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3月の読書

ようやく忌明けとなった3月。
後半には青春18キップを使った九州への一週間の旅をした。

長旅なので、できるだけ長い文庫本を持っていたのは良いが、結局はほとんどページを開くことなく、ぼんやりと移り変わる車窓の風景を眺めていた。

ともあれ、3月は13冊の読書。
遅読の私としては、まあまあなスコアかな。

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3月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:3635
ナイス数:759

モダンガール大図鑑 ---大正・昭和のおしゃれ女子 (らんぷの本)モダンガール大図鑑 ---大正・昭和のおしゃれ女子 (らんぷの本)感想
モダンガール(モガ)のことを詳しく知りたくて手に取った。
平山亜佐子著『明治大正昭和不良少女伝』ではモガ=不良少女として取り上げていたが、これは当時のマスコミに面白おかしく煽られていたことのイメージが大きかったようだ。
実際のモガとは、経済的にも自立した女性たちによる、自分を変身させるおしゃれをすることで自由と解放を求める社会への抵抗活動であり、大正末期から戦前までのほんの短い時代、そのブームは華やかな一瞬の輝きであった。
短髪、洋装、細い眉の化粧であでやかに銀座や心斎橋に繰り出す。雑誌やポストカード、マッチ箱のデザインにまでモガが溢れた当時は良い時代だったのだろう。
田舎に住むモガに憧れる女性たちはどんな思いでブームを見ていたのだろうか。そのあたりも気になるところ。
本書で紹介された東郷青児や小林かいちが描いた女性像は斬新で妖艶。その曲線の美しさは今見ても色褪せない。
読了日:03月31日 著者:生田 誠

お好み焼きの物語 執念の調査が解き明かす新戦前史お好み焼きの物語 執念の調査が解き明かす新戦前史感想
文字焼から始まるお好み焼き誕生のウンチクは深い。
どんどん焼きの名称やもんじゃ焼きとの違い、東京の下町から始まるルーツなど面白く読んだ。
しかし、ソース焼そばや中華そばなどの外野の話が長く、必ずしもお好み焼きに特化した内容になっていないのも気になった。
昨今のご当地グルメブームを反映して大阪、神戸、広島などのお好み焼きの特徴をもっと紹介して欲しかったところだ。
少年時代に通った駄菓子屋のお好み焼きは、少ないお小遣いでも食べることができた。
水に溶いたうどん粉を鉄板に丸く引いて、その上に乗せた鰹節が躍る。懐かしい。
読了日:03月20日 著者:近代食文化研究会

老いる意味-うつ、勇気、夢 (中公新書ラクレ 718)老いる意味-うつ、勇気、夢 (中公新書ラクレ 718)感想
90歳で亡くなる2年前の出版。ストイックで真面目過ぎる性格が老人性うつを発症するきっかけになったのだろうか。
克服するまでの闘いぶりはすさまじい。それだけに、人が老いていくことの意味と、長い老後に向かっての生き方への思いには説得力がある。
シニア世代になってこその「自由な読書」を楽しむ項は、まさに直球ど真ん中。
好きな本を好きなだけ読める時間こそ、今の私の心のよりどころである。
巻末のネバーギブアップ!は読者に向けた最期のメッセージと受け止めた。
ループタイを否定しながらも、帯の近影にはしっかり写っていたのはお笑。
読了日:03月18日 著者:森村 誠一

オリーヴ・キタリッジ、ふたたびオリーヴ・キタリッジ、ふたたび感想
老いることの意味と向き合った老人小説の傑作だと思う。
長生きすれば老いは避けて通れないが、老いるとは何なのか。
怖さと寂しさ、もどかしさ、そして諦め。前作に続いてオリーヴがさらけ出してくれたように思う。
自分がどんな人間だったのか、手がかりさえもない。正直なところ、何ひとつわからない…認知症とは無縁でなまじ頭がしっかりしているだけに、オリーヴの言葉が深く突き刺さる。
徐々に体が弱っていくなかで、精いっぱい生きたのか、自分の一生はこれで良かったのか。
嫌味毒舌ばあさんのパワーが失われていくにつれ、寂しさが募った。
読了日:03月16日 著者:エリザベス・ストラウト

