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45年ぶりに読む、谷崎潤一郎著『春琴抄』

二回目のワクチン接種から4日が経過し、すっかり左肩の筋肉痛も消えました。
今にして思えば、接種翌日の体のだるさとちょっとした悪寒は、やはり副反応だったかもしれません。
どっちにしろ、あとは抗体ができるのを待つだけ。

全国的に拡大する感染まん延に対処するには、今のところ接種しかないのが現実です。
感染者が多い20代、30代の接種を早急に拡充する手を打つのが国としての責務であると思いますね。
本日、開会式が行われるオリンピックのゴタゴタといい、ワクチン対策の甘さといい、国はいったい何やってるんだといいたい。

…まぁ、あんまりカリカリしても血圧が上がるだけなので、ちょっと冷静になって本の話を。

春琴、ほんとうの名は鵙屋琴…で始まる谷崎潤一郎の不朽の名作『春琴抄』を再読しました。
45年前の高校生の頃、山口百恵と三浦友和コンビの同名映画が封切られており、それに感化されて手に取った小説です。
結局、映画は観ることもなく小説で我慢していましたが、今思うと観とけばよかったと後悔しきり。
古い作品なのでレンタルで探しても見つからず、こうなりゃ、アマゾンプライムで購入するしかないかなと思っています。

さて、『春琴抄』ですが、うぶだった高校生の時読んだ印象は、春琴に対する佐助の献身的で純粋な愛にいたく感動したことを覚えています。
その後、谷崎の代表作『痴人の愛』や『鍵』『瘋癲老人日記』を始めとした一連のマゾヒズム、フェティズム作品を、私自身の成長とともに何度も再読しましたが、いずれの作品も10代で読んだ時の印象とはまったく違うものになっています。

谷崎作品の奥深さとそこに広がる世界観は、やはり谷崎がただものではないということを再認識させられます。
10年長生きしていたら谷崎がノーベル賞を獲ったであろう、ということもうなづけます。

『春琴抄』もしかり。
わずか70ページの短編にも関わらず、改めてこの作品の凄さに圧倒されました。
谷崎を読むうえでその根底を貫流しているマゾヒズム的幻影を理解して、初めてその作品群の端緒に触れることができた気がします。
春琴と佐助の関係は単なる主従ではなく、そこにはゆがんだ愛のカタチが見え隠れしています。
火傷を負う前の春琴の美しい顔を永遠の残像とするために、自らの眼球を針でつく佐助の究極の自虐行為は、常人には理解できないマゾヒストとして精神的快楽の極致にあったとも解釈できます。

10代で手に取ったのは、まだ早かったと、今になって思います。
でも、10代で読んだからこそ、今の読書を楽しんでいるわけです。
10年後、20年後に読んだら、また印象が変わるかもしれませんが…。

十人十色の読み方がある。
真の名作とは、まさにこうした作品のことを言うんでしょうね。

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[ 2021/07/23 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

6月の読書

いつの間にか、7月。
一年の半分が過ぎてしまった。
梅雨入りが早かった今年はその分期間も長いのか、今日も降ったりやんだりのイヤな空模様です。

朝から名古屋市のワクチンサイトにアクセスし、入院中に2回目の接種が受けられなかった老父の予約を取りました。
1回目から6週間空いてしまったが、仕方がない。
やらないよりはマシだろうとの、判断です。

明日からカミさんの実家に帰省し、義母のワクチン接種に同行します。
ついでに畑の様子を見てくるつもりです。

老父にしろ義母にしろ、ワクチンを接種するにも一人ではままなりません。
いずれ自分にもそんなときがくるだろうと思いますが、それまでは誰にも迷惑をかけずに過ごせたらと思いますね。

さて、6月の読書です。
スコアは少し伸びて、10冊でした。
遅ればせながら、山本周五郎との出会いがあった月となりました。


6月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2750
ナイス数:85

清張ミステリーと昭和三十年代 (文春新書)清張ミステリーと昭和三十年代 (文春新書)感想
昭和三十年代というタイトルに心の躍動を覚える。私が生まれた年代であり、間違いなくその世相を経験し育ってきた。
もっと知りたくてその時代の資料をあさるが、吉永小百合や石原裕次郎の日活映画、そして清張ミステリは、自分にとっては宝箱のような価値がある。
松本清張は高度成長に代表される昭和三十年代の潮流と社会の闇を巧みに切り取り、問題提起した作家である。50数年の時を経ても『砂の器』や『点と線』に代表される作品群はいささかも色あせていない。
蛇足ながら、三十年代には映画館が一万人に一館の割合であったことを改めて知った。
読了日:06月30日 著者:藤井 淑禎


青べか物語 (新潮文庫)青べか物語 (新潮文庫)感想
昭和初期の海べりの町の情景がまぶたに浮かぶ。
荒くれな男と女たちの生々しい姿を描き出すのは、周五郎ならではの筆致であり、『白い人たち』では、石灰工場で働く人々のすさまじい描写に度肝を抜いた。
連作全体を覆う哀愁を含んだセピア色の情景は、つげ義春の世界を連想してみたりもした。
港町を再び訪れた後年の旅で、関りを持った人々が誰一人自分のことを知らぬという、何よりも著者の存在を無に変えてしまったシュールな深みに、この作品の凄味を感じた。
読了日:06月29日 著者:山本 周五郎


青春18きっぷの旅―ゆっくり急いで日本縦断青春18きっぷの旅―ゆっくり急いで日本縦断感想
乗り鉄ならば青春18きっぷを使っての日本縦断を夢見たことがあるはず。
著者はJR全線完乗の後、2010年に知床斜里から枕崎までの3000㎞のチャレンジを行った。
ルールは5日間でのゴールを目指すというもので、事故、災害による遅延に遭いながらも5日後に本州最南端駅の枕崎に到着した。
このチャレンジは多くの人が達成しているが、残念ながら2021年3月のダイヤ改正と肥薩線の不通により不可能になった。
かくいう私もチャレンジを夢見る一人だが、今は著者の本を読んで、羨ましさをまぎらすばかりである。
読了日:06月26日 著者:浅野知二


赤ひげ診療譚 (新潮文庫)赤ひげ診療譚 (新潮文庫)感想
難読氏名の赤ひげの本名=新出去定(にいできよじよう)を最後まで覚えることができなかった(笑)。
無骨だが人情味溢れる強きヒーローの赤ひげは、周五郎のキャラクターの中でもいちばんかな。
黒澤映画『赤ひげ』で主役を演じた三船敏郎の陰がちらついたので、読了後にレンタル屋に走ったが、在庫なし。併せて映画も見たくなった。
ちなみに原作の上梓は昭和33年(1958)。奇しくも私が生まれた年の作品だった。
読了日:06月25日 著者:山本 周五郎


さぶ (新潮文庫)さぶ (新潮文庫)感想
還暦過ぎても人間として成長できていない自分に、ときおり嫌気がさす。
短気でまっすぐな栄二の生きざまに共感し、感情移入してしまう自分に気づいて、反省することしきりなのだ。
栄二を取り巻く周辺の人々は人間的にも“できている”人が多いが、極めつけはさぶだろう。
月のように純真無垢で謙虚なさぶは、陽が照たる栄二とは対極をなすが、そこには口に出さずともお互いが足りないところを求めあう、表裏一体の人間のあるべき姿が見えてくる。
表題を『さぶ』とした著者の意図が、ほんの少し見えた気がした。
読了日:06月21日 著者:山本 周五郎


メタモルフォシスメタモルフォシス感想
初、羽田圭介。タレント作家として見ていたので、これまで著者の作品に触れることはなかったが、芥川賞候補になった作品ということを知り、手に取った。
SMがテーマになっているが、中身は薄っぺらいポルノ小説ではなく、その世界の取材と学習に裏打ちされた内容。
表題作は、マゾヒストの最終的な到達点は自虐で得られるものではなく、第三者の手による究極の被虐であり、それが“殺されたい願望”になっていく過程は常人には理解しがたい。
ゲームで済めばよいが、SMは頭を使う生きざまなのか、求める快楽にも様々なカタチがあるようだ。
読了日:06月19日 著者:羽田 圭介


昨日 (ハヤカワepi文庫)昨日 (ハヤカワepi文庫)感想
母国語を使えない環境で過ごし、亡命者としての著者自らの体験が反映されている一方、『悪童日記』三部作で見せた、虚無で退廃的な空気感は、ここでも作品全体を覆っており健在。
社会の中心から逸脱し、疎外されてしまった人間の心理と不条理を描く手腕はさすがである。
読了日:06月14日 著者:アゴタ クリストフ


どくとるマンボウ人生ノオトどくとるマンボウ人生ノオト感想
ずいぶん昔に読んだことがあるエッセイも収録されていたが、骨折して入院した晩年の話が著者ならではの味わいがあり、楽しく読めた。
旧制松本高校での青春時代は著者のすべての原点になっているようで、その経験は多くの作品に描かれている。
無為に過ごした自分の青春時代と比較してもしょうがないが、羨ましいと思うばかりだ。
読了日:06月13日 著者:北 杜夫


小説日本婦道記 (新潮文庫)小説日本婦道記 (新潮文庫)感想
山本周五郎初期の短編集。石高の大小問わず、武家の婦女子の話す言葉が優しく丁寧で、美しく、なんとも心地よい。
今の時代ではついぞ接することがない会話に驚く。時代小説の魅力はこんなところにもあると思う。
どれも良いが、一押しは『松の花』。妻の死後、まるで知らなかった一面に気づく夫のどん臭さにも呆れるが、それを気づかせることなく献身的に夫や家を支えた妻の生きざまに、深く感動。涙腺が緩んだ。
読了日:06月10日 著者:山本 周五郎


ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)感想
12年間のナチ政権下でヒトラー暗殺計画は多々あったが、いずれも失敗に終わっている。
レジスタンスの活動以外に注目すべきは、反ナチのドイツ人による抵抗活動である。
映画『ワルキューレ』で描かれた親衛隊将校や単独犯ゲオルク・エルザーによる時限爆弾未遂など、ヒトラーの暗殺に関わった事件があった。
また、一般市民によるユダヤ人の救済、逃亡の手助け等、人道と慈愛、国の未来を思うまっとうな意思をもった多くの人々の存在があったという。
国家犯罪のホロコーストを進め、祖国を滅亡に導いたヒトラーの罪はあまりにも大きい。
読了日:06月02日 著者:對馬 達雄


読書メーター



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[ 2021/07/01 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

