山田洋次監督作品『武士の一分』を観てきた。
原作は藤沢周平の『隠し剣 秋風抄』に収録されている『盲目剣谺返し』である。藤沢ファンとしてはもちろん読んでいるが、このストーリーをまさか映像で見ることができるとは思ってもいなかった。
盲目になってからの木村拓哉の演技は、軽さが消えて緊迫感が漂ってくる迫真さ。チョンマゲは似合わないが、それでも堂々たる主役ぶりだった。
かたや、脇を固める妻役の檀れいがよかった。元宝塚の娘役トップスターということだが、いやぁ、キレイな女性です。いかにも武士の妻女といった、控えめで凛とした美しさがにじみ出ていた。この人の演技を観ただけでも足を運んだ甲斐があったというものだ。
そして、もう一人は『男はつらいよ』シリーズや、前作の『隠し剣 鬼の爪』にも出ている中間役の笹野高史。山田組の常連俳優なのだが、これまでのチョイ役とは違い、いぶし銀のような演技をたっぷりと見せてもらった。
僕の中での“いい映画”はいたって単純で、チケット代の1800円が「高いか、安いか」という基準だけ。今回のジャッジは、一緒に観た妻も口をそろえて、「安かった!」。最後は涙、涙の◎でした。

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