いつの間にか、7月。
一年の半分が過ぎてしまった。
梅雨入りが早かった今年はその分期間も長いのか、今日も降ったりやんだりのイヤな空模様です。
朝から名古屋市のワクチンサイトにアクセスし、入院中に2回目の接種が受けられなかった老父の予約を取りました。
1回目から6週間空いてしまったが、仕方がない。
やらないよりはマシだろうとの、判断です。
明日からカミさんの実家に帰省し、義母のワクチン接種に同行します。
ついでに畑の様子を見てくるつもりです。
老父にしろ義母にしろ、ワクチンを接種するにも一人ではままなりません。
いずれ自分にもそんなときがくるだろうと思いますが、それまでは誰にも迷惑をかけずに過ごせたらと思いますね。
さて、6月の読書です。
スコアは少し伸びて、10冊でした。
遅ればせながら、山本周五郎との出会いがあった月となりました。
6月の読書メーター読んだ本の数:10
読んだページ数:2750
ナイス数:85
清張ミステリーと昭和三十年代 (文春新書)の
感想昭和三十年代というタイトルに心の躍動を覚える。私が生まれた年代であり、間違いなくその世相を経験し育ってきた。
もっと知りたくてその時代の資料をあさるが、吉永小百合や石原裕次郎の日活映画、そして清張ミステリは、自分にとっては宝箱のような価値がある。
松本清張は高度成長に代表される昭和三十年代の潮流と社会の闇を巧みに切り取り、問題提起した作家である。50数年の時を経ても『砂の器』や『点と線』に代表される作品群はいささかも色あせていない。
蛇足ながら、三十年代には映画館が一万人に一館の割合であったことを改めて知った。
読了日:06月30日 著者:
藤井 淑禎
青べか物語 (新潮文庫)の
感想昭和初期の海べりの町の情景がまぶたに浮かぶ。
荒くれな男と女たちの生々しい姿を描き出すのは、周五郎ならではの筆致であり、『白い人たち』では、石灰工場で働く人々のすさまじい描写に度肝を抜いた。
連作全体を覆う哀愁を含んだセピア色の情景は、つげ義春の世界を連想してみたりもした。
港町を再び訪れた後年の旅で、関りを持った人々が誰一人自分のことを知らぬという、何よりも著者の存在を無に変えてしまったシュールな深みに、この作品の凄味を感じた。
読了日:06月29日 著者:
山本 周五郎
青春18きっぷの旅―ゆっくり急いで日本縦断の
感想乗り鉄ならば青春18きっぷを使っての日本縦断を夢見たことがあるはず。
著者はJR全線完乗の後、2010年に知床斜里から枕崎までの3000㎞のチャレンジを行った。
ルールは5日間でのゴールを目指すというもので、事故、災害による遅延に遭いながらも5日後に本州最南端駅の枕崎に到着した。
このチャレンジは多くの人が達成しているが、残念ながら2021年3月のダイヤ改正と肥薩線の不通により不可能になった。
かくいう私もチャレンジを夢見る一人だが、今は著者の本を読んで、羨ましさをまぎらすばかりである。
読了日:06月26日 著者:
浅野知二
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)の
感想難読氏名の赤ひげの本名=新出去定(にいできよじよう)を最後まで覚えることができなかった(笑)。
無骨だが人情味溢れる強きヒーローの赤ひげは、周五郎のキャラクターの中でもいちばんかな。
黒澤映画『赤ひげ』で主役を演じた三船敏郎の陰がちらついたので、読了後にレンタル屋に走ったが、在庫なし。併せて映画も見たくなった。
ちなみに原作の上梓は昭和33年(1958)。奇しくも私が生まれた年の作品だった。
読了日:06月25日 著者:
山本 周五郎
さぶ (新潮文庫)の
感想還暦過ぎても人間として成長できていない自分に、ときおり嫌気がさす。
短気でまっすぐな栄二の生きざまに共感し、感情移入してしまう自分に気づいて、反省することしきりなのだ。
栄二を取り巻く周辺の人々は人間的にも“できている”人が多いが、極めつけはさぶだろう。
月のように純真無垢で謙虚なさぶは、陽が照たる栄二とは対極をなすが、そこには口に出さずともお互いが足りないところを求めあう、表裏一体の人間のあるべき姿が見えてくる。
表題を『さぶ』とした著者の意図が、ほんの少し見えた気がした。
読了日:06月21日 著者:
山本 周五郎
メタモルフォシスの
感想初、羽田圭介。タレント作家として見ていたので、これまで著者の作品に触れることはなかったが、芥川賞候補になった作品ということを知り、手に取った。
SMがテーマになっているが、中身は薄っぺらいポルノ小説ではなく、その世界の取材と学習に裏打ちされた内容。
表題作は、マゾヒストの最終的な到達点は自虐で得られるものではなく、第三者の手による究極の被虐であり、それが“殺されたい願望”になっていく過程は常人には理解しがたい。
ゲームで済めばよいが、SMは頭を使う生きざまなのか、求める快楽にも様々なカタチがあるようだ。
読了日:06月19日 著者:
羽田 圭介
昨日 (ハヤカワepi文庫)の
感想母国語を使えない環境で過ごし、亡命者としての著者自らの体験が反映されている一方、『悪童日記』三部作で見せた、虚無で退廃的な空気感は、ここでも作品全体を覆っており健在。
社会の中心から逸脱し、疎外されてしまった人間の心理と不条理を描く手腕はさすがである。
読了日:06月14日 著者:
アゴタ クリストフ
どくとるマンボウ人生ノオトの
感想ずいぶん昔に読んだことがあるエッセイも収録されていたが、骨折して入院した晩年の話が著者ならではの味わいがあり、楽しく読めた。
旧制松本高校での青春時代は著者のすべての原点になっているようで、その経験は多くの作品に描かれている。
無為に過ごした自分の青春時代と比較してもしょうがないが、羨ましいと思うばかりだ。
読了日:06月13日 著者:
北 杜夫
小説日本婦道記 (新潮文庫)の
感想山本周五郎初期の短編集。石高の大小問わず、武家の婦女子の話す言葉が優しく丁寧で、美しく、なんとも心地よい。
今の時代ではついぞ接することがない会話に驚く。時代小説の魅力はこんなところにもあると思う。
どれも良いが、一押しは『松の花』。妻の死後、まるで知らなかった一面に気づく夫のどん臭さにも呆れるが、それを気づかせることなく献身的に夫や家を支えた妻の生きざまに、深く感動。涙腺が緩んだ。
読了日:06月10日 著者:
山本 周五郎
ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)の
感想12年間のナチ政権下でヒトラー暗殺計画は多々あったが、いずれも失敗に終わっている。
レジスタンスの活動以外に注目すべきは、反ナチのドイツ人による抵抗活動である。
映画『ワルキューレ』で描かれた親衛隊将校や単独犯ゲオルク・エルザーによる時限爆弾未遂など、ヒトラーの暗殺に関わった事件があった。
また、一般市民によるユダヤ人の救済、逃亡の手助け等、人道と慈愛、国の未来を思うまっとうな意思をもった多くの人々の存在があったという。
国家犯罪のホロコーストを進め、祖国を滅亡に導いたヒトラーの罪はあまりにも大きい。
読了日:06月02日 著者:
對馬 達雄
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