四国歩きお遍路(38) 80番国分寺、83番一宮寺

雨の朝となった今日、四国が梅雨入りした。
結願まで天気は大丈夫と踏んで、5月18日に愛媛県の内子を出発したお遍路だったが、想定外の梅雨入りに掴まった日となった。

朝7時30分にホテルを出発し、JR高松駅から昨日ゴールした国分駅に向かう。
下車すると、同じ電車からSさんが降りてきた。
彼と会うのは二日ぶり。
昨日は79番を打って、国分駅まで歩いたという。
今日は80番国分寺から81→82と回り、高松に出るということだ。

連れだって80番国分寺に向かう。
マメの痛みで足を引きずる私を見て、気の毒そうな顔をしながらも、彼も同じく右足を引きずっていた。
連日の30㎞を越える歩きに「歩き過ぎじゃないですか」と牽制球を投げつけられ、お互い様だと健闘を称え合いながら山門をくぐった。

雨の中、本堂と大師堂を参拝するが、大師堂は納経所と一緒になっており、堂内にはずらりと土産物まで並んでいた。

国分寺でSさんと別れる。
がっちり握手をして、数日後に迫った結願とこれからのお互いの旅の無事を分かち合った。
出会いは一期一会だが、同じ楽しさや苦しみを共有する、歩き遍路ならではの爽やかな交流ができたことに感謝したいと思う。

国分寺からは、8㎞先の83番一宮寺まで遍路道を拾っていくが、目印がほとんどなく、地図を頭に入れて歩いた。

途中で足の痛みに我慢できなくなり、今日は飲まないでおこうと心で決めていたロキソニンを飲む。
右足を庇って歩くので、バランスが悪くなるのか、左足にもマメができている。
日本縦断でもさんざんマメに苦しんだが、マメができやすい体質だと思うしかない。

区切り打ちは間が空くと、体がお遍路に慣れるまでしばらくかかるので、非効率だといわれる。
通し打ちなら後半になるほど体が順応して、ガンガン歩けているかもしれない。

ロキソニンが効いてきたのか、少しだけ痛みが緩和されたのをここぞとばかりに、金剛杖でリズムを取りながら歩く。
38日間共に歩いてきた杖の先はいくぶん短くなり、花が咲いたように拡がっている。

天気は雨が降ったり、曇ったり、少し晴れ間が出たりと、まったく忙しい。
その都度、傘を出したり引っ込めたり。
杖と傘で両手が塞がるので、雨の日は大変だ。
菅笠を初めから買っとけばよかったと思っても、もう後の祭りである。

11時に83番一宮寺に到着。
本堂と大師堂で読経。
私の横に菅笠に杖、白装束のお遍路姿の男性が近づき、灯明もせず、読経をすることもなく手を合わせただけで納経所に行ってしまった。

私が納経所に行くと、その男性は掛け軸や納経帳にはんこを貰っていた。
人のことなのでどうでもいいが、単なるスタンプラリーなら勿体ないと思う。

寺の商業主義にまんまと乗せられているだけのような気がしないでもないが、私はこんなお遍路だけはしたくない。

恐らく、お遍路の真髄を分からぬまま結願を迎えそうだが、長く苦しい遍路道を歩き続けてきた過程で、煩悩との闘いもあったし、関わった人々に対して感謝できた素直な自分もいた。

お遍路は自分を磨く格好な場だったように思う。

クスリの効果が切れて、足の痛みが増幅始めた14時30分に、連泊するホテルに到着。

明日はここから86番志度寺までを歩く。
雨が激しく降らないことを願いたい。

◼️2023年5月29日 香川県高松市
◼️31329歩 20.36㎞
◼️曇り時々雨
◼️ホテル東宝イン高松

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※雨の80番国分寺本堂

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※同、大師堂。納経所と土産物が同居している

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※特徴的な讃岐の山と溜め池を背景に遍路道を歩く

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※遍路道の道標

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※83番一宮寺に向けて遍路道を行く

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※83番一宮寺西門

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※同、本堂

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※同、大師堂

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※今日の昼めしもうどん(こがね製麺所)

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※遍路道を高松市内に向かうと、派手なカフェがあった

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※栗林公園を左手に高松市内に向かった

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四国歩きお遍路(37) 77番道隆寺~82番根来寺

76番金倉寺近くのゲストハウスを6時に出発。
宿泊客は宿の規定により室内では食事ができないので、玄関脇に置かれた小さなテーブルがある狭いスペースで食べることになっている。

前日に買っておいたパンを食べようと思って部屋を出ると、女性二人がお化粧の真っ最中。
とても食事どころではなく、仕方がないので、チェックアウトをしてから近くのコンビニで食べた。

