく「犠牲者」と置き換える心遣いである。
河北新報が長きに亘り、地域に根ざす新聞として、地元民から支持されているゆえんだろう。

実名による文章も真実感があり、ノンフィクションの読み物としても成功していると思う。

河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙
(2011/10/27)
河北新報社

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[ 2012/05/16 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

小沢正樹著 「鍾馗さんを探せ!!」

私のサイトと相互リンクしている、「鍾馗博物館」のkiteさんの自著。

京都の町に残る三千体の鍾馗さんを訪ねて、ウンチクや研究成果をまとめた内容です。
誰もが気軽に手に取れるように、肩が凝らないガイドブック風になっているので、
京都散策の旅人には、また違った京都の魅力を感じ取ることができそうです。

そもそも、私が鍾馗さんの存在を知ったのは、kiteさんのサイトが最初でしたが、
おそらくこの本を手にとることで、初めて鍾馗さんに触れる方もいるかもしれません。
一口にその魅力は千差万別で、歴史的意味合いや多様なデザイン、探索の楽しさ等、
多方面の興味深い情報提供をされているのが、この本の一番のウリだと思います。
掲載されている鍾馗さんそれぞれに、愛着をもったメッセージが添えられており、
一体の鍾馗さんを求めて、路地の隅々まで訪ね歩く著者の執念も伝わってきます。

※出版社の戦略なのか、女性の購入者を意識して(?)、カメラを提げたモデルの女性をちりばめているレイアウトが少々気になりますが、旅行雑誌やタウン誌のような軽いノリで、地味な鍾馗さんの世界を広く伝えようという努力は買いたいと思います。

鍾馗さんを探せ!!: 京都の屋根のちいさな守り神鍾馗さんを探せ!!: 京都の屋根のちいさな守り神
(2012/02/10)
小澤 正樹

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[ 2012/04/28 ] 読書 | TB(0) | CM(0)