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3月の読書

先月は自作HP『琺瑯看板探検隊が行く』のリニューアル作業と、長男の新築計画での土地探しに時間を割いたこともあり、読書は遅々として進まず。
読書習慣はいったんストップすると、元に戻すのも時間がかかります。
コンスタントに月間15~20冊くらい読めるようにしなければ、溢れかえった積読本の山は崩れそうもありません。

さて、先月読んだ本の中で光ったのが、對馬達雄著『ヒトラーの脱走兵~裏切りか抵抗か、ドイツ最後のタブー』。
奇しくもウクライナ戦争の真っ最中。
ロシア兵の脱走兵は後を絶たないと報道されています。
ナチスドイツの脱走兵に対する制裁は死刑。
これこそ人道無視の何物でもありません。

戦争の愚かさを今更ながらに感じます。

3月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2117
ナイス数:375

ヒトラーの脱走兵-裏切りか抵抗か、ドイツ最後のタブー (中公新書)ヒトラーの脱走兵-裏切りか抵抗か、ドイツ最後のタブー (中公新書)感想
ナチスが行った不条理の蛮行に、脱走兵に対しての断罪がある。
裏切者と罵られ、軍法会議にかけられた多くの兵士が死刑判決を受けている。その数3万人。
本書では脱走兵の最後の生き証人といわれた一兵卒バウマン氏の生涯を追いながら、ナチスが行った不当な実態を暴き、名誉回復をかけた闘いを綴っている。
脱走者の多くが反ナチの人々であったが、戦後も差別は続き、年金も受けられないという辛酸を舐めている。犯罪者ではなく、ナチス軍司法の犠牲者と位置付け、復権活動が認められたのは氏らの努力である。
それを知ることができた力作に感謝。

読了日:03月24日 著者:對馬 達雄

下手に居丈高 (文芸書)下手に居丈高 (文芸書)感想
2012年11月から『アサ芸』誌上に68回にわたって連載されたエッセイ。
くだけた内容なのでサクサク読めるが、そこは硬派な私小説家。エッセイといえども文章の巧さが光る内容。
興味深いのは読書家としての姿を小出しに見せているところ。明治大正期の私小説に固執している旨を書きながらも、山本周五郎や松本清張、山田花子の漫画論にも及んでいる。
『ビールグラス』と題するエッセイには、四個目となる晩酌用のグラスを下ろすタイミングは還暦近くになると言いつつも、それより先に自らの生が確実に朽ちていることを予言している。
読了日:03月23日 著者:西村 賢太

棺に跨がる棺に跨がる感想
2012年から『文學界』に掲載された“秋恵もの”の連作。ちょっとしたことで逆ギレする貫多の変質的かつ粘着質の性格の悪さはいささかも衰えない。
カレーをキーワードに秋恵との諍いから出奔までを連作でつなぐ構成力は見事。
歿後弟子として自任する藤澤清造の墓を再建する下りは何回も出てくる。その傍らに自らの生前墓を建てるが、表題作の『棺に跨がる』では、自分の没年月日と享年が刻字されるのは、うんと近い将来かもしれないと書いている。
遠からず死を予感していたのだろうか。あまりにも早い生涯に、涙を誘わずにはいられない。
読了日:03月22日 著者:西村 賢太

夜更けの川に落葉は流れて夜更けの川に落葉は流れて感想
著者没後、未読の作品を読み漁っている。あまりにも早い逝去は残念だが、才能がある人ほど人生短しということだろうか。願わくはもっと読みたかった。
三篇が収められた本書の中で腹を抱えて笑ったのが『青痰麺』。ブラックユーモアを通り越した著者ならではのねちっこい性格の悪さがモロに出ている。文字通りの性格破綻者。芥川賞を獲り、時の人になってもこの体たらくはブレていない。
作品に溢れる不条理と怒り、己の弱さ、それでいてちょっとばかしの優しさが見え隠れする。
これほどの作品を書ける作家を失くしたことが、今更ながらに悔やまれる。
読了日:03月18日 著者:西村 賢太

漂流老人ホームレス社会漂流老人ホームレス社会感想
何らかの理由でホームレスにまで堕ち、更に行き場がない深淵まで陥ちていく現実が本書では語られている。これはもう国害であると言わざるを得ない。
憲法25条はもはや幻なのだろうか。生活保護すら受けることができず、「健康で文化的な最低限度の生活」は、ボーダーラインから外れた人々に適用すらされない現実を多くの人が知るべきである。
終電とともに駅のシャッターが下り、公園のベンチは寝転ぶことができない作り…いつからこんな国になってしまったんだろう。人々が安心して生きていく場を平等に保証することが国の役目であると強く思う。
読了日:03月16日 著者:森川すいめい

超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる感想
近所付き合いを筆頭に人との関りが希薄になった世の中。年間孤独死3万人という衝撃的な数値はそれを物語る。
この中には死後数ヶ月、数年が経過してから見つかるケースもある。
本書では、家族関係の崩壊⇒セルフネグレクト⇒ゴミ屋敷⇒孤独死という流れを典型例として紹介しているが、実際には孤独死のプロセスや背景は千差万別である。
そんな世相を反映してビジネスチャンスとばかりに業績を伸ばしているのが特殊清掃の世界。人の弱みに付け込むぼったくり業界と思っていたが、いやはや、この本で取り上げられた業者の清いこと。参った。
読了日:03月12日 著者:菅野 久美子

漂流者は何を食べていたか (新潮選書)漂流者は何を食べていたか (新潮選書)感想
漂流記を読むだいご味は、何を食べて生き延びたのか…これにつきる。
紹介された本は少ないが、その疑問にこたえるべく著者がポイントを絞って書いてくれた。シイラやウミガメ、アザラシ、海鳥の捕獲から料理法、水の確保から病気の対策など、そこにはサバイバルを超えた生き抜くための体験が綴られており、興味深く読めた。
埋もれていた漂流記の傑作、須川邦彦著『無人島に生きる十六人』を発掘し、世に出してくれた著者の功績は大きい。
読了日:03月09日 著者:椎名 誠

他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ感想
胸がすくような、明快なエンパシー論。コロナ禍に直面した今だからこそ、個人が身につける能力としてのエンパシーの重要性がよく分かった。
利己主義に走ることなく、常に意識することで身にけるべきスキルだと思いたい。
「他者の靴を履く」という的を得たタイトルにも感心したが、誰かの靴を履くためには自分の靴を脱ぎ、人が変わるときには古い自分が溶ける必要がある…という、言葉がもつ“溶かす力”に気づかせてくれた深い洞察力に参った。
読む順序を間違えたが、前著『ぼくはイエローで…』は未読なので、手に取ってみたくなった。
読了日:03月04日 著者:ブレイディ みかこ

行商列車:〈カンカン部隊〉を追いかけて行商列車:〈カンカン部隊〉を追いかけて感想
カバーの【鮮魚】のプレートを付けた近鉄の行商専用列車をずっと以前に見かけたことがある。
(何だろう、この電車)…ぼんやりと思っていた謎がこの作品で説けた。
重いカンカンを背負った女性たちの一群は、20世紀の終焉と共に姿を消していった風物詩。かつてのローカル線の車両や駅舎の待合には、たくさんの荷物を傍らに置いたそんな女性たちをよく見かけた。
行商の成り立ちは魚を食べる文化と重なり、日本の食文化を支えた風俗である。過酷な労働である行商に身を投じ、たくましく生きた女性たちの最後の姿を追った著者の努力に拍手を送りたい。
読了日:03月03日 著者:山本 志乃


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[ 2022/04/08 ] ▼読書 | TB(0) | CM(0)