特殊清掃人特殊清掃人感想
取材に基づいたのだろうか、特殊清掃の描写はしつこいくらいリアルだが、それ以上に遺産整理の過程と欲に絡む人々の思惑を面白く読むことができた。
しかし、単純に思うのは、清掃業者がそこまでやるかという疑問。故人のスマホやパソコンのデータ解析、探偵顔負けの捜査、解錠の試みもせずに金庫の破壊、更には遺産分割協議の立ち合い等々。
小説だからといってしまえば元も子もないが、これはかなり不自然なお節介。
ともあれ世相を反映してか、一歩間違えば事件性をも連鎖する孤立死はもはや特異な現象ではない。
嫌な世の中になったものだと思う。
読了日:03月12日 著者:中山 七里

メガバンク銀行員ぐだぐだ日記――このたびの件、深くお詫び申しあげます (日記シリーズ)メガバンク銀行員ぐだぐだ日記――このたびの件、深くお詫び申しあげます (日記シリーズ)感想
このシリーズの良さはエリートや高給取りが主役でないところ。
冷遇にあえぎながら体を張って一生懸命に生きる人々の姿に共感を覚えていた。
しかし、世間では成功者ともいえる銀行員の奮闘ぶり。労働環境もさることながら、職場の雰囲気の悪さと理不尽な要求に翻弄される社員たちが可哀そうに思えてくる。
昇格や報酬を決める人事評価や社内監査、コンプラ、危機管理の検査などは大企業としては当たり前で別段珍しくもないが、その裏側にはどこか陰湿な背景を感じて良い気持ちはしない。
そこで生きる以上、著者はぐだぐだ言わずに頑張るしかないだろう。
読了日:03月12日 著者:目黒冬弥

ハロルド・フライを待ちながら クウィーニー・ヘネシーの愛の歌ハロルド・フライを待ちながら クウィーニー・ヘネシーの愛の歌感想
清々しい読後感を味わえた。
前作「ハロルド・フライの~巡礼の旅」の姉妹編。コインの裏表のごとく、完成された物語はどちらから先に読んでも飽きさせない。
ハロルドへの思いが強すぎるので、クウィーニーの偏った怖さも感じたが、プラトニックな愛となれば話は別。
ハロルド・フライがなぜ歩き続けるのか?歩く必要がどこにあるのか?前作ではそればかりを考えていたが、この長い物語を完成に導くためには、もつれた糸をほぐす長い時間が必要だったのかもしれない。
互いに引き寄せられる磁石のように、二人の長い旅が見事に弧を描き、クロスした。
読了日:03月11日 著者:レイチェル・ジョイス

バスドライバーのろのろ日記――本日で12連勤、深夜0時まで時間厳守で運転します (日記シリーズ)バスドライバーのろのろ日記――本日で12連勤、深夜0時まで時間厳守で運転します (日記シリーズ)感想
路線バスの運転手は自分には絶対にできない仕事。
乗客の安全を担保するのは当たり前としても、決められたルールを守り四方八方への気遣いなど簡単にはできないし、相当な覚悟と使命感が要ることは察しがつく。
なぜ高校教師を辞めて決して高くもない報酬のバスドライバーを選んだのか。
好きな仕事だからこそと思うが、病気によりリタイヤすることになった口惜しさも伝わってきただけに、著者にとっては天職だったのだろう。
数多ある職業の中でこれ以上ない幸せは天職と巡り合えること。
面倒な人間関係や困った乗客たちなど小さなことのように思えた。
読了日:03月07日 著者:須畑 寅夫