浅野知二著『ゆっくり急いで日本縦断』を読む

乗り鉄ならば、青春18きっぷを使っての日本縦断を夢見たことがあると思います。

青春18きっぷは春、夏、冬の年3回発売されており、5枚つづりで10250円というきっぷです。
ルールはJRの普通、快速電車が乗り放題となりますが、特急や新幹線は使えません。
また、北海道の津軽海峡を渡る区間の奥津軽いまべつ~木古内間は、北海道新幹線オプション券と「青春18きっぷ」と組み合わせて利用することで、北海道新幹線や道南のローカル線「道南いさりび鉄道」に乗車でき、料金は1回分で、大人/子供同額の2490円となっています。

著者はJR全線完乗の後、青春18きっぷを使い、2010年に北海道知床斜里から鹿児島枕崎までの3000㎞のチャレンジを行いました。
ルールは5日間でのゴールを目指すというもので、事故、災害による遅延に遭いながらも5日後に本州最南端駅の枕崎に到着し、目的を達成しています。
36本の列車を乗り継ぎ、ひたすら南に向かう5日間の旅は、乗り鉄ならではの夢のようなぜいたくな時間だったと想像します。

青春18きっぷで日本を縦断するというチャレンジは多くの人が達成していますが、残念ながら2021年3月のダイヤ改正と肥薩線の不通により不可能になってしまいました。

かくいう私もいつの日にかチャレンジを夢見る一人でしたが、叶うことができないままになっています。
今は著者の本を読んで、羨ましさをまぎらわすばかりです。

ちなみに、現在の状況で計画を立てると以下(模範事例)のようになりますが、5日目に枕崎駅に到着することはできず、大分県の佐伯駅で終了となります。
枕崎駅を目指すとすれば、不通区間の肥薩線の開通とダイヤ改正を待つしかないようです。

◇1日目
稚内05:20-名寄08:46
名寄10:01-旭川11:28
旭川13:47-滝川14:38
滝川14:45-岩見沢15:24
岩見沢15:40-白石16:15
白石16:23-苫小牧17:24
苫小牧17:35-東室蘭18:43
東室蘭18:58-長万部20:21
長万部21:16-森22:30
森……泊

◇2日目
森05:32-五稜郭07:01
五稜郭09:07-木古内10:14(道南いさりび鉄道=北海道新幹線オプション券利用)
木古内13:01-奥津軽いまべつ13:35(はやぶさ28号=北海道新幹線オプション券利用)
津軽二股15:54-蟹田16:16
蟹田16:25-青森17:13
青森17:26-弘前18:12
弘前19:20-秋田22:01
秋田22:27-羽後本荘23:10
羽後本荘……泊

◇3日目
羽後本荘05:33-酒田06:39
酒田07:02-村上09:38
村上09:53-新潟11:05
新潟11:07-長岡12:21
長岡12:34-越後湯沢13:51
越後湯沢15:08-水上15:46
水上15:53-高崎16:56
高崎16:59-小田原20:25
小田原20:34-熱海20:57
熱海21:11-沼津21:32
沼津21:35-静岡22:31
静岡22:41-浜松23:53

◇4日目
浜松06:01-大垣08:07
大垣08:11-米原08:46
米原08:48-姫路11:18
姫路11:35-相生11:54
相生12:26-岡山13:37
岡山13:50-糸崎15:21
糸崎15:39-広島16:58
広島17:09-岩国18:01
岩国18:17→下関21:33
下関21:44→小倉21:58
小倉22:11-柳ヶ浦23:34
……柳ヶ浦泊

◇5日目
柳ヶ浦05:51-佐伯08:35

実は、今年チャレンジする予定の日本縦断徒歩の旅で、宗谷岬にゴールした後、稚内から青春18きっぷを使って日本縦断をしようと目論んでいます。
しかし、上記のように5日間での達成はできません。
不本意ですが、九州の不通区間は別途手段で抜けようかと思っています。

枕崎駅にゴールすることができれば最高ですが、18きっぷ終了期間の9月10日までにできなければアウト。
その場合は計画縮小で、自宅がある岐阜県までになるかもしれません。
いずれにしても、縦断徒歩の旅の出発日がすべての鍵を握りそうです。
遅くても盆明けにはスタートできることを願っています。

コロナよ、早く収まっておくれ。

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[ 2021/06/26 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

山本周五郎著『さぶ』を読む

退職してから1年と3カ月。
月日が加速しながら流れていくことに、戸惑うばかりです。
この夏は、まずは日本列島徒歩縦断の宿題である北海道の旅を片付け、それから職探しの計画でした。
中途半端に過ごす毎日をコロナのせいにしてみたところで仕方がないですが、されどコロナ。
コイツが目の前にぶら下がっているので、なかなか一歩が踏み出せないでいます。

更に追い打ちをかけた老父の入院。
退院の目途は立ちましたが、しばらくは自宅療養と通院を続けながらも、心臓の治療のためにさらに大きな病院での転院を視野に入れなければならず、これも不安材料となっています。
離れて暮らしていても父の病状が気になって、まとわりついた靄のように、心は晴れません。

目指すは、すっきりとした気持ちでチャレンジを実行し、日々を充実して過ごしたい…いつになるか分かりませんが、そんな日が来ることを願っています。

さて、しょうもない話をうだうだと書いていてもキリがないので、読んだ本の感想を。

****************************************
山本周五郎晩年の名作『さぶ』。

還暦過ぎても人間として成長できていない自分に、ときおり嫌気がさす。
短気でまっすぐな主人公・栄二の生きざまに共感し、感情移入してしまう自分に気づいて、反省することしきりなのだ。
栄二を取り巻く周辺の人々は人間的にも“できている”人が多いが、極めつけはさぶだろう。
月のように純真無垢で謙虚なさぶは、陽が照たる栄二とは対極をなすが、そこには口に出さずともお互いが足りないところを求めあう、表裏一体の人間のあるべき姿が見えてくる。
表題を『さぶ』とした著者の意図が、ほんの少しだが見えた気がした。

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[ 2021/06/22 ] 読書 | TB(0) | CM(2)

山本周五郎著『小説日本婦道記』を読む

昨年、抜歯した奥歯ですが、インプラントの予定で治療を進めてきましたが、糖尿病のリスクもあって、見送ることにしました。

そして、本日、歯科医院でブリッジを着けてもらい、長かった治療は終了です。
なんでも、血糖値が高いとインプラントがなじまず、術後の接着に支障が出るようです。
この説明は最初から受けていましたが、昨年の夏はまだ糖尿病と診断されてはおらず、迷わずインプラントを選んでいました。

インプラントの手術の目安はHbA1cが6.5未満を推奨。それ以上はリスクが伴う可能性があるとのこと。
6.5からは糖尿病と診断されるので、服薬によるコントロールで更に数値を下げていれば良いですが、服薬なしの現在6.5の私にとっては、リスクが高い状態といえます。

インプラントの治療を進めるために、抜歯した歯茎の骨の造成(10万円かかりました)までしたのに、結局は諦めることになってしまいました。
ちなみに、糖尿病の主治医からはインプラントはOKということでしたが、術後の不安を考えると、どうしても決断することができませんでした。

さて、ブリッジですが、取り付けたばかりなので違和感があり、冷たい水を飲むと沁みますが(神経があるので)、まぁ、そのうち慣れると思います。
ちなみに治療費は約2万円でした。
インプラントの場合は35万円なので、コロナが収まったら浮いたお金でカミさんと旅行にでも行こうと思います。


続いて本の話題を。

初、山本周五郎です。
食わず嫌いだったのか、これまで敬遠してきたのか、もっと早く読んでおけばよかったと反省しきりです。
私の中で時代小説といえば、池波正太郎、司馬遼太郎、藤沢周平に尽きますが、この一冊を手に取ったことで、これから茫洋の海へこぎ出すような、著者の魅力にはまってしまう予感がします。

『小説日本婦道記』は昭和17年から終戦後の昭和21年まで、『文藝春秋』と『夫人倶楽部』に31編が発表されました。
手に取ったのは選りすぐりの11編が掲載された新潮文庫版です。

この短編集は、昭和17年度の直木賞を辞退した曰く付きの作品としても有名で、著者を代表する初期の作品です。
武士道に対して婦道というものがあるのか分かりませんが、武家社会の中での婦女子の生き方には、筋が通った凛とした美しさを感じます。

石高の大小問わず、武家の婦女子の話す言葉が優しく丁寧で、美しく、なんとも心地よい。
今の時代ではついぞ接することがない会話に驚かずにはいられません。

時代小説の魅力はこんなところにもあると思います。
流れるような卓越した文章力も著者の魅力です。

11編、どれも良いですが、一押しは『松の花』。
妻の死後、まるで知らなかった一面に気づく夫のどん臭さにも呆れますが、それを気づかせることなく献身的に夫や家を支えた妻の生きざまに、深く感動。

涙腺が緩みました。

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[ 2021/06/11 ] 読書 | TB(0) | CM(2)

5月の読書

今更ですが、Amazonプライムで『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)の全作と、続編の新春スペシャル(2021年)を観ました。
星野源の『恋』がヒットし、恋ダンスも大流行したこの作品ですが、当時は単身赴任をしており、出張と連日の飲み歩きで、まったくといいほどこの時間帯のドラマを見ることがなく、『逃げ恥』を知らぬまま今に至っていました。

ところが、星野源と新垣結衣が結婚というニュースを聴くにつれ、暇に任せて何の気なしに『逃げ恥』を観たら、もう、はまってしまいました。

この三日間で全11作と続編を一気に視聴。

いや~、ガッキーの可愛さに参りました。
還暦オヤジでも、これはイチコロですね(笑)。
正直言って、星野源にはもったいないです。
世のガッキーロス、まったく同感です。

それと作品に取り上げられている就職難、事実婚、夫婦別姓、ジェンダー、同性婚、育休、コロナ禍のテレワークなどの社会問題も、今の世相を反映して勉強になりますね。
カミさんとも話しましたが、私たちの時代は産休期間もわずかで、男性社員の育休どころか今では当たり前になってきた長期育休など夢のまた夢でした。

映像に映るオフィスの環境もいいし、都心のマンションの豪華さにも驚かされます。
ひとり暮らしの独身で家政婦を雇う財力をもった高学歴、高収入の主人公ならではの設定ですが、テレワークができない職場環境の人や低所得の人たちから見れば、このドラマはどう映るのかなぁ…と思わずにはいられません。

