待ちに待った作品、R.Dウィングフィールド著『冬のフロスト』(上下巻 創元推理文庫)を読了。
前作『フロスト気質』の邦訳上梓が2008年なので、実に5年間も待たされたわけだ。
自分にとってイギリスの正統派ミステリはなじみが薄いが、この作品は別格で世界を代表する警察小説の金字塔だと勝手に思っている。
主人公のフロスト警部は風采が上がらない、行き当たりばったりのいい加減なオヤジ。
更にセクハラたっぷりの下品なトークの連発となれば、ユーモアを通り越して引いてしまう場面も多い。
しかし、知らないうちにこの人物の魅力にぐいぐい引き込まれてしまうのが不思議だ。
気づいたときには上下巻1000頁を一気に読まされてしまうのだ。
本国イギリスでは1984年の『クリスマスのフロスト』からシリーズが始まり、現在2008年に発表された『A Killing Frost』までが出ている。
シリーズは『A Killing Frost』で完結となる。その理由は著者のウィングフィールドが2007年に亡くなっているからだ。邦訳は2020年以降となるという情報もあり、いつの日か原書版のペーパーバックに挑戦してみようかとひそかに思っている。
ともあれ、パワフルで、下品で、やさしくて、人情味があって…そして哀愁が漂うフロスト警部。
猛烈に忙しい主人公の魅力に、どっぷりとはまらせてもらった。
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