しばらく県道25号線を歩き、脇道から77番道隆寺に向かうが、化膿している右足の小指のマメが相変わらず痛い。
一歩踏み出すたびに、しびれるような痛みが脳天まで響く。
四日連続となったロキソニンを飲んでかわしているが、一向に治る気配がない。

誰もいない静かな道隆寺の境内で、読経をした。
自分の声が響き、心地よかった。
般若心経は心を込めて読むほど、じわじわと気持ちが落ち着いてくる不思議な力がある。
トチらないように読むことが精一杯のお遍路を始めた頃は、そんなことは全く感じなかった。
まだ暗記できないが、もう154回も読んでいる。

丸亀城を右手に見ながら78番郷照寺に向かう。
すると、うどん店「讃州製麺」を発見。
まだ10時前だが、ついふらふらと暖簾を潜ってしまった。
恐るべきことに、広い店内はほぼ満席。
まだ朝なのに。
これは思いっきり、不思議な光景である。
香川県民の「朝からうどん」は、本当であった。
ぶっかけうどんにゲソ天トッピングを食べて店を出た。
これで、こらから始まる山越えルートにチャレンジできそうだ。

78番郷照寺を打ち、坂出駅前のシャッター商店街を通過し、79番天皇寺に着いた。
天皇寺は境内に白峰宮という神社が同居しているちょっと変わった配置。

暑い日差しが照りつけ、汗だくになりながら読経を上げた。
それを見ていたのか、ご夫婦の参拝客が「歩きですか、これ、飲んでください」と、栄養ドリンク2本をザックの横に置いていった。
参拝客からのお接待は初めてだが、ありがたく頂戴した。

納経所でこの先のルートについて訊くと、まだ時間が早い(この時点で12時)ので、81番→82番→80番の順で打っても良いのでは、というアドバイスを貰い、10㎞先の81番白峯寺に向かうことにした。

しかし、これがかなりの勾配で、暑さと足の痛み、さらに延々と続く急な石段にヘロヘロになって到着。
標高300メートルと言えども侮れないアプローチだった。

更に、標高400メートルの82番根来寺へは5㎞の遍路道を歩くが、これもアップダウンがあり、なかなか手強い。

途中に十九丁の休憩場所があり、そこにはお接待として飲み物や菓子が置かれていた。
缶コーヒーをありがたく頂戴し、喉を潤すことができた。

15時45分に82番根来寺を打ち、十九丁まで往路を戻り、80番国分寺に向かうが、まだ7㎞もあり、17時の納経終了までには間に合いそうもない。

雨も落ちてきたので、尾根に付いた遍路道をのんびりと下ることにした。

「イノシン出没中」の看板を見て、急な下り坂に膝をガクガクにしながら、80番国分寺の脇を抜ける。

18時過ぎにJR国分駅に到着し、予約した高松駅近くのホテルに向かうため、電車の人となった。

足の痛みと暑さに翻弄された、長く苦しい40㎞を歩いた一日がようやく終わった。

◼️2023年5月28日 香川県善通寺市~高松市
◼️60645歩 39.41㎞
◼️晴時々曇り
◼️ホテル東宝イン高松

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※遍路道に佇むお地蔵様

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※77番道隆寺山門

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※同、仁王像

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※同、本堂

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※同、大師堂

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※ぶっかけうどんを食す。(讃州製麺所)

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※丸亀城を右手に見ながら歩く

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※土器川を渡った

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※78番郷照寺に向かう遍路道

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※同上

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※78番郷照寺山門

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※78番郷照寺本堂

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※同、大師堂の天井装飾

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※遍路道を79番天皇寺に向かう

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※同上

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※同上。分かりやすい道標があった

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※坂出駅前のシャッターが降りた商店街

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※天皇寺に向かう遍路道

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※79番天皇寺境内。本堂と大師堂

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※参拝客からのお接待

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※天皇寺から綾川に沿って遍路道を歩く

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※同上

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※81番白峯寺に向かう遍路道

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※標高が上がるに連れ、眺めが良くなってきた

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※草に埋もれた丁石

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※81番白峯寺の最後の石段の登り

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※81番白峯寺山門

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※81番白峯寺中山門

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※同、本堂と大師堂

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※同、大師堂

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※82番根来寺に向かう遍路道にある、あかい(井戸)と丁石

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※同上、石造り卒塔婆(香川県指定建造物)

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※同上、遍路道

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※十九丁のお接待所

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※缶コーヒーをいただいた

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※五色台の無料遍路小屋

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※82番根来寺山門

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※同、仁王像

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※同、本堂

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※同、大師堂

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※遍路道を80番国分寺に下る

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※同上

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※展望が良く、国分の町が見えた

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※溜め池の脇を歩き、国分駅に向かった

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※40㎞を歩き、国分駅にゴールした

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