昨年流行った『私の家政夫ナギサさん』もそうでしたが、あれは家事が苦手な若い女性の一人暮らしの話でしたが、同様に都心のおしゃれなマンションに住み家政夫を雇えるほどの財力に驚きました。
田舎に住む自分からすれば、なんだか別世界の話のように思えます。

まぁ、とりとめもないことを書いてしまいましたが、このシリーズ、続編を期待したいですね。

では、本題ですが、このところサボっていた読書記録です。
読んだ本が少なかった3月、4月はとばして、5月分を。


5月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2393
ナイス数:28

山窩は生きている (河出文庫)山窩は生きている (河出文庫)感想
途中まで読んで内容がうさん臭くなってきたので、以前読んだ『サンカと三角寛』(礫川全次著 平凡社新書)をめくり著者について調べてみた。
サンカ小説の代表格である三角は、戦前から戦後にかけてサンカと接触し、その実態を調査した研究者である。
しかし一方で脚色が濃い眉唾まがいの内容の小説も書いているので、どこまでが本当なのか分からず、これがサンカの真実を迷走させる遠因になったようだ。
ヤラセ臭い?サンカの瀬降(住居)探訪のルポも今となってはその真偽は謎のままだ。民族学の観点から末裔を探し、掘り起こす意義を感じる。
読了日:05月29日 著者:三角 寛


虫捕る子だけが生き残る~「脳化社会」の子どもたちに未来はあるのか~ (小学館101新書)虫捕る子だけが生き残る~「脳化社会」の子どもたちに未来はあるのか~ (小学館101新書)感想
虫捕りには、創造性、忍耐力、反骨精神などを養うすべての要素が詰まっている…なるほど、そうかもしれない。
昭和40年代を過ごした小学校の夏休みの宿題に、昆虫標本を持ってくる生徒が多かった。
私も昆虫少年で、毎日のように里山を走り回って虫を追っかけていた。昆虫図鑑を日がな一日眺めていた。あれから50年も経ったのに、いまだにカブトムシやクワガタを捕る夢を見るから不思議だ。
身近な虫たちが姿を消し、昆虫採集をしたことがない子供たちが父親になっていく現代、これでいいのかと思わずにはいられない。

読了日:05月27日 著者:養老 孟司,池田 清彦,奥本 大三郎


消えた市区町村名の謎 地名の裏側に隠されたふるさとの「大人の事情」 (イースト新書Q)消えた市区町村名の謎 地名の裏側に隠されたふるさとの「大人の事情」 (イースト新書Q)感想
平成11年~17年にかけての大合併により3千弱あった市町村が、現在では1700ほどになったといわれている。
昔からなじんできた愛着のある市町村名の多くが消えたわけだが、今後この傾向が更に促進されるかは、選挙制度と現政府の動きで変わってくるようだ。
しっかりとまとめられた多くのデータや、市町村名の由来となった歴史的なウンチクは勉強になった。
自分が住んでいる町は市政100年を超えたことは知っていたが、その誕生にまつわる経緯を知ることができたのも良かったと思う。
読了日:05月25日 著者:八幡和郎


文庫 定年後に読みたい文庫100冊 (草思社文庫)文庫 定年後に読みたい文庫100冊 (草思社文庫)感想
著者曰く、本を読む気力がなくなったら、読書の終わりだけでなく、人生の終わりを意味する…まったく同感。
このごろはリズミカルに本が読めなくなってきたので、グサリと刺さった。
池波正太郎『真田太平記』が生涯ベストか。確かに素晴らしい長編だけど、まぁ、人それぞれですね。うれしいのはウィングフィールドのフロスト警部シリーズ。
作者の死により『フロスト始末』を最後に終わってしまったのがなんとも辛くて…著者がフロストファンだったことに妙な親近感を抱きました。ちなみに私のスコアは21/100でした。
読了日:05月24日 著者:勢古 浩爾


冷酷 座間9人殺害事件冷酷 座間9人殺害事件感想
著者あとがきで加害者、被害者の周辺取材ができなかったこと、面会、裁判傍聴が中途半端になってしまったことを触れている。
尼崎連続変死事件『家族喰い』で見せたこれまでの綿密な取材による著者の仕事スタイルからすれば、不完全燃焼の内容になった感は否めない。
犯罪史に残るモンスター、白石隆浩の心の闇をえぐった続編をぜひ書いて欲しい。
読了日:05月24日 著者:小野 一光


4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した感想
幼いころの記憶はどこまで遡ることができるのだろう?自身を振り返ってみても断片的な記憶でさえほとんど浮かばない。
4歳で体験したホロコーストの恐怖を様々な証言や情報から手繰り寄せ、戦後を力強く生き延びたマイケル少年と、その一族の苦難の歴史をドキュメンタリーとして再現した努力に敬意を表したい。
生還者が減少し、年々風化していくホロコーストの事実を知る上でも貴重な資料であると思う。
読了日:05月21日 著者:マイケル・ボーンスタイン,デビー・ボーンスタイン・ホリンスタート


80歳、歩いて日本縦断80歳、歩いて日本縦断感想
80歳を過ぎた二度目のチャレンジは、日本海側を歩いた前回から太平洋側を選んでいる。
青森から茨城までは津波に襲われた東日本大震災の被災地を訪問し、被災者の声を聴き、復興の現状や原発の実態をレポートしていく。
そして、ゴールである出身地の沖縄県では基地問題を取り上げながらの旅になっていく。
報道カメラマンとしての神髄をいたるところに発揮し、現代の日本に巣くう社会問題をえぐっていく姿は、深い感銘を覚える。
昨年、私が徒歩での日本縦断を達成できたのも、著者の活動に刺激されたこそと思っている。

読了日:05月14日 著者:石川文洋


納豆に砂糖を入れますか?: ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)納豆に砂糖を入れますか?: ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)感想
前作『天ぷらにソースをかけますか?』も面白かったが、これもなかなか。食べ物や食べることの習慣ほど地方色が出ることを、今回も興味深く読んだ。
信州のソースかつ丼の分布は複雑に入り組んでいることが分かったが、ごはんに乗せる具についてもう少し具体的なレポが欲しかった。
例えば、キャベツ千切りの有無、キャベツ無しカツのみ、カツにソースがかかったもの、ソースにカツを漬けたもの等。
まぁ、どうでもいいけど(笑)。

読了日:05月07日 著者:野瀬 泰申


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[ 2021/06/04 ] 読書 | TB(0) | CM(2)

マイケル・ボーンスタイン著『4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した』を読む

一週間近く降り続いた雨がようやく上がりました。
私の体調は天候に影響するのか、低気圧が近づくと体の節々が痛み、筋肉痛に悩まされます。
ここ数日は五十肩の痛みにプラスして体が悲鳴を上げていたので、正直、雨は勘弁してほしいですね。

薄曇りになった今日、気になっていた花壇の植え替作業をしました。
ホームセンターで日日草とマリーゴールドを購入し、今まで頑張ってくれたビオラと交換です。
プランターには昨年収穫した朝顔のタネを撒きました。
ついでに購入したミニトマトの苗も植えたので、これからの成長が楽しみ…と思って、作業が終わってカミさんと一息ついていたら、申し合わせたように雨がパラパラ。
どおりで、腰や肩が痛み出したわけです。

さて、話題を変えて…
このところ集中力が低下したこともあり、読書のペースが落ちていますが、ようやく一冊読了。

マイケル・ボーンスタイン著『4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した』の感想を。
アウシュヴィッツで生還した最年少の子供となった著者のノンフィクションです。

幼いころの記憶はどこまで遡ることができるのだろう?
自身を振り返ってみても断片的な記憶でさえほとんど浮かびませんが、死の収容所といわれたアウシュヴィッツで体験したホロコーストの恐怖は、4歳の少年にとって一生忘れることができない記憶として残ったようです。

また、著者を取り巻く家族の証言や情報を手繰り寄せ、収容されてからソ連軍に解放されるまでの状況も克明に描いていきます。
ゲットーから脱出して捕まったユダヤ人を冷酷に殺害するナチスSSや、ユダヤ人に対するポーランド人の執拗な差別は戦時下ならではといえ、その異常性に驚くばかりです。
この物語は収容所から解放された後のことも詳しく書かれていますが、戦後を力強く生き延びたマイケル少年と、その一族の苦難の歴史をノンフィクションとして再現した努力に敬意を表したいと思います。

生還者が減少し、年々風化していくホロコーストの事実を知る上で、後世に残る貴重な資料になったと思います。

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[ 2021/05/22 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

石川文洋『80歳、歩いて日本縦断』を読む

私が住む町、今日の気温はなんと31.6度C。全国一の暑さでした。
いよいよ灼熱の我が町、夏の扉を開けたようです。

このところ自作のホームページ『琺瑯看板探検隊が行く』のリニュアル作業に追われて、読書の時間が少なくなっていますが、久しぶりに新刊を購入して一気読みしたのが石川文洋『80歳、歩いて日本縦断』。

80歳になった報道カメラマンの著者が、2018年7月から翌2019年6月にかけて、北海道宗谷岬から沖縄県那覇市までの日本列島3500キロを徒歩で縦断した記録です。

著者は65歳のときに日本海側を縦断しており、このときのルポは『日本縦断徒歩の旅 65歳の挑戦』(岩波新書2010年)として上梓されていますが、私はこの記録を読んでから、歩いて日本を縦断するというとてつもないチャレンジに興味を覚え、「いつかは、自分も」と、大いに感化されてしまいました。
65歳という年齢で縦断をしたいとう事実にも驚きましたが、それ以上に、歩き目線でゆっくりと流れていく日本の風景を見るという贅沢な旅に憧れをもちました。
3000キロという途方もない距離をひたすら歩く行為の中で、何を思い、何を感じるのか…これは体感した人でないと分からないと思います。

夢を実現するために、コロナ禍に翻弄された昨年、北海道から鹿児島県佐多岬まで94日間をかけて実際に歩いてみましたが、マメや脚の痛みに苦しみながらも、旅に同化し、ほんのわずかであるが自己の魂が浄化されていくのを感じることができました。
日本縦断は、62歳の私でもヤル気があれば挑戦できることを学んだ日々でした。

さて、前置きが長くなりましたが、本書の感想です。

80歳を過ぎた著者の二度目のチャレンジは、日本海側を歩いた前回から、今回は太平洋側を選んでいます。一日の歩行距離は平均15キロ。週に一日を休養や原稿執筆にあて、体調を整えながらの旅です。
また、青森から茨城までは津波に襲われた東日本大震災の被災地を訪問し、被災者の声を聴き、復興の現状や原発の実態をレポートしていきます。
そして、ゴールである出身地の沖縄県では基地問題を取り上げながらの旅になっていきます。
報道カメラマンとしての神髄をいたるところに発揮し、現代の日本に巣くう社会問題をえぐっていく姿は、深い感銘を覚えるルポとなっています。

