一昨日、四国遍路から帰宅し、文字通りぐた~となっています。
老体にムチ打って歩いた区切り打ち3回目のお遍路、無事に結願を果たすことができました。
というわけで、5月は17日からのお遍路の旅出発もあって、読書はそれまでに読んだ5冊にとどまりました。
今月はしばらくのんびりと本を読んでみたいと思っていますので、本棚にある積読崩しをしていきたいですね。
5月の読書メーター読んだ本の数:5
読んだページ数:1735
ナイス数:286
男は遍路に立ち向かえ―歩き遍路四十二日間の挑戦の
感想わたくし事だが、今週から四国歩き遍路に出発する。今年3月から始めた区切り打ちの3回目で、今回は愛媛県の44番大宝寺からのスタートとなる。
2週間後の結願を目指す予定だが、この本を読んで最後まで読まなきゃよかったと後悔している。
前回中断した43番までのくだりで止めて、帰還してから最後までを読むべきだったと。
それほど、88番大窪寺で結願を果たす著者の描写が感動的なのだ。
果たして自分も、同じような感動を味わうことができるのだろうか。その瞬間はいかがなものか。
元新聞記者だけあって文章も簡潔で読みやすい。息子ほど年が離れた若者たちや、「お接待」の文化を絶やさない一期一会の四国の人々との交流は、遍路ならではの素晴らしさである。
本作は数ある歩き遍路のルポとしても秀逸なでき栄えだと思う。
帰還したら自分が体験したことを反芻しながら、たくさんのお遍路本を手に取ってみたくなった。
読了日:05月15日 著者:
森 哲志
ザ・ナイン ナチスと闘った9人の女たちの
感想戦争犯罪を隠ぺいするナチスが取ったやぶれかぶれの策ともいえる死の行進と、そこからの逃亡劇を詳細に記録しているドキュメンタリー。
驚きなのは主人公の9人が、ナチスに対抗したヨーロッパ各国のレジスタンスの女性だということ。
ホロコーストについては、被収容者のユダヤ人側、加害者のナチス側からの手記や証言は数多あるが、この設定は貴重ではないだろうか。
解放後のパリでドイツ兵に加担したとして丸刈りにされた女性たちや、その子供たちの「ボッシュの子」についても触れており、これまで読んできた関係書が一本の線に繋がったと思う。
読了日:05月12日 著者:
グウェン・ストラウス
日本の同時代小説 (岩波新書)の
感想1960~2010年代までのそれぞれの時代背景をもとに、大海原に大量に散っている文学作品群を、系統分類化し整理した深い洞察力に驚く。
圧倒的な分量を読み込んだとも思えるが、一方で私小説を周回遅れのタワケ自慢、貧乏自慢と執拗にこき下ろすことに、ある種の悪意も感じた。
タワケとは、今は死語となった名古屋弁。この方言を使うことが、すでに周回遅れ、時代遅れである。
ともあれ、誰もが分かっていないノンフィクションと小説の違いや純文学とエンタメの違い、その中間の位置づけを、私見なれど分かりやすく解説した努力も買いたい。
索引に作家名のみ羅列されているが、できれば取り上げた作品名があれば、ブックガイドとしてもより利用価値が上がると思う。
ただし、本書に登場した作品の感想はあくまで著者の主観。それを頭から信じるのも読者次第か。
読了日:05月06日 著者:
斎藤 美奈子
限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地の
感想ややもすると、今自分が住んでいる郊外の分譲団地が将来限界ニュータウン化するのではないかという、一抹の不安をもって読んだ。
本書では千葉県東北部を中心に、地価狂乱のバブル期に投資目的により乱開発された限界分譲地の現状とこれからの展望についてルポしている。
おそらく全国にはこうした事例は溢れかえっており、少なからずベッドタウンといわれる郊外の大規模団地にもその片鱗がある。
住民の高齢化と児童数の減少はもとより、空き家の増加、交通インフラの低下はどこでも抱えている問題だ。
全国的な視点で捉えてもらうと更に良かった。
読了日:05月04日 著者:
吉川 祐介
雨滴は続くの
感想遺作となった長編を慈しむように読んだ。
デビュー以来ずっと読み続けてきたファンとして、〈未完〉の二文字が哀しい。
作品をもう読むことができない寂しさは、私にとって、池波正太郎の『鬼平犯科帳24誘拐』の〈著者死去により絶筆〉以来。
自身を投影した北町貫多の性格破綻ぶりは、齢40にしても炸裂。師と仰ぐ藤澤清造への一途な思いとのギャップは首尾一貫しブレていない。
これまでの既作の中に藤澤清造を織り込んできた意味が本作で痛いほど伝わったと思う。
芥川賞が見えてきた物語の続きが読みたかったが、それも叶わぬ。罪な作家である。
読了日:05月04日 著者:
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