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『道化師の蝶』と『共食い』を読む

芥川賞発表号の文芸春秋3月号を買った。
円城塔『道化師の蝶』と田中慎弥『共食い』の二つの受賞作が載ったおいしい一冊。
『道化師の蝶』は、「好きにしろよ!」「勝手にやっとくれ!」とでも言おうか(笑)。
自分が思いついたフレーズを延々と書き連ねていく文章に、ほとほと嫌気がさした。
円城塔の文体は難解である…と評している人もいるが、理解しようと思うことに無理があるような気がする。最後まで辛抱強く読んでみたが、(オレは馬鹿だから理解できないんだろう)と、増幅していく疲れに自虐的になるばかり。
しかし、冷静になって考えてみると、この作品は所詮、作者の独りよがりの押しつけであると思いたくなる。
選考委員の石原慎太郎いわく「こうしたできの悪いゲームにつき合わされる読者は気の毒というよりない」…は、まったく同感だ。
作者は「エンジニアをしている人間が今のメインストリームの小説を読んで楽しいかというと、たぶん楽しくないんですよ」とコメントしているが、本当にそうなのか?
最初から馬鹿はお呼びでないのか?
この作品をパーツごとに分解し勝手な解釈で分析し、注釈をつけている書評を見かけたが、「難解な文章、理解できるんだよ」とでも自慢したいのだろうか。無駄な努力に頭が下がる。
この作者、おそらくこの先も読むことはないだろうが、興味がある方は“文章の迷路”と付きあっていただきたい。

次に『共食い』。これは正直言って、“うまい”と唸る部分をそこかしこに感じた。
書き慣れているというか、句読点1つにも繊細さがにじみ出ている作品だと思う。
しかし、暗い。暗すぎる。
すぐに連想したのは、車谷長吉の1998年直木賞受賞作『赤目四十八瀧心中未遂』の、薄暗い土間から誰かに覗かれているような全編に漂う暗さと、冷や汗が出るようなグロテスクな日野日出志のホラー漫画。
『共食い』は昭和時代に舞い戻ってしまったような古臭さと、どぶ川の匂いがいつまでも鼻につくような気色悪さを感じた。
ただ、それでいてこの作者の作品を、次も読みたいと思うのは、やはり“怖いもの見たさ”からだろうか。

文藝春秋 2012年 03月号 [雑誌]文藝春秋 2012年 03月号 [雑誌]
(2012/02/10)
不明

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[ 2012/02/20 ] 読書 | TB(0) | CM(0)

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