歩き旅のルポでは、日本橋から京都三条大橋までの旧東海道を忠実に辿っており、これからの私のチャレンジにも参考になりました。
また、山陽道については、昨年私が歩いたルートとぼぼ同じで、岡山県の西片上で泊まった老舗旅館についても触れており、私も同じ旅館に泊まっただけに、親近感を覚えながら楽しく読ませてもらいました。

著者は65歳の挑戦後に心筋梗塞に見舞われ、病と付き合いながら四国八十八ヶ所お遍路、そして80歳での2度目の日本縦断という、圧倒的なパワーを見せてくれました。
今回のチャレンジは、報道カメラマンとしてベトナムや世界の紛争地域で活動した著者ならではの、あくなき好奇心の表れだと思わずにはいられません。

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[ 2021/05/14 ] 読書 | TB(0) | CM(2)

宮本輝著『野の春』 流転の海シリーズ完結編読了

37年間続いた宮本輝の『流転の海』シリーズ、第9部完結編『野の春』を読みました。
家族を描いた大河自伝小説としては、日本文学史上、稀有な存在ではないでしょうか。
私にとっては五木寛之『青春の門』と並ぶ、とっておきの長編小説です。

『青春の門』は第1作から50年近く経った今も続いていますが、『流転の海』も37年続いたとは驚きです。
これまでずっと読み続けてきて、その都度、深い感動を味わってきたことに感謝します。

物語は昭和22年から始まり、主人公・松坂熊吾の死までの昭和42年の20年間を綴っていきます。
熊吾を取り巻く家族の絆、多くの登場人物、激動の戦後という社会情勢に翻弄される人々が実に生き生きと描かれおり、まさに唯一無二の大河小説といっても良いかと思います。

この壮大な物語を読み終えて、“生あるうちに何を成すべきか”という自分への問いかけを、今更ながらに反芻することができました。

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[ 2021/04/21 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

2月の読書

先月亡くなった義父の35日法要が終わり、ようやく喪が明けました。
…と同時に、私が住む岐阜県も緊急事態宣言が解除。
といっても、不要不急の外出自粛はしばらくの間続きそうです。
ともあれ、ほんの少しですが気分的にも解放されたような気がします。

しかし、昨年末から繰り返している腰痛が再び出現。
ここひと月ほどは良かったんですが、毎日10キロほどしている散歩の無理がたたったのか。
それとも寒さにやられたのかさだかではありませんが、いずれにしてもすっきりしない体調です。

さて、2月の読書ですが9冊読了というまぁまぁのスコア。
もっとも、難しい本を読んでいるわけではないので、積読本をもっと崩さなければいけなかったかなぁ…と思うことしきり。

収穫はこのブログでも触れましたが、アゴタ・クリストフ『悪童日記』3部作。
素直に、これまでもっていた小説の概念が変わりました。

2月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2739
ナイス数:95

アウシュヴィッツの図書係アウシュヴィッツの図書係感想
実話に基づいた小説。主人公のディタが終戦間際に移送されたベルゲン=ベルゼンがアウシュヴィッツよりはるかに過酷で残酷な収容所だったことを改めて知った。アウシュヴィッツの殺人医師ヨーゼフ・メンゲレの人体実験は解放後に明らかになるが、この作品で語られた断片的な内容だけでも生々しく、恐怖を感じる。こんな極悪人が捕まることなく国外逃亡し、生き延びたことに腹が立つ。
ノンフィクションを含めたホロコーストを描いた多くの作品の中で、久しぶりに重量感と読みごたえのある作品に出会えたことがうれしい。
読了日:02月27日 著者:アントニオ・G・イトゥルベ

遍歴・流浪・渡世 旅芸人のいた風景 (文春新書)遍歴・流浪・渡世 旅芸人のいた風景 (文春新書)感想
古来から被差別民とされていた旅芸人や香具師。そのルーツを探り、寅さんや『伊豆の踊子』を例にとった分かりやすい持論の展開を興味深く読むことができた。
私が生まれた昭和30年代は、正月には獅子舞が家にやってきたし、縁日では猿回しやバナナのたたき売りを見ることができた。商店街の売り出しではちんどん屋がチラシを配り、そのあとを追っかけて隣町まで行ってしまい、迷子になって、母に迎えにきてもらった苦い思い出がある。
こうした風習(人々)はどこにいってしまったのだろうか。
今となっては古き良き時代が懐かしい。
読了日:02月15日 著者:沖浦 和光

第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)感想
前二作を読み終えて、すべての謎が解けることを大いに期待して読了。
しかし、“してやられた”と言うべきか、物語の完結を当たり前のように求めていた自分を、あざ笑うかのような見事な逆転劇に舌を巻いた。
著者の力量を否応なしに味わうことができた、小説世界の常識と枠を超える不思議な魅力にあふれた三部作だった。
読了日:02月12日 著者:アゴタ・クリストフ

ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)感想
独特な文体に引き込まれた前作『悪童日記』の興奮が冷めやまぬうちに、ページをめくった。
淡々と進む物語に、ストレートに何も考えずに読み進めたが、最後にしてやられた。
底が見えない深淵にはまったというか、それとも茫洋の海に放り込まれたような…そんな気分。
ここで止めては読者泣かせというもの。続きが待ち遠しくて仕方がないのは久しぶりだ。
さぁ、次はいよいよ完結編。じっくりと楽しみ、味わいたい。
読了日:02月08日 著者:アゴタ クリストフ

アウシュヴィッツのタトゥー係アウシュヴィッツのタトゥー係感想
被収容者へのタトゥー刻印を生き残るための手段として、同胞への罪の意識にさいなまれながらも続けることがどんなにつらかっただろうと想像できた。
600万人が犠牲となったホロコーストにおいて、しかもアウシュヴィッツで生き残ったことだけでも奇跡的だが、主人公のラリとギタが解放後にナチスに協力した罪に問われなかったことが、当時の審判の良識を見た気がする。
読了日:02月05日 著者:ヘザー・モリス

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
悪童日記 (ハヤカワepi文庫)感想
この作品、近年読んできた小説の中でも五指に入りそう。
直接・間接的な描写や表現、巻末の注釈によりナチス政権化の時代背景を物語に重ね合わせることができたが、主人公の双子の動きには謎が深まるばかり。常識が通じない動きや表現は読む側を惹きつけるが、それ以上に不安な要素が増幅する。しかしそれは、“怖いもの見たさ”に比例して、ページをめくるスピードに変化するから不思議だ。
どうやら、シリーズ三部作を読み切らなければ、喉のつっかえは解消できないようだ。
読了日:02月03日 著者:アゴタ クリストフ

時雨みち (新潮文庫)時雨みち (新潮文庫)感想
久しぶりの藤沢周平作品。映画『山桜』を見て原作を読みたくなり手に取った。収録された11の短編のうち、お気に入りは『おさんが呼ぶ』。ぜい肉をそぎ落とした文章に、情景がありありと浮かぶ様は、さすがの藤沢作品。映画化を望みたい。『山桜』については、キーマンとなる手塚弥一郎の出番がほとんどないにも関わらず、その存在感が圧倒的。今更ながらに著者の手腕に驚いた。
読了日:02月02日 著者:藤沢 周平

文章のみがき方 (岩波新書)文章のみがき方 (岩波新書)感想
『文章の書き方』に続いて読了。読む側に立ったわかりやすい文章をどう書くのか、具体的な事例から勉強させてくれた。『天声人語』を長年に亘って綴ってきた著者ならではのテクニックやノウハウが詰まっており、随所に出てくる福沢諭吉に傾倒しているきらいを差し引いても参考になった。
読了日:02月01日 著者:辰濃 和男

文章の書き方 (岩波新書)文章の書き方 (岩波新書)感想
『四国遍路』を読んではまってしまった著者の本。文章の書きかた指南書として読み始めたが、これを読んでから、かえって文章を綴ることが怖くなってしまった。
普段何気なく書いているブログの雑文でさえ、独りよがりであり、読む側に立って書いていないことに今更ながらに反省。書くことは難しい。
読了日:02月01日 著者:辰濃 和男

読書メーター



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[ 2021/03/01 ] 読書 | TB(0) | CM(2)

アゴタ・クリストフ著『悪童日記』三部作を読む

長らく、本棚の肥やしになっていたアゴタ・クリストフの三部作を読みました。
三部作とは『悪童日記』から始まるシリーズで、『ふたりの証拠』『第三の嘘』の三冊です。

アゴタ・クリストフはハンガリー生まれの作家で、1956年のハンガリー動乱の折に西側に亡命し、スイスで著作活動を続け2011年に死去しています。

物語の背景はナチス政権化のハンガリーから始まり、一作目の『悪童日記』から戦時下の田舎町で成長していく双子の生きざまを、一人称複数形式=「ぼくら」を使う文体で綴っていきます。
二作目の『ふたりの証拠』では双子の片割れリュカの20代の青年時代を、三作目の『第三の嘘』では50代になったもう一人のクラウスの姿を追っていく内容です。

この三部作は、近年読んできた小説の中でも五指に入りそうで、久しぶりに小説を読む楽しみを味わうことができた作品となりました。

以下、簡単に感想を。

『悪童日記』 2月3日読了
この作品、 直接・間接的な描写や表現、巻末の注釈によりナチス政権化の時代背景を物語に重ね合わせることができたが、主人公の双子の動きには謎が深まるばかり。
常識が通じない動きや表現は読む側を惹きつけるが、それ以上に不安な要素が増幅する。
しかしそれは、“怖いもの見たさ”に比例して、ページをめくるスピードに変化するから不思議だ。
どうやら、シリーズ三部作を読み切らなければ、喉のつっかえは解消できないようだ。

『ふたりの証拠』 2月8日読了
独特な文体に引き込まれた前作『悪童日記』の興奮が冷めやまぬうちに、ページをめくった。
淡々と進む物語に、ストレートに何も考えずに読み進めたが、最後にしてやられた。
底が見えない深淵にはまったというか、それとも茫洋の海に放り込まれたような…そんな気分。
ここで止めては読者泣かせというもの。
続きが待ち遠しくて仕方がないのは久しぶりだ。
さぁ、次はいよいよ完結編。じっくりと楽しみ、味わいたい。

