今日の行程は、薩摩街道の難所といわれる三太郎峠(赤松太郎峠・佐敷太郎峠・津奈木太郎峠)の内、赤松峠と佐敷峠を越えるこの旅一番のハードな一日となった。
国道3号線を通るそれぞれの峠には長いトンネルがあり、いずれも歩道がないというトホダー泣かせの難所である。
中でも佐敷トンネルは全長1570メートル。
交通量も多くあまりにも危険なため、過去の列島縦断者はここを回避して、海岸線を迂回するルートを選んだ人も多くいるほどだ。
佐多岬を目指す旅は、まだ始まったばかりである。
状況によっては無理することもないので、トンネル回避のルートも考慮することにし、夜が明けたばかりの6時半にホテルを出た。
八代港に注ぎ込む前川と球磨川の鉄橋を渡り、自転車の高校生たちとすれ違いながら国道3号線に合流。
ここから日奈久温泉までの6キロは一本道なので、冷えた体を温めるにはちょうど良い。
昨日からジャージの上にダウンジャケットを着ているが、朝と昼の温度差が大きいので、気温が上がるにつれ一枚づつ脱いでいくことになる。
最高気温が23度前後になる昼頃の出で立ちは、薄手のシャツ一枚となる予定である。
日奈久温泉街を通るこのルートは10年前にも訪ねている。
目的はホーロー看板の撮影であるが、その時に撮影した看板たちがまだ残っていることに嬉しく思いながら歩いた。
国道3号線は日奈久を抜け、肥薩おれんじ鉄道肥後二見駅から緩い坂道となった。
これから最初の難関、赤松太郎峠(138メートル)を越えることになるが、その前に腹ごしらえをしようと思って、ドンピシャのタイミングで見つけたのが日奈久名物のちくわ屋さん。
焼きたてのちくわ(1本80円)をパクつくことができた。
全長680メートルの赤松トンネルには歩道がなく、マスク、蛍光たすき、ヘッドライト、ザックには点滅ライト、右手に赤色灯というフル装備で突入した。
追い越されたクルマは15台。
内、大型トラックは2台だった。
交通量が少なくラッキーだったが、おそらく並走している無料区間の、南九州自動車道に多くが流れていると思われる。
推測では、この先の佐敷トンネルも交通量が少ないかもしれない。
うまくいけば、突入できるかも。
赤松太郎峠を越え、下り切ったところにある道の駅田浦で休憩。
畳敷きの休憩室でゴロンと横になって、地図を見ながら次の佐敷太郎峠攻略の案を練る。
ここからトンネルを回避して海岸線に迂回する県道56号線を行くルートは、芦北まで10キロ。
同じく、広域農道を行くルートは9キロ。
佐敷トンネルに突入すれば6キロで芦北市街地に行くことができる。
さて、どうする?
…しばらく悩んでも結論は出ず、トンネルの入口まで行って決めることにした。
佐敷トンネルの入口に立つと、歩道もなく出口が見えない陰険な穴が大きく口を開けていた。
交通量は多くないようだ。
試しに、トンネルに入ってくるクルマの数を1分間で計ってみると、4台だった。
トラックは少ないようだが、とんでもなくデカイのも走ってくる。
1670メートルを20分で抜けるとして、積算すると80台とすれ違うことになる。
ざっと計算してみたが、もうどうでも良かった。
体は条件反射のごとくトンネルに向かって突入していた。
トンネルはいつ終わるともしれない長さが待っていた。
出口の明かりが見えない中で、クルマがすぐ脇を轟音を上げて疾走していく。
やっかいなのは、無灯火でくる輩もいる。
右手に持った赤色灯をぐるぐると回しながら存在をアピールし、必死に歩いた。
マスクを通しても息苦しくて仕方がなかった。
トンネルと格闘すること20分。
ようやく出口が見えてきた。
出口は工事のため片側交互通行となっており、誘導員に導かれてトンネルを抜けることができた。
振り返ってみると、実にしょっぱかったが、交通量が少ないことがラッキーだったと思う。
ともあれ、最大の難関を突破することができ、胸を撫で下ろすことができた。
佐敷トンネルからは、相変わらず歩道がない緩い坂道を下り、佐敷駅に出た。
予約したホテルのチェックインまで時間があり、ラーメン店で遅い昼食をとってからホテルに向かった。
明日は水俣までの歩きとなるが、三太郎峠の最後を飾る津奈木太郎峠が待っている。
標高は278メートル。
気を抜かずに歩くのみだ。
■2020年11月11日 熊本県八代市~芦北市
■45373歩 29.49キロ
■ホテルAZ芦北
■晴れ

※八代市内から前川を渡る手前にあった、カッパの巨大なモニュメント。

※前川の専用歩道橋を渡る。

※球磨川鉄橋を渡った。

※球磨川から望む八代港。

※日奈久の国道3号線沿いで再訪したホーロー看板屋敷。

※日奈久温泉街を歩く。

※日奈久温泉駅にいたくまモン。

※二見浦からは八代海が広がった。

※のどかな田園風景を見ながら赤松太郎峠に向かった。

※日奈久名物のちくわを買った。

※焼きたてのちくわは旨かった。

※薩摩街道の道標があった。

※草に埋もれたキンチョールのホーロー看板。

※門司から250キロ歩いた証。

※赤松トンネルに突入した。

※赤松太郎峠を下り、田浦港に出た。

※薩摩街道の道標。薩摩⇔江戸とはすごい。

※佐敷太郎峠の登りが始まった。

※ケーブルがある甘夏の畑を発見。

※佐敷トンネルに突入する。

※トンネル内部で。

※トンネル内には歩道がなく、いつ終わるともしれないくらい長かった。

※ようやく佐敷トンネルを抜けた。

※佐敷太郎峠を振り返る。

※佐敷港。

※肥薩おれんじ鉄道佐敷駅。

※佐敷の町で遅い昼食。もっこす亭ラーメン 650円
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つちのこさん
佐多岬到達、おめでとうございます!
毎日30km超えのウォーキングに敬服いたします。
しばらく休養されて、また北の大地の旅をお楽しみください。
応援しています!
コメントありがとうございます!
30キロの歩きは慣れてくると、ふつうに歩けるようになりました。
始める前はぜったいに無理だと思っていましたが。
来年、続きを頑張りたいと思います!
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