先月亡くなった義父の35日法要が終わり、ようやく喪が明けました。
…と同時に、私が住む岐阜県も緊急事態宣言が解除。
といっても、不要不急の外出自粛はしばらくの間続きそうです。
ともあれ、ほんの少しですが気分的にも解放されたような気がします。
しかし、昨年末から繰り返している腰痛が再び出現。
ここひと月ほどは良かったんですが、毎日10キロほどしている散歩の無理がたたったのか。
それとも寒さにやられたのかさだかではありませんが、いずれにしてもすっきりしない体調です。
さて、2月の読書ですが9冊読了というまぁまぁのスコア。
もっとも、難しい本を読んでいるわけではないので、積読本をもっと崩さなければいけなかったかなぁ…と思うことしきり。
収穫はこのブログでも触れましたが、アゴタ・クリストフ『悪童日記』3部作。
素直に、これまでもっていた小説の概念が変わりました。
2月の読書メーター読んだ本の数:9
読んだページ数:2739
ナイス数:95
アウシュヴィッツの図書係の
感想実話に基づいた小説。主人公のディタが終戦間際に移送されたベルゲン=ベルゼンがアウシュヴィッツよりはるかに過酷で残酷な収容所だったことを改めて知った。アウシュヴィッツの殺人医師ヨーゼフ・メンゲレの人体実験は解放後に明らかになるが、この作品で語られた断片的な内容だけでも生々しく、恐怖を感じる。こんな極悪人が捕まることなく国外逃亡し、生き延びたことに腹が立つ。
ノンフィクションを含めたホロコーストを描いた多くの作品の中で、久しぶりに重量感と読みごたえのある作品に出会えたことがうれしい。
読了日:02月27日 著者:
アントニオ・G・イトゥルベ
遍歴・流浪・渡世 旅芸人のいた風景 (文春新書)の
感想古来から被差別民とされていた旅芸人や香具師。そのルーツを探り、寅さんや『伊豆の踊子』を例にとった分かりやすい持論の展開を興味深く読むことができた。
私が生まれた昭和30年代は、正月には獅子舞が家にやってきたし、縁日では猿回しやバナナのたたき売りを見ることができた。商店街の売り出しではちんどん屋がチラシを配り、そのあとを追っかけて隣町まで行ってしまい、迷子になって、母に迎えにきてもらった苦い思い出がある。
こうした風習(人々)はどこにいってしまったのだろうか。
今となっては古き良き時代が懐かしい。
読了日:02月15日 著者:
沖浦 和光
第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)の
感想前二作を読み終えて、すべての謎が解けることを大いに期待して読了。
しかし、“してやられた”と言うべきか、物語の完結を当たり前のように求めていた自分を、あざ笑うかのような見事な逆転劇に舌を巻いた。
著者の力量を否応なしに味わうことができた、小説世界の常識と枠を超える不思議な魅力にあふれた三部作だった。
読了日:02月12日 著者:
アゴタ・クリストフ
ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)の
感想独特な文体に引き込まれた前作『悪童日記』の興奮が冷めやまぬうちに、ページをめくった。
淡々と進む物語に、ストレートに何も考えずに読み進めたが、最後にしてやられた。
底が見えない深淵にはまったというか、それとも茫洋の海に放り込まれたような…そんな気分。
ここで止めては読者泣かせというもの。続きが待ち遠しくて仕方がないのは久しぶりだ。
さぁ、次はいよいよ完結編。じっくりと楽しみ、味わいたい。
読了日:02月08日 著者:
アゴタ クリストフ
アウシュヴィッツのタトゥー係の
感想被収容者へのタトゥー刻印を生き残るための手段として、同胞への罪の意識にさいなまれながらも続けることがどんなにつらかっただろうと想像できた。
600万人が犠牲となったホロコーストにおいて、しかもアウシュヴィッツで生き残ったことだけでも奇跡的だが、主人公のラリとギタが解放後にナチスに協力した罪に問われなかったことが、当時の審判の良識を見た気がする。
読了日:02月05日 著者:
ヘザー・モリス
悪童日記 (ハヤカワepi文庫)の
感想この作品、近年読んできた小説の中でも五指に入りそう。
直接・間接的な描写や表現、巻末の注釈によりナチス政権化の時代背景を物語に重ね合わせることができたが、主人公の双子の動きには謎が深まるばかり。常識が通じない動きや表現は読む側を惹きつけるが、それ以上に不安な要素が増幅する。しかしそれは、“怖いもの見たさ”に比例して、ページをめくるスピードに変化するから不思議だ。
どうやら、シリーズ三部作を読み切らなければ、喉のつっかえは解消できないようだ。
読了日:02月03日 著者:
アゴタ クリストフ
時雨みち (新潮文庫)の
感想久しぶりの藤沢周平作品。映画『山桜』を見て原作を読みたくなり手に取った。収録された11の短編のうち、お気に入りは『おさんが呼ぶ』。ぜい肉をそぎ落とした文章に、情景がありありと浮かぶ様は、さすがの藤沢作品。映画化を望みたい。『山桜』については、キーマンとなる手塚弥一郎の出番がほとんどないにも関わらず、その存在感が圧倒的。今更ながらに著者の手腕に驚いた。
読了日:02月02日 著者:
藤沢 周平
文章のみがき方 (岩波新書)の
感想『文章の書き方』に続いて読了。読む側に立ったわかりやすい文章をどう書くのか、具体的な事例から勉強させてくれた。『天声人語』を長年に亘って綴ってきた著者ならではのテクニックやノウハウが詰まっており、随所に出てくる福沢諭吉に傾倒しているきらいを差し引いても参考になった。
読了日:02月01日 著者:
辰濃 和男
文章の書き方 (岩波新書)の
感想『四国遍路』を読んではまってしまった著者の本。文章の書きかた指南書として読み始めたが、これを読んでから、かえって文章を綴ることが怖くなってしまった。
普段何気なく書いているブログの雑文でさえ、独りよがりであり、読む側に立って書いていないことに今更ながらに反省。書くことは難しい。
読了日:02月01日 著者:
辰濃 和男読書メーターメインサイト『
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