『第三の嘘』 2月12日読了
前二作を読み終えて、すべての謎が解けることを大いに期待して読了。
しかし、“してやられた”と言うべきか、物語の完結を当たり前のように求めていた自分を、あざ笑うかのような見事な逆転劇に舌を巻いた。
著者の力量を否応なしに味わうことができた、小説世界の常識と枠を超える不思議な魅力にあふれた三部作だった。

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さて、ナチスと言えば、今日見た映画が『愛を読むひと』(スティーブン・ダルドリー監督 2008年 米)。
ベルンハルト・シュリンク著『朗読者』の映画化作品です。
原作は2000年に読みましたが、ナチスの戦争犯罪に関わったヒロインの悲しい人生を、哀愁を帯びた映像で見せてくれました。
ストーリーはすっかり忘れていましたが、再読したくなりました。


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[ 2021/02/13 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

1月の読書

雪が降る山里で、静かに逝った義父を送ってきました。
昭和一ケタの、無口で謙虚な男でした。

さて、1月の読書記録ですが、
冒頭の義父との別れや、義母の入院もあり、本を開くことが少ない月となりました。

1月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1531
ナイス数:66

ぼんやりの時間 (岩波新書)ぼんやりの時間 (岩波新書)感想
勤勉で実直、頑なな平均的日本人像を地で行く人から見れば、「ぼんやりする」「ぼーとする」という言葉や行為には否定的だろう。
著者は、「ぼんやりする」ことを積極的・肯定的に捉え、余白(ゆとり、余裕でもいいかな)の時間をつくることが、豊かな人生を送る上に必要である…と説く。
朝日新聞記者として長年に亘って【天声人語】を担当した著者の文章には、言うまでもなく、無駄をそぎ落とした上での間や余白の取り方の上手さが、「ぼんやりする」ことで培った技として見事に結晶している。
読了日:01月27日 著者:辰濃 和男


劇画ヒットラー (ちくま文庫)劇画ヒットラー (ちくま文庫)感想
ヒトラーの生涯が劇画ならではの分かりやすさで描かれいる。各章どこを切り取ってもドラマチックで、これほどまでに書物やメディアに取り上げられた人物はいないだろうと納得できる。
読了日:01月24日 著者:水木 しげる


おもかげおもかげ感想
結末に向かう最終章の展開が、さすがにストーリーテラーの著書の本領発揮ともいうべきか、巧みな仕掛けに泣かされた。
『地下鉄に乗って』と対を成す、地下鉄が重要なテーマになっているが、ループを走り続ける地下鉄を、人生の終焉に観るという走馬灯の幻影と重ね合わせてしまった。
ぜひ映像化を望みたい。
読了日:01月22日 著者:浅田 次郎


潜入!ニッポン不思議島 (宝島社文庫)潜入!ニッポン不思議島 (宝島社文庫)感想
土俗信仰や秘祭、伝承、風俗といった離島にまつわるルポ。
新城島や青ヶ島は外部の人を寄せ付けない神々が宿る島として興味が尽きないが、ライターの力量次第でせっかくの潜入ルポも文章にすると薄っぺらいものになってしまっているのが残念。
軍艦島の取材日はいつなのか不明だが、世界遺産登録された現在では島でテントを張って一晩過ごすことなどできないので、そうした意味では貴重なチャレンジ。ただし、取材内容は物足らない。
読了日:01月17日 著者:諸島文化民俗研究会


読書という荒野 (NewsPicks Book)読書という荒野 (NewsPicks Book)感想
読書論というよりも、有能な熱血ビジネスマンの半生記というイメージで読了。
幻冬舎の立ち上げと成功は彼のビジネスセンスによるところが大きい。そこには読書によって培われた経験が活きているように思う。
読了日:01月12日 著者:見城 徹


四国遍路 (岩波新書)四国遍路 (岩波新書)感想
著者は元朝日新聞記者で天声人語を担当したエッセイスト。
さすがに文章は上手く、ぐいぐい引き込まれた。
1300キロを歩く四国遍路は雑念に支配された己の精神を浄化し、魂の昇華まで高める崇高な体験のようだ。
昨年、日本列島を北海道から鹿児島まで徒歩で縦断してみたが、自己の精神を鍛錬することはできなかった。宗教にすがるつもりはないが、コロナ禍の今、だらしなく過ごしてしまいそうな我が身にとって、「喝」を入れるためにも、次の目標としてチャレンジしたくなった。
読了日:01月06日 著者:辰濃 和男

読書メーター



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[ 2021/02/04 ] 読書 | TB(0) | CM(2)

蔵書管理を始めました

巣ごもり生活が長引いています。
今日が何日か、何曜日なのか分からなくなりました(笑)。

時間を持て余しているので、“巣ごもり部屋”の蔵書をデジタル整理することにしました。

まず、現在の本の数がいったいどれぐらいあるのか。
ざっとみて、1500冊くらいかな…と思いますが、正確な数が分かりません。
それと、読了した本の数と未読の数。
未読とはいわゆる積読本ですね。
これもかなりありそう。

もうひとつは、過去に処分した本。
これまでに1000冊くらい売却・廃棄していますが、これもできるだけ思い出して記録したい。
…というのは、ダブリ買いや予期せぬ再読を何度もやっているので、これを防止しなければならない。

売却については買取額が低いブックオフや古本屋は利用せずに、アマゾンマーケットプレイスやヤクオフで処分していました。
しかし、双方とも現在アカウントがなくなってしまい、出品記録が残念ながら分かりません。
過去、どんな本を読み、持っていたのか、それを知るのは1999年から続けてきた読書記録と、売却を始める前に撮影した本棚の写真。
これを手掛かりに、読書管理のアプリを使って、整理することにしました。

使用したアプリは2つ。
読書メーター』は昨年から利用していますが、主に日々の読書記録と読みたい本の情報を得るために使っています。
利用者数も多いので、本の購入には多くの投稿者のレビューが参考になり、使い勝手が良いアプリです。

そしてもう一つが、『ブクログ』。
これを今回、蔵書管理に使うことにしました。
蔵書数や読了本、未読本の内訳はもちろん、過去に売却・廃棄した本も極力思い出して登録しようと思います。
本の画像が本棚に並ぶデザインと、様々なタグで検索できるので蔵書管理がしやすいアプリです。
これを使えば、ダブリ買いや予期せぬ再読もなくなるかと思います。

カミさんからは増え続ける本に対して、相変わらず「何とかしてよ」と口癖のように言われていますが、過去に処分したことに対して今更ながらに後悔しており、これからは処分しないことにしました(怒られるかなぁ…)。

本との出会いは一期一会で、売却した本の中には地質学や古生物学の貴重な専門書、もう手に入らないであろう大量の山岳関係の本がありました。
また、山岳小説のB級作家・太田蘭三の全巻揃い踏みや、藤沢周平、司馬遼太郎、新田次郎、池波正太郎などの時代小説、第一巻から20年以上買い続けたコーンウェルの検屍官シリーズ、その他大量の海外ミステリ…数え上げたらきりがありません。
今これらが、自分の書棚に整然と並び、飾っていたらと思うと寂しい気持ちになります。

本棚を自作し、日がな一日眺めていても飽きないという私の本質は、読書家ではなく蒐集家(といっても、レベル低いですが)なんだろうと思います。
モノに固執するタイプなんでしょうね。

書斎ならぬ、“巣ごもり部屋”で過ごす毎日は、好きな本に囲まれ、長年憧れていた晴耕雨読の生活を手に入れた今、自分にとってこの上なく精神的な安定を得ることができる環境に違いありません。
増殖した本の行く末は考えずに、相変わらず、ぼんやりと過ごそうと思います。

さて、二つのアプリを使用することで、蔵書管理とこれからの読書管理を進めていきますが、三日かかって登録したのはようやく400冊。
あと一週間くらいかかりそうです。

まぁ、巣ごもり生活にはちょうど良い暇つぶしでしょうか。

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※現在の“巣ごもり部屋” 本はすべての背表紙が見えるように整理しています

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※ダブリの一例。『天璋院篤姫』は下巻がないのに、上巻が3冊も(笑)。

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※2006年当時の本棚。本は二重に詰め込まれ、天井まで山積み。この後、大量に処分しました。


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[ 2021/01/27 ] 読書 | TB(0) | CM(12)

12月の読書

日本縦断の旅から帰って、しばらくしてから腰痛と肩痛が出現。
日課のウォーキングもできずにソファーに転がって、暇つぶしに本を読む毎日となった12月だった。

振り返ってみると、定年退職してから8ヶ月が経ち、何もせずにのんびりと本を読むという生活がひと月以上続いたのは人生初めての経験ではないだろうか。
予てから定年後の晴耕雨読の生活に憧れていたが、根が貧乏性にできているのか、夢の生活を手に入れたというのに、暇を持て余して退屈な状態にあえいでいる自分がいる。

我がままなのである。

今年はそんな我がままの自分をさらに昇華させ、“どこ吹く風”で生きようと思う。
好きなように、やりたいことをやる…そんな一年になればいい。

【2020年12月の読書データ】
読んだ本の数:16
読んだページ数:3619
ナイス数:47

本棚の本本棚の本感想
人の本棚を覗きたいという好奇心に駆られる私には、期待外れ。読書家の圧倒的な本棚写真が見たかった。本の雑誌『絶景本棚』のような内容を期待していたので…。
“横文字職業”の人が必ずしも読書家であるとは思わないが、本棚に並んだ背表紙を見ても意外性が少なかったのには驚いた。クリエィティブな人たちはもっと違う分野の本を読んでいると思っていたので、ちょっと残念。
読了日:12月01日 著者:赤澤かおり

辺境メシ ヤバそうだから食べてみた (文春文庫)辺境メシ ヤバそうだから食べてみた (文春文庫)感想
ゲテモノ料理がずらりと並ぶ。日本人にとってはどれも気色悪くておぞましい。さすがにヒトの胎盤はいただけない。倫理的にもこれはどうかな…。
著者の冒険心と、胃腸が弱いと言いながらのチャレンジ精神には敬意を表します。
読了日:12月01日 著者:高野 秀行

絶景本棚2絶景本棚2感想
前作と比べて、本の背表紙(書名)が見え難いのが残念。写真のアングルも全景がもっと見たかった。図書館並みの夢枕獏氏の書斎には圧倒されました。

