“ないないづくし”の宿を7時に出発。
玄関を出てすぐ、今日の行程をコピーした地図を部屋に忘れたことに気づき、戻ろうとするも、玄関ドアがロックされて開かない。
事前に貰っていた玄関解錠コードを打ち込んでも開かず、地図は泣く泣く諦めることに。
スタッフは9時からしか出社せず、それまでは無人という恐るべきシステム。
連絡してやり取りする時間も面倒なので、そのままホテルを後にした。
阿久根市街地を過ぎ、オーシャン&サンセットロードと呼ばれる海岸通に出ると、真っ青な海が広がった。
空は5日連続の快晴、これ以上ない“青の世界”にどっぷりと浸かっている。
おれんじ鉄道の牛ノ浜駅前から道の駅阿久根までの海岸線は、夕日の景観も素晴らしいという。
道の駅を過ぎると歩道が無くなり、ザックに点滅ライトをセットして、白線の上を辿るように歩く。
途中、反対車線でミカンを並べている売店のおじいちゃんから、
「おはよう!がんばってるねー」と、声をかけられた。
嬉しくなって、手を振って挨拶を返した。
今日は土曜とあって、バイクツーリングも多い。
すれ違い様に合図を送ってくれるライダーもいて、ここが縦断の定番ルートだということを改めて認識した。
九州に入ってからは、一人のチャリダーにすれ違った以外、歩き旅の人にはまったく出会っていない。
もっとも、これまでの89日間で出会ったのは二人しかいないので、新型コロナの影響を差し引いても、いかに長距離歩き旅が稀少なのか分かる。
ふと思ったが、9月に函館で出会った神奈川県の青年は、今頃どのあたりを歩いているだろうか。
すでに佐多岬に到達したかもしれないな…などと思いながら歩いた。
国道3号線は西方集落を過ぎると海岸線を離れ、内陸に入った。
短いトンネルを二つ越えるが、交通量が多い上、歩道も中途半端な段差しかないので慎重に突破した。
すでに正午を回っているが、飲食店は見当たらず、ようやく出てきたコンビニでおにぎりにありつくことができた。
九州に入ってからは、もっぱら高菜漬のおにぎりばかり食べている。
信州では野沢菜漬のおにぎりやおやきが定番だったので、まさに“ところ変われば”を地でいっている。
改めて日本は広く、食文化一つをとっても地方色の変化を感じる。
無店舗販売をみても、北海道ではジャガイモや野菜であったし、青森ではりんご、秋田ではトマト、そして鹿児島ではミカンである。
こうした変化を見ているだけでも旅の楽しみがあり、醍醐味を感じている。
民俗学者の宮本常一は「旅に出たら、物干し竿の洗濯物を見よ」と、父親から教えられたことを著作に書いている。
着物は地方色が出るという例えである。
食べ物ばかりでなく、家屋の屋根や壁、石垣、はたまた神社やドラッグストアチェーンの分布でさえ、地方色と勢力図が見えてくる。
南北に長い日本列島を歩き目線で見て、変化を観察することは、多少なりとも見識を拡げてくれるようだ。
さて、快晴に恵まれた今日は、夏が舞い戻ったかのような暑さとなった。
子供たちは半袖のTシャツで遊んでいたし、私にしても、薄手のシャツでさえしっかりと汗を滲ませた。
薩摩川内駅前にあるホテルに入ったときは、汗まみれであった。
さすがに南国、鹿児島である。
明日以降も好天が続くことを祈りたい。
■2020年11月14日 鹿児島県阿久根市~薩摩川内市
■43754歩 28.44キロ
■東横イン薩摩川内駅前
■晴れ

※阿久根駅前を歩く。多くの店にはシャッターアートがあった。

※さすがに南国、コスモスがまだ咲いていた。

※国道3号線は入り江の海岸沿いを行く。

※夕日が素晴らしいという牛ノ浜駅。

※青い海と空の海岸通を歩く。

※素晴らしい景色に感動。

※南国の景観を見ながら歩く、贅沢な旅。

※海岸、国道、おれんじ鉄道…三拍子揃った風景。

※津波避難の案内板があった。

※国道3号線。短いトンネルが二ヶ所出てきた。

※国道3号線は海岸を離れ、内陸に入った。

※門司から333㎞。ゾロ目である。

※薩摩川内市内に入った。

※同上。

※薩摩川内市は綱引きが有名。しかし、今年のイベントはコロナで中止となった。
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元気に歩かれていますね。
国道3号線の海岸沿いの写真を懐かしく拝見しました。
私は8年前に二度目の日本縦断歩き旅で指宿から歩き始めこの道を北上しました。
久しぶりに当時のアルバムを見ていると、薩摩川内駅より少し南の路傍に縄で作った八岐大蛇があったことを思い出しました。
長さ10mほど、なかなかの力作です。まだ残っているかどうか分かりませんし、もう朽ちているかもしれませんが、もしあれば写真を掲載して頂けないでしょうか。
勝手なお願いですみません。
佐多岬までもう少しです。
応援しています。
コメントありがとうございます❗
縄の大蛇ですが、川内駅前から国道3号線に出て、そのまま脇道に入ることなく国道を歩きましたが、見当たりませんでした。
念のため、ネットで調べましたがヒットしません。
私もぜひ見たかったので残念です。
今日は伊集院まで来ましたが、見るべきものもなく退屈な歩きとなりました。
今日は伊集院まで歩かれたのですね。
縄で作られた八岐大蛇をストリュートビューで調べてみましたが見つかりませんでした。
あらためて8年前の写真を見ると既に縄が傷んでおり、更に劣化が進み撤去されたと思われます。
余計な情報を伝えて期待を裏切ることになり申し訳ありません。
この大蛇は地元の方が制作されたと思いますが、車では見逃す造形物や出来事が歩き旅では発見できるのでこれが歩き旅の醍醐味の一つだと思っています。
そうですね。
歩き目線だからこそ発見できることも多いですね。
私もそれが好きで歩いているのかもしれません。
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