死者宅の清掃 韓国の特殊清掃員がみた孤独死の記録死者宅の清掃 韓国の特殊清掃員がみた孤独死の記録感想
国が変われど特殊清掃の現場は同様なので、グロく悲惨な場面の描写をある程度覚悟して読んだ。
しかし内容はそちら方面に傾くこともなく、著者の人柄なのか、人を思いやる優しさと仕事への使命感、そして詩情をも感じる一冊だった。
貧富の格差と学歴重視の異常な競争社会、そこからこぼれてしまい死を選ばざるを得なかった若者たちの亡き部屋。
著者は他人の死を自分の死に重ね合わせてひたすら後始末をしていく。
死に接した仕事が死生観を変えるのだろうか。
池波正太郎の「人は死ぬために生まれてきた」という言葉を反芻した。蓮池薫の訳も良かった。
読了日:03月07日 著者:キム・ワン

昆虫絶滅昆虫絶滅感想
想像以上にショッキングな内容だった。
ミツバチが減ったことで養蜂家が苦難していることは知っていたが、それは氷山の一角。
地球上からあらゆる種の昆虫が激減しており、その原因と実態を分析し、このままではマズイと警鐘を鳴らす。
農薬の害により生態系が破壊された日本の宍道湖の現状にも触れているが、昆虫の減少は植物の受粉や彼らを餌とする動物の食物連鎖だけでなく、人類の存続という未来にも影響することの深刻さを訴えている。
「昆虫の危機は、私たちの利己的な視点から見ても、人類の緊急事態なのだ」最後の一文がぐさりと刺さった。
読了日:03月06日 著者:オリヴァー・ミルマン

コルチャク ゲットー日記コルチャク ゲットー日記感想
近藤二郎著『コルチャック先生』でもゲットー日記を取り上げているが、食料が窮乏し病気が蔓延する劣悪な環境下でのホロコーストの悲惨な記述部分を中心に切り取っており、編集は断片的。
その意味ではコルチャクの思想や人間像には迫れておらず不十分。
しかし完訳版といえる本書の全文を読んだことで、文学者コルチャクの非凡な才能と思想を形成する実像が見えてきた。
欲望や夢、挫折や後悔といった日々悩む生身の人間としてのコルチャク像を知り、最期まで子供たちを守った人という、神話化された聖人君子のイメージを払拭することができた。
読了日:03月06日 著者:

オリーヴ・キタリッジの生活オリーヴ・キタリッジの生活感想
架空の町クロズビーの住人たちが織りなす人間模様のなかで、主人公オリーヴが主役となったり脇役となったり、通りすがりの人物として描かれていく。
ルーシー・バートンのシリーズ『何があってもおかしくない』を先に読んでいたので、これは著者お得意のテクニックか。
それにしてもオリーヴのどこか不安定で危険なしたたかさが怖い。
ルーシーにも感じるが、卓越した文章力は言わずもがなで、こうした屈折したアクの強さをもった女性の内面や心の揺れを表現する力が光る。
亭主死して老いてなお意気揚々の、オリーヴ・キタリッジの次作が楽しみだ。
読了日:03月04日 著者:エリザベス ストラウト

踏切の幽霊踏切の幽霊感想
幽霊の正体見たり枯れ尾花…有名な句にあるとおり、怪談話は胡散臭い上にオチがつきものなので、さほど期待もせずに読み始めたが、いやはやどうして、一級のミステリであり、哀しい幽霊譚だった。
冒頭の鉄道描写は緻密なリアリティを得意とする著者だけに迫真のでき。
やや空回りしているようにも映る記者松田の動きも世相を反映してか、そこはかとない野暮ったさとレトロ感が漂う。
なんで1994年なのか。デジタル技術で何でも作り出せる現代ではなく、小細工できない8ミリや銀塩フィルムにこだわったことで、この幽霊譚を成功に導いたと思う。
読了日:03月01日 著者:高野 和明


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[ 2024/04/04 ] ▼読書 | TB(0) | CM(0)