読了日:12月02日 著者:本の雑誌社

10分あれば書店に行きなさい (メディアファクトリー新書)10分あれば書店に行きなさい (メディアファクトリー新書)
読了日:12月04日 著者:齋藤 孝

読書力 (岩波新書)読書力 (岩波新書)感想
新書を50冊読め…という学生に果たす宿題は、いかがなものかな。
現実にはしょーもない内容の新書も多くあり、読書習慣を身に付ける手段としてなら新書にこだわらなくてもいいかと思う。活字中毒とまではいかなくても、読書習慣は一長一短で身に付くものではない。本好きになるのはその人の生活環境や人生観により左右されるので、無理にきっかけを与えるものではなく、自然に身に付くものであると思いたい。
読了日:12月06日 著者:齋藤 孝

できる人の書斎術 (新潮新書)できる人の書斎術 (新潮新書)
読了日:12月07日 著者:西山 昭彦,中塚 千恵

津山三十人殺し 七十六年目の真実: 空前絶後の惨劇と抹殺された記録津山三十人殺し 七十六年目の真実: 空前絶後の惨劇と抹殺された記録感想
筑波昭著『津山三十人殺し』の関連作として読了。この作品で著者は筑波氏の著作の矛盾と、新たに発掘された真実から新解釈を記している。昭和13年に起こった空前絶後のこの事件にはまだまだ謎が多く、これを追う著者の執念が今後の活動に結実することを期待したい。
読了日:12月10日 著者:石川 清

本のおかわりもう一冊 (桜庭一樹読書日記)本のおかわりもう一冊 (桜庭一樹読書日記)感想
2010年~11年の読書日記。好きなシリーズなので、ずっと読んでいる。今回もマーカー片手に気になる本をチェック。引っかかったのは2冊。うーん、私の小説離れは一段と進んだようだ。そろそろこのシリーズともお別れかな。
読了日:12月11日 著者:桜庭 一樹

やっぱり書斎がほしい―知的創造空間の設計 (講談社カルチャーブックス)やっぱり書斎がほしい―知的創造空間の設計 (講談社カルチャーブックス)感想
我が家の書斎作りの参考にしたくて購入。1992年刊行なので内容が古く、正直、あまり参考にならなかった。『読む・書く・考える』この3つの欲求を満たす空間を=書斎として定義されているのには共感できるが、更に『作る』があっても良いかも。うーん、これだと書斎ではなく、秘密基地のような趣味的空間になってしまうかな…。
読了日:12月12日 著者:三輪 正弘,西村 俊一

万引き老人万引き老人感想
読み進むのが辛くなってしまった。コロッケ1個盗んだ老人の話は、読むに堪えない。一歩間違えば、誰もが貧困に陥る世の中。
そろそろ老人の域に差し掛かった我が身を重ねてみれば、“絶望老後”がすぐそこまで迫っていることを、改めて感じさせてくれた作品だった。
読了日:12月14日 著者:伊東 ゆう

不良老年のすすめ (集英社文庫)不良老年のすすめ (集英社文庫)感想
著者の作品は好きだが、エッセイは今一つかな。
この人はノンフィクションにその真価をみる。
不良老年という定義がよく分からなかったが、自身の個をぶれずに持ち続けるというこだわりには共感できた。
読了日:12月17日 著者:下重 暁子

夜啼きの森 (角川ホラー文庫)夜啼きの森 (角川ホラー文庫)感想
昭和13年に起こった津山三十人殺しは、多くの小説やノンフィクションのモチーフとして上梓されているが、著者の一連の小説の根底を成す岡山に残る土俗信仰を背景に、新たな側面から描かれた完成度はさすが。 残忍な殺戮描写がなくとも、事件の恐ろしさは十分に伝わったと思う。
読了日:12月17日 著者:岩井 志麻子

ミステリーの系譜 (中公文庫)ミステリーの系譜 (中公文庫)感想
このところ追っかけている『津山三十人殺し』の関連資料として読了。
『闇に駆ける猟銃』は事件後30年ほどしか経っていない頃に著書が取材して書いているので、生存者からの聞き取りもあって、その後多く出された関連本のなかでも資料的価値は高い。
事件を知る上でも必読の書であると思う。
読了日:12月20日 著者:松本 清張

書庫を建てる: 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト書庫を建てる: 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト感想
『絶景本棚』のグラビアで圧倒的な画像に魅せられ、この書庫が作られるに至った本書の存在を知った。わずか8坪の土地に、機能的で洗練された奇抜なデザインの書庫が、才能溢れる建築家とのコラボで作られたことに今さらながらに驚きました。機会があれば現地に立ち寄り、ぜひ拝みたいと思います。
読了日:12月20日 著者:松原隆一郎,堀部安嗣

東海道徒歩38日間ひとり旅(小学館文庫)東海道徒歩38日間ひとり旅(小学館文庫)感想
写真家の著者が58歳の1992年の夏にチャレンジしたルポ。旧街道の東海道を忠実には歩いていないが、大阪から東京まで歩きとおすという強い信念のもと、リタイヤせずに炎天下の道を徒歩で旅したことに敬意を表したい。私もコロナ禍の今年、94日間をかけて北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断したが、一歩間違えば熱中症になってしまう、炎天下の歩きの辛さは経験者として理解できる。足の痛み、マメの辛さ、なんでこんなことしているんだろうという、やるせない雑念…それを克服してのゴールの達成感が何よりも共感できた。
読了日:12月23日 著者:糸川耀史

シェルパ斉藤の遊歩見聞録: だから歩く旅はやめられないシェルパ斉藤の遊歩見聞録: だから歩く旅はやめられない感想
久しぶりに著書の本を読んだが、歩き旅の内容を見ても往年のパワーや独創性がなくなり、安易、中途半端なチャレンジになっていることは歪めない。
年齢を重ねたなりのチャレンジを期待したいが、歩き旅にこだわるならそろそろ日本縦断とか一周をしてみたらと老婆心ながら思う。
読了日:12月27日 著者:斉藤 政喜


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[ 2021/01/03 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

9月の読書

月の大半を徒歩の旅で過ごした9月は、ほとんど読書することがなく終わった。
読書の習慣というものは、リズミカルでなければ続かない。
プラス、無性に読みたい!!という欲。

いったん止まってしまって、その後に本を手に取ることがなくても平気なら、ホンモノの読書家とは言えないだろう。

自分に当てはめてみるとおそらくそうだ。

今月に入っても本を開いていない。
読書よりも夢中になる遊びに熱中している限り、しばらく本との時間はお預けです。


9月の読書メーター
読んだ本の数:2
読んだページ数:518
ナイス数:14

クワバカ~クワガタを愛し過ぎちゃった男たち~ (光文社新書)クワバカ~クワガタを愛し過ぎちゃった男たち~ (光文社新書)感想
新刊を買うのは実に2年ぶり。書店で見つけたときは電流が走り、速攻でレジに持っていった。
この本はクワガタに取り憑かれたマニアたちの記録である。南西諸島に棲む希少種マルバネクワガタの採集ではハブの恐怖におののきながらも一晩中暗闇のジャングルをさ迷い、採集した天然のオオクワガタでは、その大きさを1ミリ単位で競う。クワガタを愛し過ぎるあまり人生の全てを捧げ、転げ落ちた人々の壮絶さが伝わってくる。著者は最後に、幸福とは『好き』という業火に、一度でも身を投じたか、投じなかったか、であると書いている。
読了日:09月04日 著者:中村 計


ヒッチハイク女子、人情列島を行く!ヒッチハイク女子、人情列島を行く!感想
内容に多少の誇張はあっても冒険譚を読むのは楽しい。冒険記こそがノンフィクションの王道だと勝手に思っている。
この本、21才の女の子がルンルンでヒッチハイクの旅と思いきや、+民泊+所持金無…という端からみれば、とてつもなく無謀で甘い旅。人の善意にすがり、毎日の宿と食事にありつく。貞操を奪われそうな危険な目に遭っても、最後には、日本は『いい人』がたくさんいる素敵な国ときた。
単なる旅行記に留まることなく、これは冒険の記録といってもいい。
著者の無鉄砲な勇気とポジティブな行動力に拍手を送りたい。

読了日:09月02日 著者:池田知晶

読書メーター



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[ 2020/10/23 ] 読書 | TB(0) | CM(2)

8月の読書

猛暑だった8月は、どこにも行かずに自宅で過ごす毎日でした。
ここぞとばかりに、片っぱしから積ん読を崩していました。
読んだ本は21冊。
相変わらずの乱読、久しぶりのハイスコアでした。

