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四国歩きお遍路(28) 45番岩屋寺~久万高原町明神

昨夜は宿での豪華な夕食に舌鼓を打ったまではよかったが、酒に酔ったオヤジに絡まれて、どっと疲れてしまった。
それがあってか熟睡できず、浅い眠りのまま朝を迎えた。

宿での楽しみは、同宿のお遍路さんたちとの交流にもあるが、皆がみな紳士とは限らない。
そこには得てして、鬱陶しい人も混ざってくる。
昨夜のオヤジはまさにそれ。

歩き遍路を10数回やっていることを自慢し、宿の批判や寺の対応に対して鬱憤をかます。
更に、私に対しては、歩くのが速いと決めつけ「スーパーお遍路さん」と呼ぶ。
これがなんだかバカにした言い方なのだ。
それを何度も繰り返すデリカシーの無さだ。

結願後の金剛杖の奉納について質問すると、「2000円も出すくらいなら、持って帰ったほうがいい」「へし折って、ゴミとして捨てればいい」
と言いながらもこのオヤジ、遍路のたびに購入しているので、自宅には5~6本あるという。

お遍路をして、人は変わるのだろうか。
何かを得たいがために、歩くのか。
人それぞれに答えがある。

遍路小屋で見た貼り紙が、ずっと目に焼き付いている。
それにはこうあった。
「早く歩くか、ゆっくり歩くか、なん日で廻るか、なん回廻るか、そんなことよりしっかり歩け、そして何かを残せ」

遍路は自分との闘いだと、つくづく思う。

前置きが長くなったが、雨が小降りになるのを待って7時15分に出発。
45番岩屋寺へは県道12号線をしばらく歩き、遍路道に入った。

遍路道は県道に沿って国民宿舎に出、再び県道に合流するルートと、尾根づたいに登り、八丁坂から直接本堂に出るルートがある。
せっかくなので、宿のご主人から勧められた本堂に出るルートをとることにした。
しかし、これがなかなかの曲者だった。

登り始めてからしばらくして、雨が強くなり、あわてて雨具上下を着て、傘を出した。
遍路道はぬかるんで、水溜まりができている。
シューズの中はあっという間に、水浸しになってしまった。
雨は止む気配はなく、ようやく本堂に出たときは、それこそラッキョウのような降りとなった。

しかしこのルートには、岩壁に置かれたたくさんの石仏や巨大な不動明王像もあって見所も多く、雨には辟易したが、得した気分になった。

誰もいない本堂と大師堂で、雨音に消されないように少し声を上げてお経を読んだ。
納経所を出ると、下の石段からお遍路さんが数人上がってきたが、岩屋寺の正面はこちらなので、やはりルートは県道からが一般的なのかと思った。

帰路は県道12号線にとった。
ほんの1時間で出発した宿に戻った。
遍路道は倍の時間がかかったが、それはそれで良い経験をさせてもらった。

久万高原町までは約3.5㎞なので、昨日ルートを見失った遍路道を拾いながら歩く。
歩道がない“鬼門のトンネル”は、例の如く赤色点滅ライトと蛍光たすき、更にヘッドランプの完全装備で突入。

昨日と変え、右側を歩くが、5台に1台は無灯火で走ってくる輩がいる。
こういうのが一番厄介だ。
ヘッドランプをぐるぐる振り回して、気づかせた。

正午前に久万高原町のコンビニに到着。
上がったと思った雨がまた降りだした。
今夜、朝、昼の三食分の食糧を調達し、傘を差して4.5㎞先の予約している宿に向かう。

国道33号線を延々と登る。
いい加減うんざりした頃、15時ちょうどに今夜の宿「お遍路宿桃李庵」に到着した。

外見は見るからにワイルド、四畳半の部屋。
泊まり客は私一人のようだ。
ご主人が風呂を沸かして待っていてくれたことがありがたい。
テレビがないのは残念だが、歩き遍路を始めて何度か野宿をしていたことを思うと、屋根があるだけ天国である。

今夜は鬱陶しい同宿者もいないので、ぐっすり眠れそうだ。

◼️2023年5月19日 45番岩屋寺~久万高原町明神
◼️35620歩 23.15㎞
◼️雨のち曇り
◼️遍路の宿 桃李庵

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※小雨が降るなか、「いやしの宿八丁坂」を出発

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※県道12号線から遍路道に入った

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※雨に打たれながら遍路道を登る

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※激しく降る雨のなか、八丁坂に着いた

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※岩屋寺本堂までは尾根づたいに歩く。誰にも会わなかった

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※岩壁に鎮座する石仏

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※巨大な不動明王の木像があった

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※せり割行場

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※山門を潜ると、大師堂と本堂の前に飛び出した

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※岩屋寺本堂

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※同、大師堂

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※納経を終え、山を下る

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※同上

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※同上

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※降り止まぬ雨のなか、県道12号線を下った

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※お遍路休憩所にあった貼り紙

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※打戻りの久万高原町までは、忠実に遍路道を歩く

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※同上

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※隠れ里のような集落も現れた

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※久万高原町から国道33号線を歩き、宿に向かった

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※かかしの里という集落を通った

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※あまりにリアルで驚く

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※今夜の宿「お遍路の宿 桃李庵」に到着

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>こんちは
まだ道半ばですがコメントを…
記事を読んでて情けなくなったのが10回も廻っていながら酒に酔って他人に絡むバカのお話でした、そもそも数回結願したなら少しは人間性が向上することがないのかねぇ…、その数回ってのも怪しいなと思います。
そしてそして、せっかくの檄文の半紙が半ばで破かれていたこと…、八十八か所廻ろうかってのに何て奴なんでしょうか、まぁ風邪で破れた可能性もゼロではないでしょうが。

本格的に暑くなる前とはいえ梅雨も近付いています、どうぞこの先ご無事でお廻りください。
なむだいしへんじょうこんごう。
[ 2023/05/20 09:47 ] [ 編集 ]

うぞうむぞうさんへ

コメントありがとうございます。
まったく同感です。
何のために歩くのか、人それぞれですが、
お遍路は自分を見直し、磨くためにあると思いたいです。

遍路道沿いにある遍路小屋で、ゴミが捨てられていたりするのを見ると、
同じ歩き遍路として、情けなくなります。
[ 2023/05/20 19:52 ] [ 編集 ]

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