この旅一番の寒い朝を迎えた。
山鹿温泉街を抜け菊地川に出ると、川面には靄が立ち込め、幻想的な風景を醸していた。
通勤ラッシュが始まった国道3号線を肩をすくめながら歩く。
吐く息は昨日に輪をかけて真っ白だ。
体がまったく温まらない。
霜で覆われた田んぼからは水蒸気が靄となって立ち上っており、遠くの山の稜線も霞んで見えた。
歩行距離が10キロを超え、九州自動車道の植木インターを過ぎたところでようやくパーカーを脱ぐ。
ちょうど屋根付きのバス停があったので休みたかったが、マスク姿の先客がいたので諦め、目と鼻の先にある日陰のベンチに座り、行動食のせんべいをバリバリとやった。
くまモンの等身大人形が置かれた『道の駅すいかの里』を過ぎると、“田原坂焼きそば街道”と書かれた幟が目につくようになった。
これで昼めしは決まりだなと、期待しながら店を探すが、焼きそばの店は一向に出てこないばかりか、結局一軒もないまま熊本市街地が近づく結果となった。
昼ごはんは福岡県で逃した『WEST』さんへ。
ゴボ天うどんを食べるが、私としての軍配は『資さんうどん』に上げたい。
大窪の交差点で国道3号線を離れ、熊本城を経由して熊本駅方面に向かう県道303号線に入った。
熊本城には少なからず因縁があり、これまで何度も熊本を訪ねながら一度も登城できないまま、地震で被災してしまった。
今回も登城はできなかったが、間近に見ることができただけでもラッキーだった。
熊本城からは残りの2キロを歩き、午後3時にJR熊本駅に到着。
8日間で250キロを歩いた今回の旅はここで一旦ゴールとし、帰宅することにした。
用事を済ませてから、再び佐多岬を目指す旅に出る。
それまでのお預けである。
それと、今日の出来事として付け加えておきたいことがある。
熊本駅に到着した後、熊本市郊外にあるMさんのご自宅に伺うことにした。
私が勤めていた会社の先輩であるMさんは、つい10日程前に一年半の闘病の末、帰らぬ人になった。
6月に長野県を歩いているとき電話があり、私が日本縦断の歩き旅をしているということを知り、九州に入ったらぜひ立ち寄って欲しいと言われていたのだ。
こんな形でお別れをするのは残念だが、お線香を上げることができ、奥様から闘病のお話を伺うことができて良かったと思う。
生前はハーフマラソンにも出るほどの健脚で、自転車で日本を一周したいと夢を持っていたそうだ。
夢は違えど私がバトンを引き継ぎ、徒歩縦断を完遂することを約束したいと思う。
■2020年11月4日 熊本県山鹿市~熊本市
■42236歩 27.46キロ
■ネストホテル博多駅前
■晴れ

※山鹿温泉を離れ、菊地川を渡った。

※菊地川の川面には靄が立ち込めていた。

※鹿児島まで228キロの標識が出てきた。

※田んぼから靄が立ち上っていた。

※熊本平野の広大な風景を見ながら歩いた。

※同上。

※国道3号線をずんずん歩く。


※『道の駅すいかの里』にいた、くまモン。

※本日の昼ごはん。『WEST』のゴボ天うどんと鶏天定食。

※旧豊前街道の遺構があった。

※熊本城を間近に見た。

※JR熊本駅にゴールした。

※夕食は博多駅で焼きラーメンを食べた(sinsin 820円)。

※テイクアウトは博多名物の鶏皮(博多鶏皮大臣)。
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