8月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:5988
ナイス数:78

おまもり―ホロコーストを生きぬいたある家族の物語おまもり―ホロコーストを生きぬいたある家族の物語感想
ユダヤ人絶滅収容所は数多くあるが、この本の舞台となったのはドイツのベルゲン=ベルゼン。アウシュヴィッツのようなガス室はなかったが、チフスや栄養失調で多くの命が失われたという。また主人公一家が難民として移送されたオランダの収容所についても触れている。
ホロコースト関連の本に共通する生存者の証言はどれも凄惨を極めるが、この本は解放当時10才だった少女の証言をもとに編集されており、児童書として中学生でも理解できる内容となっている。戦争の悲惨さを伝える資料として広く読んで欲しいと思う。
読了日:08月31日 著者:リラ パール,マリオン・ブルーメンタール ラザン
京都の流儀―もてなし篇― (翼の王国books)京都の流儀―もてなし篇― (翼の王国books)感想
リタイアする前、出張のANAの機内で毎月楽しみにしていた機関誌のお気に入りシリーズ。2作目の今回も魅せられてしまった。知らない世界を居ながらにして知ることができるのは読書の最大の魅力であり、楽しみ。それが自分が棲む日常からかけ離れているほど嬉しい。活字を通して花街のしきたりに触れ、舞芸妓さんたちの美しい写真を見るだけでも価値がある。『翼の王国』の連載は続いているので、シリーズ3作目の上梓が待ち遠しい。
読了日:08月30日 著者:徳力龍之介
読書の価値 (NHK出版新書 547)読書の価値 (NHK出版新書 547)感想
第四章【読書の効用】のなかで著者曰く~本には、日常から距離を取る機能がある…まったく同感。それを体感したくて私は多くの時間を読書に当てている。気になるのは電子書籍の動向。著者が言う、紙からとって代わる時代は近いのか。日々、本棚を眺めることで心の平安を得、至福の時間を過ごすフェチな自分にはそんな未来はゴメンである。
読了日:08月30日 著者:森 博嗣
色街を呑む!―日本列島レトロ紀行 (祥伝社文庫)色街を呑む!―日本列島レトロ紀行 (祥伝社文庫)感想
レポにある色街の選択が、メジャーな飛田新地を除いてマイナーなのが良い。私もいくつか訪ねたことがあるが、地元の人も行かない路地の奥のそんな場所で、著者が『結界』という言葉で表現しているように、その場に立つと空気が変わることを実感している。
著者の、色街で呑むというこだわりと目的はどこにあるのか最後まで分からなかったが、『結界』を越えた異空間での緊張感と、正体を忘れるくらいまで呑むことで、それを解き放つ酒の力による魂の弛緩を求めていたのかもしれない。全編を通して酒で亡くなった著者ならではの名レポだと思う。
読了日:08月30日 著者:勝谷 誠彦
無能の人・日の戯れ (新潮文庫)無能の人・日の戯れ (新潮文庫)感想
つげ義春の作品は忘れた頃に思い出しては頁をめくっている。
なかでも『無能の人』の連作は最高傑作だと思う。著者を投影した主人公には、先が見えない虚無で退廃的なやるせなさの中に、流されながらも生きていくしたたかさが見える。この“やるせなさ”を感じとることが私にとって、一連のつげ作品に共通している魅力だと思う。
読了日:08月29日 著者:つげ 義春
停電の夜に (新潮文庫)停電の夜に (新潮文庫)感想
これまで自分がもっていた短編小説の概念が変わったと思える作品集。短編には起承転結のストーリーが当たり前で、短いながらもオチが必要だと思っていたが、この作品集に共通するのはそんなことはどうでもよい、心地よい余韻。なかでも『三度目で最後の大陸』が、情景がありありと浮かぶようで、叙情的でグッときた。
読了日:08月29日 著者:ジュンパ ラヒリ
京都の流儀 (翼の王国books)京都の流儀 (翼の王国books)感想
ANAの機関誌『翼の王国』に連載されているコラムですが、出張に行く機内でいつも楽しみに読んでました。単行本化にあたり加筆・修正されているので、文章もいくぶん短くなっているようです。
さてこの本、これまでもこれからも、私には一生縁がないであろう花街のお茶屋のしきたりや舞妓遊びなど、京都の雅な一面を知ることができて貴重です。写真も雰囲気が良くてセンスを感じます。
読了日:08月25日 著者:徳力龍之介
限界集落ーMarginal Village限界集落ーMarginal Village感想
写真の中のご老人たちの表情が印象的。特に目が良い。深いシワにも人それぞれの生きざまが表れているようだ。寂寥感が漂う写真を見ていると限界集落の存在は国の貧しさの象徴でもあり、ただ朽ちるがままに放置する行政側に憤りを感じずにはいられない。
読了日:08月23日 著者:梶井照陰
津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)感想
あまたある犯罪本のなかでも名著ではないだろうか。歴史の闇に埋もれていた事件を戦時下での当時の風俗、社会背景を織り混ぜ、多角的に検証し、掘り起こした著者の努力に敬意を表したい。されど、“死人に口なし”、犯人の苦悩と狂気の内面までは永遠に捉えられない。蛇足だが、この事件は過去何作もの『八つ墓村』の映画・TVドラマでの重要なテーマになっているが、吉岡秀隆主演で2019年にドラマ化された再現シーンが一番リアルだったと思う。


読了日:08月23日 著者:筑波 昭
川上弘美書評集 大好きな本 (文春文庫)川上弘美書評集 大好きな本 (文春文庫)感想
書評の要諦は読書欲を刺激する一点にあり、読者がすぐ書店に行って買いたいと思うように誘導する…と、ある作家の著作解説に嵐山光三郎が書いたが、著者の文章は前置きが長くて、回りくどくて、癖がある。購買意欲をそそる万人受けの分かりやすい表現ではなく、面白味も少ない。短文であるのに最後まで読む気がしない。新刊の新聞書評や解説だからこそ、これでいいのかな?と思ってしまった。
読了日:08月21日 著者:川上 弘美
野蛮な読書野蛮な読書感想
初めて著者の作品を読んだ。あらためて文章の旨さに舌を巻く。
奇しくも私と同じ年齢。エッセイにラインナップされた本には私の世代でも時代が古い獅子文六、宇能鴻一郎、池部良といった往年の渋い作家や写真家の作品もありその幅の広さに驚く。
私も大好きな山田太一『異人たちとの夏』や棟方志功『板極道』が紹介されており、思わずニヤリとしました。
読了日:08月18日 著者:平松 洋子
日本列島縦断歩き旅-宗谷から佐多へ-日本列島縦断歩き旅-宗谷から佐多へ-感想
還暦を迎えた著者が85日間で日本列島を北海道から鹿児島まで徒歩で縦断した記録。同様な徒歩旅の本は多くあるが、何よりも日記形式で昼食のリンゴ一個の値段まで詳細に記録した内容が後に続くチャレンジャーたちへの貴重な資料となること請け合いである。著者あとがきで、旅の中で宿や食事、洗濯、トイレといった衣食住の心配から解放されることがなく雑念に支配されたと語っている反面、日本の風景の美しさや接した人々の寛容さにも触れている。そんな意味では3000キロの旅は人生の記憶に残る大きなチャレンジであったに違いない。
読了日:08月17日 著者:方波見 光彦
ヤマケイ文庫 山怪 山人が語る不思議な話ヤマケイ文庫 山怪 山人が語る不思議な話感想
マタギや山里に住む人々が語る、山で体験した不思議な話が多く収められているのが新鮮。現代版の『遠野物語』のようです。
30年以上登山をしてきた私ですが、一度もこうした経験はないです。鈍感なんでしょうね。

読了日:08月17日 著者:田中 康弘
実践! 多読術  本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)感想
多読はともかく、併読は3冊が限度かな。
著者のように最後まで読みきるのは10~15%という贅沢な読み方はできず、面白くなくてもつい最後まで読んでしまう、貧乏性です(笑)。
お金があれば新刊を追っかけたいが、この本も10年前に出された鮮度が落ちた本。
読了日:08月14日 著者:成毛 眞
なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか 最強11神社―八幡・天神・稲荷・伊勢・出雲・春日・熊野・祗園・諏訪・白山・住吉の信仰系統 (幻冬舎新書)なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか 最強11神社―八幡・天神・稲荷・伊勢・出雲・春日・熊野・祗園・諏訪・白山・住吉の信仰系統 (幻冬舎新書)感想
普段何気なく訪れ、何のこだわりもなく参拝している神社。
この本は神社の分類、御神体、歴史、分布、祭礼と、神社のことを分かりやすく体系的に多くの疑問に応えてくれた入門書という位置付けかな。タイトルの八幡神社の内容には特化していないのがちょっと残念ですが、神社の全体像を知る上には勉強になります。
読了日:08月13日 著者:島田 裕巳
マンボウ思い出の昆虫記 虫と山と信州とマンボウ思い出の昆虫記 虫と山と信州と感想
私が読書に目覚めたのは中学生の時に『どくとるマンボウ昆虫記』を読んでから。それから早50年。著者没後に出されたこの本はファン必読の書だと思います。昆虫と山への愛着ばかりでなく、旧制松高時代に寄稿された小編には、美しく流れる文章に並々ならぬ才能を見ることができます。後年発表された『谿間にて』のモチーフになったエッセイや、巻末に収録されている『思出之昆虫記』は虫への愛が溢れており、著者の新たな側面を見ることができました。
読了日:08月09日 著者:北 杜夫
てっぺん 我が妻・田部井淳子の生き方てっぺん 我が妻・田部井淳子の生き方感想
唯川恵『淳子のてっぺん』つながりで読む。一時代をリードした稀有なアルパインクライマーである夫婦とも、登山家ではなく“登山愛好家”“山屋”と称しているところが謙虚で好感が持てる。田部井淳子さんが生涯を山屋であり続けた裏には著者の献身的な支えがあったことに、たぐいまれな夫婦愛を見た思いでした。
運もありますが、私の知ってる限りでも登山史に残る実績を残した山屋で還暦を過ぎて死ぬ間際まで山を登り続けた人はそんなにはいないです。困難なルートに挑み続けた登山家たちのほとんどが山に逝っていますね。
読了日:08月08日 著者:田部井 政伸
お好みの本、入荷しました (桜庭一樹読書日記) (創元ライブラリ)お好みの本、入荷しました (桜庭一樹読書日記) (創元ライブラリ)感想
読書日記シリーズ三作目。今回もマーカー片手に読みたい本をチェック。どんどん積ん読が増えていく。
今更ですが、著者の小説は一冊も読んでいないので、そろそろと思い、『私の男』と『赤朽葉家の伝説』を購入。
…といっても、チェックして買った本が順番待ちしているので、ページをめくるのはまだまだ先になりそうです。
読了日:08月07日 著者:桜庭 一樹
淳子のてっぺん (幻冬舎文庫)淳子のてっぺん (幻冬舎文庫)感想
この小説の主人公・田部井淳子さんの足跡についてはいくつかの著作を読んできたので大方知っていたが、小説として読むと、また違った側面を知ることになって新鮮だった。クライミングで使うシットハーネスは、その昔ゼルブストといっていたが、文中で出てきたので思わずニンマリしました。
読了日:08月06日 著者:唯川 恵
書店はタイムマシーン (桜庭一樹読書日記) (創元ライブラリ)書店はタイムマシーン (桜庭一樹読書日記) (創元ライブラリ)感想
読書日記の第二弾。今回も読みたい本をマーカーでチェックしながら読了。
山口瞳『血族』、フィリップ・グランベール『ある秘密』などをチェック。
それにしても著者の読書愛に驚く。ご飯を食べるように本を読んでいる。そして、取り巻く編集者たちの本好きにも脱帽。日記には直木賞受賞のいきさつもあって今回も楽しく読めた。
読了日:08月04日 著者:桜庭 一樹
売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ感想
渡鹿野島のことを知ったのは40年近く前だろうか。当時、若く血気盛んな友人たちから、武勇伝のごとくこの島で遊んだ話を幾度なく聞かされたことを覚えている。非合法の売春によってこれといった産業もなかった島は潤い、多くの住民はその恩恵を受けたわけだが、離島に限らず、地方都市や過疎の村にしかり、現代の日本は高齢化と産業の衰退によって凋落の一途をたどっている。単なる風俗レポートではなく、この作品はそんな日本の光と影を冷徹な目で表現してくれたと思う。
ちなみに、上原善広著『辺境の路地へ』にもこの島のレポが書かれている。
読了日:08月03日 著者:高木 瑞穂

