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アゴタ・クリストフ著『悪童日記』三部作を読む

長らく、本棚の肥やしになっていたアゴタ・クリストフの三部作を読みました。
三部作とは『悪童日記』から始まるシリーズで、『ふたりの証拠』『第三の嘘』の三冊です。

アゴタ・クリストフはハンガリー生まれの作家で、1956年のハンガリー動乱の折に西側に亡命し、スイスで著作活動を続け2011年に死去しています。

物語の背景はナチス政権化のハンガリーから始まり、一作目の『悪童日記』から戦時下の田舎町で成長していく双子の生きざまを、一人称複数形式=「ぼくら」を使う文体で綴っていきます。
二作目の『ふたりの証拠』では双子の片割れリュカの20代の青年時代を、三作目の『第三の嘘』では50代になったもう一人のクラウスの姿を追っていく内容です。

この三部作は、近年読んできた小説の中でも五指に入りそうで、久しぶりに小説を読む楽しみを味わうことができた作品となりました。

以下、簡単に感想を。

『悪童日記』 2月3日読了
この作品、 直接・間接的な描写や表現、巻末の注釈によりナチス政権化の時代背景を物語に重ね合わせることができたが、主人公の双子の動きには謎が深まるばかり。
常識が通じない動きや表現は読む側を惹きつけるが、それ以上に不安な要素が増幅する。
しかしそれは、“怖いもの見たさ”に比例して、ページをめくるスピードに変化するから不思議だ。
どうやら、シリーズ三部作を読み切らなければ、喉のつっかえは解消できないようだ。

『ふたりの証拠』 2月8日読了
独特な文体に引き込まれた前作『悪童日記』の興奮が冷めやまぬうちに、ページをめくった。
淡々と進む物語に、ストレートに何も考えずに読み進めたが、最後にしてやられた。
底が見えない深淵にはまったというか、それとも茫洋の海に放り込まれたような…そんな気分。
ここで止めては読者泣かせというもの。
続きが待ち遠しくて仕方がないのは久しぶりだ。
さぁ、次はいよいよ完結編。じっくりと楽しみ、味わいたい。

『第三の嘘』 2月12日読了
前二作を読み終えて、すべての謎が解けることを大いに期待して読了。
しかし、“してやられた”と言うべきか、物語の完結を当たり前のように求めていた自分を、あざ笑うかのような見事な逆転劇に舌を巻いた。
著者の力量を否応なしに味わうことができた、小説世界の常識と枠を超える不思議な魅力にあふれた三部作だった。

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さて、ナチスと言えば、今日見た映画が『愛を読むひと』(スティーブン・ダルドリー監督 2008年 米)。
ベルンハルト・シュリンク著『朗読者』の映画化作品です。
原作は2000年に読みましたが、ナチスの戦争犯罪に関わったヒロインの悲しい人生を、哀愁を帯びた映像で見せてくれました。
ストーリーはすっかり忘れていましたが、再読したくなりました。


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[ 2021/02/13 ] 読書 | TB(0) | CM(0)