読書メーター



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[ 2020/09/01 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

方波見光彦著『日本列島縦断歩き旅-宗谷から佐多へ-』を読む

このところの猛暑と一段と加速を増しているコロナ禍のなかで、ちょっとした外出をすることさえ躊躇しています。
空虚で閉塞的な状況が長く続けば、知らぬ間に心身のバランスを崩すことになる…分かっていても、無職で、日がな一日を過ごす我が身にはなんと一日が長いことか(笑)。
今更ですが、私にとってのストレス解消法の一つが読書。本を読むことでむなしく過ぎていく時間を埋め、一日をそつなく過ごすリズムを得ているのかもしれません。

さて、日本縦断の歩き旅を中断してから自宅にこもり続け、“積読本”を崩しながら活字を追う毎日のなかで、印象に残った本を紹介したいと思います。


縁あって、著者からいただいた『日本列島縦断歩き旅-宗谷から佐多へ-』(2011年3月刊 エルアイユー)です。

還暦を迎えた著者が3シーズン(平成20~22年)85日間をかけて、日本列島を北海道宗谷岬から鹿児島県佐多岬まで徒歩で縦断した記録です。
同様な徒歩旅の本は多くありますが、日記形式によるリアルな描写が読む側の気持ちを惹きつけ、一緒に旅をしているような、緊張感と心地よさを感じます。
宿の情報はもちろん、昼食のリンゴ一個の値段まで詳細に記録した内容がインパクトを広げています。
後に続くチャレンジャーたちへの貴重な資料になるのではないでしょうか。

著者あとがきで、旅の中で宿や食事、洗濯、トイレといった衣食住や天気の心配から解放されることがなく雑念に支配されたと語っていますが、これは中途半端に縦断の旅をかじっている私にも思いっきり共感できますね。

歩いているときに何を考えているのか…と振り返ってみれば、今夜はどこに泊まろうか、そろそろ宿を確保しなきゃあ、自販機なくなったらどうしよう、もよおしたらトイレあるかな…私の場合はそんなことばかり考えて歩いていました。
更に、雨にやられたり、暑さにやられたり、そのたびに悪態をつきながら歩くという、傍から見ても旅を楽しんでいるという風情ではありません。

しかし、旅に順応し、心底旅を楽しむ姿勢に変えることによって、歩くことの意味はより深さを増すようです。
著者は移動速度と身の丈からのみ感じ取れる自然の美しさを体感し、過疎化が進む現状を目の当たりにし、この国の行く末を案じています。
また、道中で接した多くの人々の寛容さにも触れており、積極的に人と関わっていく姿勢が見て取れます。

そんな意味では、3000キロの旅は人生の記憶に残るだけではなく、何かを気づき、変わることができた大きなチャレンジであったと思います。

最後に、
私にとってこの本、これからの歩き旅の指針になるような気がします。
歩くことの意味を自問自答しながら、残りの旅を楽しみたいと思います。


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[ 2020/08/19 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

7月の読書

7月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2204
ナイス数:24

少年になり、本を買うのだ 桜庭一樹読書日記 (創元ライブラリ)少年になり、本を買うのだ 桜庭一樹読書日記 (創元ライブラリ)感想
読みたい本をマーキングしながら読了。海外ミステリと現代小説が多いが、古典も紹介されおりブックガイドとしても面白かった。もちろん、日記も楽しめた。
読了日:07月31日 著者:桜庭 一樹
昆虫標本商万国数奇譚昆虫標本商万国数奇譚感想
昆虫標本商を生業とする方が書いた本を初めて読んだが、内容的にはビジネスの話でもないし、虫好きなら一番興味がある採集の話に特化しているわけでもなく、立ち位置は中途半端。
家族、離婚等プライベートな話題、標本商として一人立ちするまでの著者のこれまでプロフィールがごちゃ混ぜになって冗長で読み難くかった。インドで拘束された話がちらりと出てきたが、後発の『虫に追われて』に詳しく書かれているようだ。
読了日:07月30日 著者:川村 俊一
だいたい四国八十八ヶ所 (集英社文庫)だいたい四国八十八ヶ所 (集英社文庫)感想
いつかチャレンジしたい歩き遍路。この本はそれを目指す人のガイドブックになると思う。
歩き旅ならではのマメとの闘いと対処方法については、長距離を歩いた人ならではのエッセンスがある。
著者曰く、信仰心もなく、四国を歩いているという存在感を得たいがために歩くというチャレンジは、大いに共感できた。
読了日:07月27日 著者:宮田 珠己
俺たちの定年後 - 成毛流60歳からの生き方指南 - (ワニブックスPLUS新書)俺たちの定年後 - 成毛流60歳からの生き方指南 - (ワニブックスPLUS新書)感想
定年後をどう生きるのかという、指南書を数多く読んできたが、この本が今の自分に一番マッチした。
本読みの成毛氏だけあって、蔵書はその人の過去を、積ん読は未来をという、表現にも共感しました。
読了日:07月25日 著者:成毛 眞
誰も「戦後」を覚えていない [昭和30年代篇] (文春新書)誰も「戦後」を覚えていない [昭和30年代篇] (文春新書)感想
私が生まれた昭和30年代のことを知りたくて手に取ったが、内容的に薄かったのが残念。
著者がテレビの仕事をしていたということもあり、ボリュームも芸能、マスコミのテーマが多く、この方面に興味がある読者なら満足できるのでは。
昭和30年代は日本人が得たもの、失ったものも多く、もっと多方面に渡った検証があればよかったと思う。
読了日:07月17日 著者:鴨下 信一
下山の思想 (幻冬舎新書)下山の思想 (幻冬舎新書)
読了日:07月16日 著者:五木 寛之
エンデュアランス号漂流 (新潮文庫)エンデュアランス号漂流 (新潮文庫)感想
漂流記モノでは古典の部類になるが、サバイバルの視点と主人公シャクルトンのリーダーシップの視点という二つの観点から単なる漂流記モノではくくれない読み応えがある。
全編を通して流れる“諦めない精神力”は現代に生きる私たちにも通じるものがあると思う。
椎名誠氏が推薦していてずっと気になっていたが、ようやく読み終えることができた。
また、文庫版あとがきでこの作品が翻訳された経緯に、故・星野道夫氏の存在があったことに改めて驚きました。
読了日:07月15日 著者:アルフレッド ランシング
本の読み方本の読み方感想
稀代の本読みの著者は、「多読家であるが、読書家ではない」と語っている。本を読む姿勢にまでこだわるくだりは本を愛してやまない著者ならではであろう。本の下敷きで最期を遂げた著者の珠玉のエッセイです。
読了日:07月14日 著者:草森 紳一

読書メーター



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[ 2020/08/03 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

アルフレッド・ランシング著『エンデュアランス号漂流』

軽量化を図るために紙一枚の重さまで気にして歩いた今回の日本縦断の旅ですが、そんな気持ちとは裏腹にザックに忍ばせていたのがアルフレッド・ランシング著『エンデュアランス号漂流』。
1914年に南極大陸横断を目指して遭難し、17ヵ月後に28名の乗組員全員が奇跡的な生還を果たすというノンフィクションです。

旅の途中で気ままにページを開いてきましたが、468頁の大作なので読み切ることができず、ようやく今日、読了しました。

さて、本書は数多くある漂流記モノでは古典の部類になりますが、サバイバルの視点と主人公シャクルトンのリーダーシップの視点という二つの観点から、単なる漂流記モノではくくれない読み応えがある内容でした。

全編を通して主張する“諦めない精神力”は現代に生きる私たちにも通じるものがあると思いますし、リーダーを信頼したメンバーが一丸となって 数々の苦難を乗り越えていくプロセスは、人間関係が希薄になっている今の社会において清々しさを感じました。

椎名誠氏が『活字の海に寝転んで』(岩波新書)の中で推薦していてずっと気になっていましたが、もっと早く読んでおけば、歩き旅という私の小さなチャレンジにも少しは影響を与えていたかもしれません。
“諦めない”ことは、夢を実現するために必要な最低限の要素だと思います。

また、文庫版あとがきでこの作品が翻訳された経緯に、故・星野道夫氏の存在があったことに改めて驚きました。


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[ 2020/07/15 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

P.コーンウェル『烙印』読了

最近は小説を読まなくなりました。

食わず嫌いもあるけど、ワクワク感というか、心の躍動を感じさせる作品に出会うことが減ったからと勝手に解釈してますが、裏返せば、私の場合は年齢的な部分からくる精神の衰えが大きそうです。
年を取ると、ちっとやそっとで感動しないし、騙されないし(?)、そもそも驚かない。
それが小説のようなフィクションの世界になるとなおさらです。
もう、少年の心に、虫を追っかけていた純真無垢のあの頃には戻れませんね。
もっとも、これは自分に限ったことですが…。

それがあってか、このところの読書傾向はもっぱらノンフィクションに傾いてますが、これはおそらく、この年になってもまだ知らない世界を覗いてみたいという、か細いがちょっとした知識欲からきていると思っています。

さて、そんな中で“読んでしまった小説”を紹介します。
パトリシア・コーンウェルの『検視官』シリーズ第24作『烙印』(2018年刊 上・下巻)。
第1作は1990年上梓なので、かれこれ30年近くこのシリーズとつきあってきました。
小説は読まないと言いながら矛盾していますが、こうなると完結まで意地でも読み続けてやろうと思います。

さて本作では、年を重ねた登場人物たちそれぞれがキャリアと円熟味を増した中で、ピート・マリーノの相変わらず下品でブレない存在感が健在です。
16作目から訳者が相原真理子さんから池田真紀子さんに代わりましたが、マリーノのキャラを変えることなく継承してくれたのがうれしい。
いつものことながらストーリーは冗長でマンネリ感は歪めないが、読者サービスだろうか、本作はマリーノやケイ・スカーペッタの体形や容貌を少しだけ小出しにしてくれたし、スカーペッタの若かりし頃の不倫体験などもありました(ちょっとネタバレかな)。
一番気になるスカーペッタやベントンの年齢は教えてくれませんが、マリーノを含めて50代前半かな?と想像している。

さて本作もいつも通り、最後の30ページがクライマックス。
そろそろこのパターンは飽きてきたが、小説は読まないとうそぶきながらも、それを承知で次作もきっと読むんでしょうね(笑)。


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[ 2020/05/09 ] 読書 | TB(0) | CM(0)